住居の無い人でも利用できる施設が無料低額宿泊所です。ホームレスでも新たに住める施設であり、住民票を置くこともできます。

無料低額宿泊所とは、生活困窮者に対して住む場所を提供する施設と考えましょう。施設側による生活扶助(生活するうえでの支援)はないものの、住宅が提供されることで生活困窮者は寝泊まりできるようになるのです。このとき、男性・女性や年齢に関係なく無料低額宿泊所を利用できます。

それでは無料低額宿泊所とは、どのようなところになるのでしょうか。無料低額宿泊所の利用目的や利用者を含め、その概要を解説していきます。

生活困窮者が利用する無料低額宿泊所

どのような人であっても無料低額宿泊所を利用できるわけではありません。無料低額宿泊所に住むためには、生活保護や住民税の非課税世帯などの低所得者である必要があります。具体的には、以下のような十分に働けない人が利用します。

  • 障害者
  • ホームレス
  • 失業者

十分に働けない場合、住所不定の状態に陥るリスクが高まります。ホームレスの場合、既に住所不定の状態です。そこで、そのような状況を回避するために無料低額宿泊所を活用します。

住民票を置き、住所不定の状態を避ける

なお前述の通り、ホームレスであっても無料低額宿泊所を利用できます。また無料低額宿泊所により、ホームレスの数は年々減少している実態があります。

通常、住所がない場合はさまざまな手続きを行うことができません。当然、一般賃貸にてマンション・アパートを借りることもできません。

そこで、ホームレスのような住所不定者であっても利用できる住居があれば、そうした場所を起点に社会復帰できるようになります。こうした目的のため、生活困窮者が一時的に住む場所として無料低額宿泊所が存在します。

住む場所であるため、無料低額宿泊所に住民票を置くことができます。また住所があれば、さまざまな公的サービスを受けられるようになります。

男性・女性や年齢に関係なく利用可能

なお当然ながら、男性や女性に関係なく無料低額宿泊所を利用できます。数としては男性向けの無料低額宿泊所が多く、女性向けは少ないものの、性別に関係なくどんな人でも利用できます。

また年齢についても関係なく利用可能です。要は、18歳以上の生活困窮者であれば無料低額宿泊所の利用対象者です。厚生労働省の資料によると、無料低額宿泊所の利用年齢は以下のようになっています。

退去状況の内訳割合
40歳未満7.4%
40~65歳未満45.7%
65~75歳未満32.5%
75歳以上14.0%
年齢不詳0.4%

※無料低額宿泊事業を行う施設の状況に関する調査結果について

このように、無料低額宿泊所の利用者は全体的に年齢が高めです。高齢者についても、無料低額宿泊所を多くの人が利用しています。

どんなところ?通常は個室での生活

それでは無料低額宿泊所とは、どんなところになるのでしょうか。通常、無料低額宿泊所の居室は個室になります。そのため、以下のような部屋にて生活します。

無料低額宿泊所での生活というと、どうしても劣悪な環境を想像してしまいます。ただ、無料低額宿泊所にて住むといっても、必ずしも劣悪な環境というわけではありません。

もちろん、トイレやお風呂などは共同となります。ただ個室が用意されているため、生活をする上で大きな問題は起こりません。

生活扶助はなく、施設ごとにルールがある

なお生活困窮者に対する施設は複数あります。その中でも、無料低額宿泊所はあくまで住居を提供するための施設です。そのため生活扶助は提供されず、介護スタッフによる援助は基本的にないと考えましょう。

なお生活扶助がないとはいっても、多くの無料低額宿泊所で食事の提供があります。1日に3食の提供なのか、それとも2食なのかは施設によって異なるものの、食事が用意されるというわけです。

