知的障害者で一人暮らしを考えるのは普通です。特に軽度知的障害者であれば働いている人が多く、一人暮らしは普通です。また重度の知的障害者であっても、公的サービスを利用すれば実家から離れて生活できます。

このとき軽度や重度を含めて、十分な収入のない知的障害者で「生活保護を活用できないか」と考えるのは普通です。生活保護により、たとえ働けなくても最低限の生活を行えるようになります。

知的障害者の生活保護について、実家暮らしでは多くの人で対象外です。ただ一人暮らしの場合、収入や資産がなければ生活保護の対象になります。

それでは軽度や重度の知的障害者について、どのように生活保護を活用すればいいのでしょうか。知的障害者での生活保護の受給条件や考え方を解説していきます。

知的障害者は生活保護の対象

障害者や健常者に関わらず、すべての人で生活保護を受ける権利があります。そのため知的障害者についても、軽度や重度に関係なく生活保護の対象です。

フルタイム勤務の知的障害者については、ある程度の収入があるので生活保護の対象ではありません。ただ軽度知的障害者であっても、十分に働けず最低生活費を下回る人はたくさんいます。この場合、生活保護を受給できます。

当然、中等度や重度の知的障害者はほとんどの人が生活保護を利用できます。働けない人の場合、あらゆる人で生活保護を活用できるのです。

軽度知的障害者でも低所得者・資産なしは生活保護

生活保護は最低生活費を下回る収入の人が対象です。そのため前述の通り、軽度知的障害者であっても低所得者なのであれば生活保護を利用できます。

ただ生活保護の受給には「資産を保有していない」という条件があります。そのため、以下の資産をもつ場合は「預貯金がほぼなくなる」「資産を売却する」などを実行する必要があります。

  • 預貯金
  • 不動産:家、土地、田畑
  • 自動車
  • 貴金属
  • 高級ブランド品
  • 貯蓄性のある生命保険
  • 株・債券

ただこうした資産がなく、さらには低収入の場合、軽度知的障害者であっても生活保護を受給できます。

障害年金の対象者は障害者加算がある

なお十分に働けない知的障害者であれば、障害年金を受給している人は多いです。たとえ軽度知的障害者であっても、うつ病を含めてその他の精神疾患を併発することで障害年金を受給している人はたくさんいます。要は、働けないほどの障害者は障害年金の対象者です。

このとき、障害年金の受給者が生活保護費を受け取る場合、障害者加算の対象になります。通常の生活保護に加えて、障害者加算を得られます。

通常よりも多くの生活保護費を得られるため、低所得の知的障害者であっても日々の暮らしに困りにくくなります。

実家暮らしは生活保護の対象外であり、一人暮らしが条件

なお生活保護を受け取るとき、実家暮らしの場合は多くの人で対象外になります。これは、生活保護が世帯単位で支給されるからです。

中には「障害者だけ世帯分離することは可能か?」と考える人がいます。同じ家に住んでいても、親夫婦と子供家族で世帯分離をするのは普通です。

ただ生活保護では居住状況の実態が重視されます。同じ家に住んでいる以上、たとえ住民票が分かれていても生活保護では同じ世帯と考えます。そのため同じ家に住んでいる親族に収入や資産があると、知的障害者だけ生活保護の対象者にすることはできません。

これが、実家暮らしの知的障害者でほとんどの人が生活保護の対象にならない理由です。生活保護を受ける場合、軽度や重度に関わらず一人暮らしをしなければいけません。

通常は障害者グループホームを利用

ただ軽度でも重度でも、生活保護の受給を考えるほど低所得の知的障害者が一人暮らしのために一般的な賃貸マンション・アパートを契約するのは現実的ではありません。低所得者では入居審査に通りにくいですし、高額な初期費用が必要です。

そのため特別な理由がない限り、生活保護を考えるほど低所得者である知的障害者は障害者グループホーム(共同生活援助)を活用する必要があります。

複数の障害者が共同生活を送る施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため、軽度は当然として、重度の知的障害者であっても一人暮らしを実現できます。

また低所得者だとサービス料は無料であり、家賃の多くは国と自治体から出されます。そのため格安で生活でき、生活保護を得ている場合は何も問題なく日々を過ごせるようになります。

また障害者グループホームで生活する場合、軽度知的障害者であっても、「支援なしでは生活が困難な状態」であることを示しやすいです。そのため実家暮らしでは障害年金の対象でなくても、障害者グループホームを利用することで障害年金の対象になり、結果として生活保護での障害者加算を得られやすくなります。

軽度なら単純作業でいいので社会復帰を考える

なお重度の知的障害者であれば、ずっと障害者グループホームへ入居し、生活保護を活用しながら生活するのが一般的です。

一方で軽度の知的障害者であれば、生活保護や障害者グループホーム(共同生活援助)などの公的サービスを利用するにしても、徐々に社会復帰することを考えましょう。このとき、最終的な社会復帰が「工場で単純作業などのアルバイト」でも問題ありません。

また一般企業での仕事がすぐにはできなくても、就労継続支援A型など障害者向けの施設で就労することもできます。

就労継続支援A型であれば、ある程度のお金を得られ、障害年金と組み合わせることで生活保護からの脱却も可能です。このとき知的障害者の場合、就労継続支援A型で働いても継続して住民税の非課税世帯となるため、生活保護を抜け出しても格安にて障害者グループホームを利用できる事実は変わりません。

もちろん、一般企業でのアルバイトであっても多くの人で知的障害者は住民税の非課税世帯となります。そのため、さまざまな公的サービスを格安または無料にて活用できます。

最初は一人暮らしでの生活環境を整え、慣れることが重要です。ただ次のステップとして、軽度知的障害者は「どのように働けば仕事によってお金を得ることができ、生活保護を脱却できるのか」を考えるといいです。

知的障害者が一人暮らしにて生活保護を受給する

軽度でも重度でも、知的障害者は生活保護の対象者です。本人が低所得者であり、資産を保有していないのであれば生活保護を受けることができます。

ただ知的障害者であっても、実家暮らしの場合は多くのケースで生活保護の対象外です。同じ家に住んでいる場合、生活保護で世帯分離は意味がなく、知的障害者のみ生活保護を受給することはできません。そのため、生活保護を受ける場合は一人暮らしが基本になります。

そこで十分に働けない知的障害者で一人暮らしを考える場合、障害者グループホームなどの公的サービスを利用して格安にて住むといいです。これにより、生活保護を活用して生活できるようになります。

生活保護を受給するには、要件を満たさなければいけません。そこで知的障害者で生活保護を利用したい場合、条件を満たしているのであれば積極的に活用しましょう。

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