障害者で2つ以上の病名があったり、複数個所に障害をもっていたりするのは普通です。この場合、単独の障害では障害年金2級や3級、障害手当金に該当するとしても、複数の障害を組み合わせることによって等級が上がることがよくあります。

こうした認定法に併合認定(加重認定)があります。また併合認定ではなく、複数の障害を総合的に判断するという方法もあります(総合認定)。一方で障害の程度を差し引きされ、不利になるケースもあります(差引認定)。

障害がいくつもある場合、多くは重い障害等級になります。これについて、精神障害と身体障害でも問題ありません。

ただ、複数の障害があればいいわけではなく条件があります。そこで、2つ以上の障害をもつときに障害年金の認定がどのように変化するのか解説していきます。

2つ以上の別の障害がある場合、等級が上がりやすい

障害が1つある場合よりも、2つ以上の障害をもつほうが当然ながら障害年金の等級はあがりやすいです。この理由については、特に説明しなくても容易に理解できると思います。

複数の病名をもっていたり、ケガによる障害があったりする場合、障害等級の認定方法には以下の3つ方法があります。

  • 併合(加重)認定:障害を組み合わせて判定
  • 総合認定:障害全体を総合的に判定
  • 差引認定:障害の程度を差し引いて判定

併合認定や総合認定の場合、障害等級が大きくなることにより年金額の面で有利になります。

精神障害と身体障害で併合認定は可能だが対象外もある

なお併合認定をするとき、それぞれの障害について併合認定表を用いて番号を確認します。その後、2つの障害を組み合わせたときに障害年金の等級が何級になるのかを確認します。3つ以上の障害をもつ場合についても、基本的なやり方は同じです。

やり方は複雑になるのでここでは詳しく説明しませんが、単独では障害年金2級であっても、併合認定によって障害年金1級へと格上げになることはよくあります。

併合認定について、それぞれの障害の初診日が同じであっても違っていても問題ありません。併合認定の対象になる場合、それぞれの障害を組み合わせることで障害年金の等級を判断します。

このとき、併合認定では「精神障害+身体障害」についても適用されます。以下のように、併合認定表には精神障害に関する項目も含まれています。

ただ、すべての「精神障害+身体障害」の組み合わせで併合認定されるとは限りません。併合認定の対象外になるケースはよくあります。障害年金の申請は専門家(社労士)に依頼することになるため、これについては依頼した専門家に詳細を聞くといいです。

1級や2級、3級の認定に上がるのはよくある

障害年金の併合により、単独では障害年金2級や3級、障害手当金であったとしても、障害年金1級や2級、3級に上がるのは普通です。

障害等級が重くなることにより、大幅に年金額が上がります。また、年金を受け取れるかどうかも異なります。例えば国民年金に加入している人の場合、障害年金3級であってもお金の支給はありません。会社員など、初診日に厚生年金に加入している人で障害年金3級を受け取りできます。

そのため認定される等級は非常に重要ですが、主に以下のパターンとなります。

  • 2級 + 2級 = 1級
  • 2級 + 3級 = 1級
  • 3級 + 3級 = 2級
  • 障害手当金 + 障害手当金 = 3級

細かい内容はさておき、障害の重度や組み合わせによって、どの等級になるのかが異なります。

2つ以上の精神疾患は総合認定になる

ただ併合認定のように、個々の障害を別々に判断するのではなく、「複数の障害をひとまとめにして総合的に判断する」という方法もあります。これを総合認定といいます。

主に、複数の内科的疾患が存在する場合は総合認定となります。臓器の障害など、体の内部に関する障害が内科的疾患と考えましょう。

特に2つ以上の精神疾患を有する場合、総合認定になります。「うつ病とてんかん」など、複数の精神疾患をもつ人は多いですが、この場合は併合認定ではなく、総合認定になるのです。

なお、必ずしも併合認定のほうが優れるわけではありません。例えば、うつ病とてんかんを併発している人について、それぞれの等級が3級だとします。この場合、併合認定の基準に照らし合わせると、両方の精神疾患を考慮しても併合認定では3級のままです。

ただ総合認定の場合、うつ病とてんかんを総合的に判断することで障害年金2級になる可能性があります。この場合、併合認定ではなく総合認定で判断することによってメリットが大きくなるといえます。

このように考えると、併合認定(加重認定)と総合認定でどちらが優れるというのはありません。ただ、どちらも等級が大きくなりやすいという点では同じです。

同じ部位の障害は差引認定:「初めて2級による障害年金」の意味

ただ、同じ部位に新たな障害(後発障害)を生じることがあります。例えば視力障害をもつ人について、事故によってさらに視力が悪化したケースが該当します。

まったく同じ場所ではなかったとしても、目や耳など、2つセットの器官については、両側の器官を一つの部位として考えます。

こうした同じ部位の障害について、後に事故や病気などによって悪化した場合、「以前の障害の程度を差し引いて、新たな障害を認定する」ことになります。

「初めて2級による障害年金(または、初めて1級による障害年金)」に該当する場合には、差引認定は適用されません。ただ、障害年金1級や2級に該当する場合、最初に認定された等級が考慮されるのです。

例えば事故によって視力障害となった個人事業主について、障害年金2級に該当するとしても、年金保険料未納の場合は障害年金の請求はできません。それでは年金保険料をきちんと納めるようになった後、事故によって今度は両目を完全に失明してしまった場合、通常では障害年金1級に該当しますが、このとき障害年金はもらえるのでしょうか。

この場合、残念ながら障害年金はもらえません。同じ部位の障害であるため、完全失明(1級)の状態から、以前の視力(2級)の部分を差し引く必要があります。

つまり、2回目の事故によって悪化した部分のみについて、障害年金での等級(上の図の3級部分)の判断場所になります。「既に2級の障害をもっており、それに加えて3級程度の障害を負った」と考えるため、障害年金の支給対象ではないのです。なおこれまで解説した通り、初診日に会社員でない場合だと障害年金3級は支給対象外です。

もし最初の事故によって負った障害が3級以下の場合、「初めて1級による障害年金」や「初めて2級による障害年金」に該当すれば、障害年金を受け取れます。ただ、先ほどの事例はそうでないため差引認定となるのです。

後発障害によって障害の程度が悪くなった場合、必ずしも障害年金の等級が有利になるとは限りません。複数個所の障害であっても、同じ部位に発生した障害は差引認定を考慮する必要があるのです。

異なる病名・障害が2つ以上ある場合の等級判断

2つ以上の障害を併発している障害者はたくさんいます。この場合、障害年金の等級を認定するとき、併合認定・総合認定・差引認定があることを理解しましょう。

併合認定や総合認定では、病気やケガによる複数の障害を考慮することにより、障害等級を判断します。このとき、複数の障害の初診日が異なっていても問題ありません。なお精神障害と身体障害でも併合認定は可能ですが、内科的疾患(特に精神疾患)の場合は総合認定となります。

ただ、同じ部位の障害については差引認定となります。以前の障害等級を差し引くことにより、悪化した部分の等級を判断するのです。

障害年金で等級は重要です。そこで、2つ以上の精神障害や身体障害をもつ場合、どのように等級が判断されるのか概要を理解しましょう。

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