またスタッフによる介助を受けることはできないものの、無料低額宿泊所には職員がいます。そこで、服薬の支援や通院同行などを依頼するのは可能です。

・施設のルールを守る

なお実際に無料低額宿泊所で過ごすとき、施設のルールを守らなければいけません。例えば、食事や入浴、消灯の時間が決まっている施設は多いです。

門限については、門限がある施設とない施設があります。外出のしやすさも施設によって異なります。そのため、こうしたルールについては事前に確認するといいです。

貧困ビジネスをしている施設に注意する

なお無料低額宿泊所について、貧困ビジネスで問題になりやすい側面があります。要は、生活保護費のほとんどを吸い上げ、利用者の手元にほとんど残さないようにする粗悪な施設があるのです。また、そうした施設では極小の部屋が残っていたり、提供する食事が簡素でまずかったりします。

中には、「身分証や印鑑、キャッシュカードなどをすべて預かって返さない」という違法業者も存在します。こうなると、利用者はその後の社会復帰が難しくなります。

・違法でなくても劣悪な環境は存在する

なお前述の通り、個室が基本ではあるものの、以前から運営されている無料低額宿泊所ではいまでも極小の部屋が残っているのは事実です。また、隣の部屋との境目がほぼない簡易個室も存在します。それでいて、食事がまずいです。

この場合は違法でないものの、選ぶ無料低額宿泊所をミスすると貧困ビジネスに巻き込まれてしまい、劣悪な環境での生活になってしまいます。また、そうした環境にも関わらず、無駄に管理費が高いことがよくあります。

生活保護や住民税の非課税世帯を含め、住所不定のホームレスでも利用できる仕組みは優れます。ただその反面、無料低額宿泊所では貧困ビジネスに巻き込まれる可能性があることは理解しましょう。

次の入居先を素早く見つけるべき

実際に無料低額宿泊所を利用するとき、事前に見学をするのが普通です。このとき、極小の部屋など劣悪な環境にて他の人が過ごしていると分かったのであれば、入居を断ればいいです。また役所から他の無料低額宿泊所のリストをもらい、自ら問い合わせてもいいです。

要は、どの無料低額宿泊所へ入居するのか自分自身で選べます。必ずしも役所が提示する無料低額宿泊所へ入居する必要はありません。

または、既に劣悪な環境にて過ごしている人がいるかもしれません。この場合、早めに他の無料低額宿泊所を探して移ってもいいです。

・素早く次の入居先を見つける

なお無料低額宿泊所を利用する場合、前述の通りあくまでも一時的な利用となります。中には貧困ビジネスによって「実質的に社会復帰を阻害し、長く施設内に留まる」ように企てる粗悪な施設があるのは事実です。ただ本来、そうした環境は望ましくなく、早い段階でいまの無料低額宿泊所から他の施設へ引越すことを考えましょう。

健常者であれば、一般賃貸にてマンション・アパートを借りるといいです。生活保護受給者を受け入れてくれる施設は少ないものの、根気よく探せば見つけることができます。

また「定期的な通院が必要」「精神疾患を有している」などの場合、無料低額宿泊所を離れて暮らすにしてもすぐの社会復帰は難しいです。その場合、障害者グループホーム(共同生活援助)の利用が適切です。障害者グループホームの場合、支払いは無料低額宿泊所よりも少なくなり、それでいて常に介護スタッフによる援助を得られます。

いずれにしても、早い段階で無料低額宿泊所から一般賃貸や障害者グループホームへ移行することを考えましょう。無料低額宿泊所というのは、一時的な利用が大原則になるからです。

生活困窮者で無料低額宿泊所を利用する

無料低額宿泊所とは、生活保護や住民税の非課税世帯などの低所得者に対して、住居を提供することを目的とした施設です。生活扶助は提供されないため、スタッフによる介助はないものの、たとえホームレスで住所不定であっても利用できます。

住民票を登録できるため、無料低額宿泊所を起点として社会復帰できます。また生活扶助は提供されないものの、食事の提供や服薬管理をしている施設は多いです。こうした無料低額宿泊所の設置を理由として、ホームレスの数は年々少なくなっています。

ただ無料低額宿泊所は一時的に利用する施設です。そこで、どこかの段階で一般賃貸や障害者グループホームへ移りましょう。同時に、貧困ビジネスに巻き込まれないように注意するのも重要です。

生活困窮者が無料低額宿泊所を利用するとき、複数の注意点があります。そこで、無料低額宿泊所の特徴を理解して一時的に活用しましょう。

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