若い人であってもがんを発症することがありますし、炎症性疾患に悩まされることもあります。こうした人では、大腸や膀胱の機能が低下したり摘出が必要だったりします。

そうなると、人工肛門や人工膀胱(新膀胱)としてストーマが必要だったり、ストーマが必要なくても尿路変更をしたりすることになります。こうした大腸がんや膀胱がん、その他の疾患による人工肛門・人工膀胱は障害者手帳や障害年金の対象になります。

なお障害年金について、肛門や大腸、直腸、膀胱に関する手術をしても、すべての人で障害年金を得られるわけではありません。事前に受給条件を認識しておく必要があります。

それでは、どのような人であれば大腸や直腸、膀胱による疾患で障害者手帳や障害年金を得られるのでしょうか。人工肛門や人工膀胱(新膀胱)、尿路変更で障害者手帳・障害年金を得る方法を解説していきます。

がんや炎症疾患でのストーマ・新膀胱は障害者となる

病気による内臓疾患であっても障害者の対象となります。これには人工肛門や人工膀胱(新膀胱)、尿路変更も含まれ、障害者手帳や障害年金を受けられます。ストーマが必要になる原因としては、例えば以下が知られています。

  • 直腸がん(直腸摘出)
  • 大腸がん(大腸摘出)
  • 膀胱がん(膀胱摘出)
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など)

そこで、これらの疾患によって新たにストーマ造設をしたり、尿路変更をしたりした場合は障害者手帳と障害年金に挑戦しましょう。

ストーマで身体障害者手帳を発行する

永久的なストーマを有する人について、身体障害者手帳4級が基本になります。身体障害者手帳のストーマに関する基準はわかりやすく、以下のようになっています。

等級状態
1級ストーマ以外に他の障害もある
3級消化管と尿路両方のストーマ(ダブルストーマ)
4級消化管または尿路のストーマどちらか一方

一般的には消化管または尿路のストーマどちらか一つとなります。そのため、人工肛門や人工膀胱(新膀胱)では身体障害者手帳4級というわけです。なお、一時的なストーマは身体障害者手帳の対象ではないので注意しましょう。

障害年金の認定基準:永久や一時的で受給できる

またストーマや尿路変更で重要になるもう一つのポイントに障害年金があります。障害年金のストーマに関する認定基準は以下のようになっています。

等級状態
2級人工肛門と人工膀胱を造設した
人工肛門造設と尿路変更術をした
人工肛門造設&完全排尿障害(カテーテル留置または自己導尿の常時施行が必要)
3級人工肛門造設、または人工膀胱造設、または尿路変更術をした

人工肛門や人工膀胱(新膀胱)、尿路変更のどれか一つの場合、障害年金3級に該当します。

重要なのは、身体障害者手帳とは違って「永久的なストーマだけでなく、一時的なストーマであっても障害年金の対象になる」ことです。障害年金の認定基準には、「一時的なストーマは対象外」との記載はなく、実際に一時的な人工肛門であっても障害年金3級を受給できた事例はたくさんあります。

なおストーマが一時的であり、人工肛門を閉鎖した後については、障害年金の更新で不支給になる可能性があるのは理解しましょう。

初診日の国民年金・厚生年金で受給が異なる

なお人工肛門・新膀胱・尿路変更では多くの人で障害年金3級へ申請することになります。ただ、すべての人で障害年金3級を受給できるわけではありません。初診日に厚生年金に加入している人のみ、障害年金3級の対象となります。

大腸がんや膀胱がんなど、大腸摘出や膀胱摘出となった原因疾患を含め、初めて医療機関を受診した日を初診日といいます。学生や無職、自営業、主婦など初診日に国民年金に加入していた人の場合、障害年金3級の受給はできません。

種類国民年金厚生年金
障害年金1級
障害年金2級
障害年金3級
障害手当金

大腸摘出・膀胱摘出によるストーマや尿路変更術によって障害年金3級の対象になるのは間違いありません。ただ、障害年金3級を得られるのは初診日に会社員・公務員だった人のみが対象になります。言い換えると、初診日に厚生年金に加入している必要があります。

障害認定日は手術内容で異なる

なお通常、初診日から1年6か月が経過した後に障害年金への申請が可能になります。初診日から1年6か月が経過した時点を障害認定日といいます。

ただ人工肛門や人工膀胱(新膀胱)、尿路変更術については、手術をしたことが明確です。また直腸がんや大腸がん、膀胱がんなどの場合、発見からできるだけ早い段階で処置をしたほうがいいです。こうした手術を必要とする身体障害については、初診日から1年6か月が経過していなくても障害年金の申請が可能になるケースがあります。

ストーマや尿路変更術については、以下の場合であっても障害認定日となり、その日から障害年金への申請が可能になります。

内容障害認定日
人工肛門造設日から6か月経過した日
人工膀胱(新膀胱)造設した日
尿路変更術施術日から6か月経過した日
人工肛門&新膀胱人工肛門の造設日から6か月経過、または新膀胱の造設日の遅い日
人工肛門&尿路変更術手術の遅い方の日から6か月経過した日
人工肛門&完全排尿障害造設日と完全排尿状態に至った日の遅い方から6か月経過した日

手術内容によって異なりますが、このように考えて障害認定日を設定することも可能です。

初診日が65歳未満で申請可能

なお障害年金へ申請するとき、年齢を考えなければいけません。炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローンなど)が原因の場合、若い人で人工肛門や新膀胱、尿路変更をするのは普通です。一方で直腸がんや大腸がん、膀胱がんについては高齢者で発症する人も多いです。

障害年金というのは、基本的に若い人(65歳未満)のための制度です。65歳以上の高齢者の場合、老齢年金の受給が可能です。一方で65歳未満の場合、障害によって働けないと生活できなくなるため、こうした状態を防ぐために障害年金が存在します。

そのため障害年金に申請するとき、初診日が65歳未満の人が対象になります。つまり、若い人で疾患が見つかり、大腸や膀胱の摘出などでストーマが必要になった人が障害年金の対象になります。

なお障害認定日が65歳以上であるのは問題ありません。あくまでも、初診日が65歳未満である必要があります。

人工肛門・新膀胱・尿路変更で障害者手帳と障害年金を得る

大腸や直腸、膀胱について、臓器障害やがんにより、機能障害・摘出となるケースがあります。この場合、人工肛門や人工膀胱(新膀胱)、尿路変更を考えることになります。

こうした人では、身体障害者手帳の取得と障害年金の受給が可能です。両方ともメリットが大きいため、対象者は必ず申請しましょう。永久的ストーマが一つの場合、身体障害者手帳4級と障害年金3級が基本になります。

なお一時的ストーマについて身体障害者手帳は対象外ですが、障害年金の申請は問題なく可能です。また障害年金3級について、障害厚生年金の人のみ受け取ることができます。身体障害者手帳は入手できるものの、初診日に国民年金の加入者は障害年金3級の対象ではありません。

人工肛門や人工膀胱(新膀胱)、尿路変更について、障害者となるものの、このように事前に理解するべきポイントがあります。そこで認定基準に当てはまっている場合、身体障害者手帳と障害年金へ申請しましょう。

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