障害者グループホームを利用する人には、20代や30代などの若い人もいます。こうした人だと、男性でも女性でも恋愛をしたいと考えるのは普通ですし、性にも興味があります。
ただ多くの場合、障害者グループホームでは恋愛が難しいです。施設内での恋愛は禁止されていることが多いですし、外部の異性と外で会うにしても門限が存在します。グループホームに「家族以外の異性」が入ってくるのも微妙です。
また知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者が恋愛をする場合、結婚・出産・子育てと先のことも考えなければいけません。この場合はグループホームを利用できず、二人で自立する必要があります。そうなると、現実的に生活できるかどうかは怪しいです。
恋愛を禁止する法律はないですし、そうなると人権問題となります。ただ生きていく以上、現実を見なければいけません。そこで、障害者グループホームでの恋愛や性について、どのように考えればいいのか解説していきます。
もくじ
障害者でも性に興味があり、恋愛をする
重度の知的障害者・精神障害者など、恋愛どころではない人はいます。また精神疾患の薬は性欲減退の副作用があり、こうした人については性の問題が表面化しないこともよくあります。
一方、難病患者や身体障害者、軽度の知的障害者・精神障害者の場合、当然ながら性に興味がありますし、恋愛をしたいと考えます。
例えば男性の軽度知的障害者であれば、自由時間に風俗店へ出向き、ピンクチラシを持ち帰ることによって介護職員にバレることがよくあります。また軽度の精神障害者であれば、症状が出ていない状態では健常者と同じです。
こうした軽度の障害者であっても障害者グループホームを利用でき、20代や30代などの若い人もたくさん入所しています。例えば、以下は障害者グループホームに入所している女性ですが、二人とも20代であり、髪の色は明るく化粧もしています。
障害者グループホームを利用する人について、中には「普通に会話できるし、どこが障害者なのかわからない。健常者とほぼ同じ」と感じてしまう人もいます。こうした人が恋愛をするのは、いってしまえば当然といえます。
多くのグループホームで同じ施設内では恋愛禁止
このとき、障害者の恋愛を禁止する法律は存在しないものの、ほとんどの障害者グループホームについて、同じ施設内での恋愛は禁止されています。
そのためどの障害者施設についても、以下のように男性専用または女性専用になっています。
ただ障害者グループホームについて、「アパートの下の階が男性専用であり、上の階が女性専用」「男性用グループホームと女性用グループホームが近くにある」などの状況は普通です。
このとき、同じ施設内で恋愛が起こると運営側にとって非常に面倒です。男女が部屋に出入りして体を重ね合わせることもあるため、同じ施設内で恋愛が発覚した場合、異なるグループホームへ移動となるケースがよくあります。
もちろん理解のあるグループホームならいいですが、多くの場合で同じ施設内では恋愛禁止となるのが現状です。
異性の立ち入りは通常禁止であり、門限が存在する
それでは、同じグループホーム以外であればどうなのでしょうか。例えば、「就労支援施設で一緒に働いている人」「以前の知り合い」など、グループホームとは関係ない場所で異性と会う場合、こうした恋愛まで禁止することはできません。
グループホーム外の恋愛を止めるのは不可能ですが、実際のところ障害者グループホームを利用している人が恋愛を継続するのは通常よりも難しい側面があります。
前述の通り、障害者グループホームは男性専用または女性専用です。またグループホームは多くのケースで複数の人との共同利用であり、部屋の一室を利用することになります。そのため、異性は立ち入り禁止です。
一部屋をすべて自分専用で利用できるワンルームタイプならいいものの、そうでない場合、異性を部屋に入れることはできません。
そのため恋愛をして会うにしても、多くのケースで外で会うことになります。障害者グループホームであっても、症状が軽度なのであれば携帯電話の利用を許可している施設は多いです。また、障害者施設では外出が自由です。
