腎臓病により、腎機能が弱っている人はたくさんいます。こうした慢性腎不全の人は人工透析が必要となっていたり、体の他の部分に障害が表れていたりします。
こうしたとき、慢性腎不全の人は障害年金の対象になります。特に人工透析を受けている人については、障害年金2級に該当します。また腎臓移植を受けている人であっても、他の障害を考慮することで障害年金を受け続けることもできます。
それでは、慢性腎不全によって腎機能が衰えている人について、どのような認定基準になっているのでしょうか。
さまざまな理由によって腎臓の病気となり、生活が不自由になる人がいます。そこで、腎臓病での障害年金の受給について解説していきます。
もくじ
腎臓の病気で障害年金の受給が可能
腎臓病を発症する人の理由はさまざまですが、慢性腎不全の原因としては主に以下が知られています。
- 糖尿病性腎症
- 糸球体腎炎
- 腎硬化症
- IgA腎症
- 高血圧
- 腎臓の摘出
この中で最も多い腎不全の原因が糖尿病です。このとき、腎臓の機能が弱っている人は障害年金の対象になります。障害年金の受給は内臓疾患についても有効であり、65歳未満で腎機能が低下している人であれば、働けなくても障害年金によって何とか生きていくことができます。
人工透析をしている人は障害年金2級に該当
こうした慢性腎不全で人工透析をしている人は多いです。体内の老廃物を外へ排出するために人工透析をするのです。このとき、人工透析をしている場合は原則として障害年金2級に該当します。
障害年金2級であるため、子供がいる場合は子の加算が付きます。また慢性腎不全の原因となった傷病で初めて医療機関を受診した日(初診日)に会社員・公務員の場合、障害年金として「障害基礎年金+障害厚生年金」を受け取れます。さらに、障害厚生年金では配偶者加算もあります。
人工透析では原則として障害年金2級であるため、精神疾患などに比べてわかりやすい認定基準となっています。
腎臓疾患での障害年金の認定基準はどうなっているのか
ただ、慢性腎不全の人で全員が人工透析をしているわけではありません。それでは、腎臓病に関するほかの認定基準はどのようになっているのでしょうか。生活状態では以下のようになります。
等級 | 障害の状態 |
1級 | 日常生活が不可能 |
2級 | 日常生活に著しい制限 |
3級 | 労働で制限を受ける |
人工透析を受けている人であっても、寝たきりなど日常生活が不可能なわけではありません。そのため、原則として障害年金2級というわけです。
なお人工透析を受けている人以外について、上記の表では認定基準があいまいです。そこで、まずは以下の表で重症度を判断しましょう。
検査項目 | 軽度異常 | 中等度異常 | 高度異常 |
内因性クレアチニンクリアランス(ml/分) | 20以上、30未満 | 10以上、20未満 | 10未満 |
血清クレアチニン(mg/dl) | 3以上、5未満 | 5以上、8未満 | 8以上 |
こうした検査項目でどの程度の重症度なのか確認した後、以下の基準で障害年金の等級を判断します。
等級 | 異常の状態 | 一般状態 |
1級 | 高度異常が1つ以上 | ほぼ寝たきりの状態 |
2級 | 中等度または高度異常が1つ以上 | 歩行や身の回りは可能だが介助が必要であり、軽労働は不可 |
3級 | 軽度異常が1つ以上 | 軽作業や座った作業(軽い家事や事務など)は可能 |
人口透析の場合は2級となりますが、それ以外の基準だと、慢性腎不全ではこのようになります。
ちなみに慢性腎不全の場合、他に身体障害を有していることがあります。例えば糖尿病の場合、壊死によって足を切断しているかもしれません。この場合、腎臓に加えて他の障害を考慮することで、障害年金1級など有利な等級になることもあります。
・ネフローゼ症候群での障害年金3級の認定基準
ちなみに腎臓病の中でも、ネフローゼ症候群については以下に当てはまる場合に障害年金3級に該当します。
- 尿タンパク量が3.5g/日以上を持続し、「血清アルブミン3.0g/dl以下または血清総タンパク6.0g/dl以下」の人について、軽度の症状はあるが軽作業や座った作業(軽い家事や事務など)は可能
この基準に当てはまる場合、初診日に会社員・公務員の場合は障害年金へ申請しましょう。
腎臓移植などで症状が改善すれば打ち切りの可能性
なお中には、腎臓移植をする人がいます。腎臓移植によって検査項目が大幅に改善され、健常者と同等の数値になった場合、どのように考えればいいのでしょうか。