そのため異性とのやり取りは可能であり、休日などに外で会うことは可能ですが、門限は必ず守る必要があり、自由に夜遅くまで遊ぶことはできません。また以下のようなホワイトボードを利用するなど、介護職員に対して行き先や帰宅時間を知らせる必要があります。
一般的な賃貸住宅に住む場合に比べて、障害者グループホームではどうしても生活上のルールが存在します。そのため、どうしても恋愛はしにくくなります。
支援が必要なのに妊娠すると、支援を受けるどころではなくなる
また障害者も性に興味があり、恋愛をするとなると、お金について考えなければいけません。単に恋愛をするだけであれば、実際のところ大きな問題にはなりません。
ただ現実問題として、恋愛の先には結婚や妊娠、出産、子育てがあります。多くの場合、障害者は収入が非常に低いです。長時間の労働ができなかったり、一般企業で働けなかったりするのです。
そのため格安で住める障害者グループホームを利用するわけですが、結婚するとなると、夫婦で住めるグループホームは非常に少ないです。介護・福祉施設では同性介助が一般的であり、夫婦(男女)が住む場合は対応が難しくなるからです。そのため通常、一般的な賃貸住宅で暮らすことになります。
ただ支援のない一般賃貸に住むとなると、費用負担は大きくなります。そこに子育てが加わると、さらに金銭的な負担が大きくなります。そうなると、「一般企業で健常者並みに働くのが難しいのに、障害年金やわずかな賃金収入だけで生活できるのか」という問題が出てきます。
恋愛を楽しんでいる分には何も問題ありません。ただ、そこからさらに結婚や子育てまで加わると、グループホームから退去する必要性が出てくるようになり、現実問題として生活できなくなる人が多くなります。
こうした問題が発生するため、グループホームの利用者の恋愛を好ましくないと考えている介護スタッフは多いです。これは人権問題というよりも、その後の現実的な生活を考えると、生活できなくなるよりは恋愛を我慢するほうが最適だからです。
障害者施設の利用が不要になれば恋愛をすればいい
ただ、特に若い人で恋愛をしたいと考えるのは普通です。この場合、障害者施設の利用が不要になった(または不要になる直前)という状態であれば、自由に恋愛をすればいいです。
障害者施設を利用するとき、入居期間の制限がない「滞在型」と3年間が利用期間となる「通過型」があります。
特に3年間のみ障害者グループホームを利用する人の場合、どこかの段階で賃貸住宅へ引越しをしなければいけません。グループホームは社会復帰を支援する場でもあり、体調を回復させ、普通に働けるようにすることで社会生活を送れるようになります。
そのため重度の障害者でないのであれば、障害者グループホームを卒業してからの恋愛であっても遅くはありません。グループホームを退所すると生活できない状態であるなら、恋愛よりも、自立できることを優先するほうがいいです。
身体障害者や寛解した精神障害者の恋愛は特に問題ない
そういう意味では、知能に問題のない身体障害者であったり、すでにうつ病や統合失調症などの病気が寛解した人(または寛解に近い人)であったりすれば、特に恋愛は問題ありません。こうした人は、一般社会であっても問題なく生きていけるからです。
例えば「五体不満足」のベストセラー作家で知られており、身体障害者である乙武洋匡さんについては、手足はないものの知能レベルは高いです。また性欲も強く、過去には何人もの女性と不倫関係にあり、妊娠・中絶させたことも明らかになっています。
別に彼を批判したいわけではなく、要は「障害者であっても自立しているのであれば、恋愛は自由ですし、人によっては何人もの異性と不倫をするほど性についても旺盛」というわけです。
自立して収入がある場合、恋愛は自由です。ただ障害者グループホームを利用しており、賃貸住宅に住むことで生活が苦しくなるのであれば、現実問題として恋愛をしている場合ではありません。
もちろん、場合によっては例外もあります。例えば女性の障害者であれば、「結婚相手となる男性に収入があり、障害があることも理解している」などの状況であれば問題なく生活できるかもしれません。
ただ障害者同士の恋愛を含め、現実的に後の生活が厳しくなるのであれば、恋愛よりも自立して生活できるようになるほうを優先するのが先決というわけです。また元々、知的障害をもっている人については、実際のところ恋愛は厳しいのが現状です。