腎臓移植については、術後症状や治療経過、検査成績、予後を含めて総合的に判断されることになります。なお障害年金を受給している人について、腎臓移植を受けた場合、臓器が生着・安定的に機能するまで待つ必要があります。そのため、術後1年間は以前と同じ障害年金の等級となります。
ただ腎臓移植によって健常者と同じ状態になった場合、当然ながら障害年金は打ち切りとなります。たとえ仕事をしていなくても「無職の健常者」と同じ状態であり、身体障害者でないなら仕事を探すべきなのは当然です。
通常、臓器障害は改善しないので支給停止となることはありません。ただ、打ち切りとなる唯一の例外として臓器移植による症状改善があります。
ちなみに、「糖尿病性網膜症によって目が見えない」など他の部位に障害がある場合、腎臓とは異なる別の障害によって障害年金を継続して受給することは可能です。ただあくまでも、障害年金を受け取るには障害者である必要があります。
初診日の特定が腎臓疾患で最も重要
それでは実際に慢性腎不全で障害年金を受給するとき、どのようにすればいいのでしょうか。腎臓病で真っ先に考えるべきが初診日の特定です。
腎臓の病気では、10~20年以上の時間をかけてゆっくりと症状が進行していくのが普通です。つまり、腎臓病で初めて医療機関を受診した日がかなり前になるのが一般的です。
障害年金の申請では、初診日の確定が必須です。どれだけ症状が重かったとしても、初診日を確定できない場合、障害年金の受け取りはできません。糖尿病によって糖尿病性腎症を発症するなど、途中で病名が変わってもいいので、慢性腎不全の原因となった傷病について、初受診した日を確定させるのです。
なお医療機関がカルテを保存しなければいけない期間は5年です。そのため5年を過ぎると、カルテが破棄されるリスクがあります。また年月が経過すると、初受診した医療機関が廃院となっている可能性もあります。
そのため腎臓病を発症している人にとって、最も難しいのが初診日の確定となります。そこで慢性腎不全や人工透析で障害年金を受給したい場合、初受診した医療機関で初診日の確認ができるかどうかが最重要となります。
事後重症請求により、素早く申請を行う
なお障害年金を申請するとき、一般的には「初診日から1年6か月が経過した時点」から申請できます。初診日から1年6か月が経過した日を障害認定日といいます。ただ障害認定日に障害年金を受給できるほどの重症度でない場合、申請はできません。
腎臓病は前述の通り、多くの人で症状の進行が非常に遅いです。そのため、ほとんどのケースで事後重症請求をします。障害認定日に障害年金を請求できるほどの重症度ではないものの、その後の症状悪化によって障害年金へ申請する方法が事後重症請求です。
事後重症請求の場合、「障害年金へ申請する時点(いまの時点)」の診断書を提出することになります。診断書の内容が先ほど記した認定基準を満たしていれば問題ありません。
なお事後重症請求の場合、さかのぼっての障害年金の申請ができません。障害年金の申請をした時点から、ようやく障害年金の受給が可能になります。つまり申請が遅れると、その分だけお金の受け取りができなくなります。
障害年金の申請では書類が複雑であり、事後重症請求だと1か月でも申請が遅れると大きな損失になります。そのため特別な理由がない限り、障害年金を専門とする社労士へ依頼しましょう。これにより、確実な状態にて素早い書類の作成が可能になります。
腎臓の病気や透析で障害年金を受け取る
糖尿病性腎症や糸球体腎炎、腎臓摘出を含め、慢性腎不全によって腎機能が落ちている場合、障害年金へ申請しましょう。特に透析患者は障害年金2級に該当します。
また人工透析を受けていなくても、腎臓病で障害年金の認定基準を満たしている場合、障害年金の受け取りが可能です。診断書によって、「腎臓疾患での認定基準を満たしている」と証明しましょう。
なお身体障害者で障害年金の打ち切りになることは基本的にないものの、例外として腎臓移植があります。移植後、認定基準に照らし合わせて、腎臓に異常がない場合は打ち切りになります(他の障害がある場合、継続して受給可能)。
腎臓病は徐々に症状が進行していきます。そのため初診日の証明が最も難しくなり、申請方法は多くで事後重症請求になります。そこで専門家を活用しつつ、できるだけ早く書類を集めて障害年金へ申請するといいです。
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