性サービスの利用は一つの解決策
それでは、常に障害者グループホームを利用する人については、性の問題を解決できないのでしょうか。恋愛については、ここまで説明した通り結婚・出産・子育てまで考えると難しいです。ただ場合によっては、性の問題は解決できます。
女性はさておき、男性ではどのような人も性欲はある程度強いです。手足を動かせない頚椎損傷などの障害者は当然として、重度の知的障害者であっても性的興奮はあります。
この場合、性風俗店の利用は一つの解決法になります。障害者に対応しているこうした店はいくつも存在します。日本は店舗型ではなく、派遣型(デリバリー型)が主流であるため、障害者が店舗へ出向く必要もありません。
ただ当然ながら、利用料金はそれなりに高額になるため、何度も利用できるわけではありません。そのため、介護スタッフが金銭管理をするのは必須です。また、「デリバリーの女性が来るのを承諾してくれる障害者施設」である必要もあります。
もちろん、店舗型の性風俗店を利用して問題ありませんし、近くのホテルを利用してもいいです。この場合、男性専用の障害者施設へデリバリーの女性が来る必要はありません。
健常者であれば、個人の判断でこうした店舗を利用するのは普通です。当然、障害者がこうした店を利用してはいけないというルールはありません。またお金はかかるものの、誰も嫌な思いをせずに性の問題を解決できる唯一の方法でもあります。
ただこの方法については、利用するにしても障害者グループホーム側が「どれだけ障害者の性に対して向き合っているのか」という問題点があります。そのため解決は簡単ではないですが、障害者の性に対して理解のある施設だと、こうした方法で性の問題を解決できるケースもあります。
夫婦や子供で居住可能なグループホームを探してもいい
なお障害者であっても、結婚して子供を産んでいる事例は実際のところ存在します。非常に数は少ないものの、夫婦で入居可能な障害者グループホームは存在するのです。
重症心身障害者だと現実的に難しいものの、軽度の知的障害をもつ同士が恋愛し、結婚を考えるのは珍しくありません。このとき、夫婦で入居可能な障害者施設を利用すれば、ひとまず住居の問題は解決できます。
ただ現状、障害者二人で一つの部屋に住むのは可能であっても、出産・育児を含め、子供の対応まで想定して受け入れているグループホームは圧倒的に少ないのが現状です。
夫婦での受け入れが可能なグループホームを探すのですら大変ですが、子育てまで想定した障害者施設を探すのはもっと大変なのです。日本の制度は障害者の子育てを想定しておらず、グループホーム独自の支援になってしまうため、こうした施設は数が限られます。
障害者の恋愛や性の問題の解決は難しい
すべての介護職員は「どのように介護すればいいのか」「障害者を支援する制度には何があるのか」を学ぶことになります。ただ、不思議なことに恋愛や性に関することはまったく学びません。また、なぜかこうしたことはタブー視されます。
しかし、すべての障害者で性欲があります。重度の知的障害者であっても性欲があり、軽度の知的障害者や精神障害者、難病患者だと、当然ながら恋愛や性に興味があります。
ただ障害者グループホームで生活している障害者は、ほぼ低所得者です。そのため恋愛で止まるならいいですが、その後の結婚・子育てまで見据えると、夫婦では金銭面で生活が成り立たずに破綻します。そのため、現実的に考えるとグループホームを卒業した後に恋愛を考えるほうが適切です。
また施設によって判断は異なりますが、性サービスを利用するという方法もあります。さらには、夫婦を受け入れ可能な障害者施設を頑張って探すことも一つの方法です。障害者の恋愛や性が語られるケースはほぼないため、この問題の解決は非常に難しいものの、多少なりとも恋愛や性の問題を軽減する方法は存在します。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
そこで、当サイトでは完全無料で障害者グループホームを紹介するサービスを日本全国にて実施しています。「いますぐ入居したい」「いまの障害者グループホームから他の施設へ移りたい」「強制退去となり、新たな施設を探している」など、軽度から重度の障害者を含めてあらゆる方に対応しています。