障害年金には等級が存在します。障害の重さによって等級が決定され、等級が重いほど多くのお金を定期的に受け取れるようになります。

障害年金の等級は障害者手帳の等級とは異なります。そのため、等級が障害年金と障害者手帳で違うのは普通です。また、障害の種類によって障害年金での等級の判定が異なります。

なお障害年金の等級について、症状が重くなった場合は更新時や任意のタイミングで必要書類を提出し、等級を上げることができます。反対に症状が軽くなった場合、更新のときに等級が低くなることもあります。これについては、そのときの障害の程度を判断されます。

それでは、等級はどのように決まるのでしょうか。また、等級変更はどのように行えばいいのでしょうか。障害年金の等級について解説していきます。

障害年金の等級には1~3級がある

障害年金には1~3級の等級があります。より厳密にいうと、障害年金には障害手当金として、一回だけ支給されるお金があります。障害手当金は障害年金4級に相当します。

ただ定期的にお金が振り込まれるという意味では、障害年金1~3級が等級として該当します。

このとき、対象の傷病で初めて医療機関を受診した日を初診日といいます。学生や自営業、主婦などの場合は国民年金に加入しており、初診日に国民年金加入者の場合は障害基礎年金のみの受給になります。障害基礎年金は1~2級のみ対象であり、障害年金3級は利用できません。

一方で初診日に会社員や公務員であり、厚生年金に加入している場合、障害厚生年金を受給できます。この場合は障害年金1~3級に加えて、障害手当金も対象になります。

種類障害基礎年金障害厚生年金
障害年金1級
障害年金2級
障害年金3級
障害手当金

障害年金の等級は前述の通り1~3級です。ただ障害年金3級を利用できるのは障害厚生年金の場合であり、すべての人が対象ではありません。

等級の認定基準は障害ごとに異なる

それでは、どのように障害年金の等級が決定されるのでしょうか。更新時や等級変更の申請を含めて、認定基準に合致していれば等級が上がるため、等級の基準は非常に重要です。

ただ、認定基準は障害ごとに異なるので一概にはいえません。例えば、視力障害と精神障害では判断基準がまったく異なります。例えば、以下は精神障害者での認定基準になります。

障害年金基準
1級他人の介助を受けなければほとんど生活できない
2級日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない
3級労働で著しい制限を受ける

外部障害の身体障害者であれば、明確な認定基準が存在します。一方で精神障害者や内部障害(難病など臓器障害)の場合、どうしても基準があいまいになりやすいです。そのため障害年金では、「日常生活がどれだけ困難か」を含めて書類に現状を記載しなければ優れた等級を得られません。

障害者手帳の等級とはまったく異なる

なお多くの人が混同する制度として障害者手帳があります。障害年金を活用する場合、障害者手帳にも申し込むと思います。障害者手帳によってさまざまな割引や減税があるため、すべての障害者にとって優れます。

障害者手帳にも等級があります。ただ、障害年金と障害者手帳はまったく別の制度です。そのため、障害年金と障害者手帳で等級が異なるのは普通です。

例えば身体障害者手帳の等級は1~6級であり、障害年金のように1~3級ではありません。また、身体障害者手帳4級であるものの、障害年金3級となるのは普通です。さらには、障害者手帳がなくても障害年金を受給している人はたくさんいます。これは、同じ傷病であっても障害者手帳と障害年金で認定基準が異なるからです。

いずれにしても、障害年金の等級と障害者手帳の等級には関連性がないと理解しましょう。

症状が重くなった場合の等級変更は可能

なお障害年金について、ずっと同じ等級というわけではありません。更新のときに障害の程度を判断されますし、更新の時期を待たなくても症状が重くなれば額改定請求によって重い等級へと変更するのは可能です。

例えば、以下のような等級変更を考えます。

  • 難病の症状が進行し、寝たきりになった:障害年金1級を目指す
  • 精神疾患が悪化し、働けなくなった:障害年金2級を目指す
  • 全盲となって何も見えなくなった:障害年金1級を目指す

障害年金の受給権を得た1年後から額改定請求が可能です。そのため、ある程度の時間が経過した後に症状が悪化した場合、等級変更できます。

なお、等級変更の申請(額改定請求)で必要な書類は以下になります。

  • 額改定請求書
  • 医師の診断書

これらの必要書類を集め、額改定請求を行うことで認められれば、障害年金でより上位の等級へと変更になります。

更新時に等級が低くなることもある

ちなみに、等級変更によって等級が重くなることがあれば、反対に等級が低くなることもあります。多くの場合、障害年金は有期認定となります。1~5年で更新が必要になる認定方法が有期認定です。更新が不要となる永久認定になるケースは少ないです。

このとき更新時に症状が軽くなっている場合、等級が下がります。また、たとえ症状が軽くなっていなかったとしても、更新時に提出する医師の診断書に不備があれば、等級が低くなります。

例えば精神障害者であれば、「一人暮らしを開始した」「就労を始めた」などの場合、この事実だけを診断書に記載されると、「症状が軽くなった」と判断されて等級が下がります(または支給停止)。そのため、一人暮らしや就労を開始した理由や背景、援助の様子を更新時に伝えなければいけません。

例えば一人暮らしをしているにしても、以下のようなホームヘルプを週に3~4回ほど依頼しており、これによって何とか生活が成り立っているとします。

そこでこうした状況を更新時に伝えれば、「実際には症状が軽くなっていない」ことがわかります。更新時は等級が下がることはよくあるため、等級変更によって軽い等級になってしまうことについても注意しましょう。

障害年金は等級変更が可能

障害年金には1~3級の等級があります。ただ障害厚生年金には3級があるものの、障害基礎年金のみを受け取る人では1~2級のみが対象となります。

なお多くの場合、障害年金は有期認定です。そのため、1~5年ごとに更新が必要になります。このとき症状が重くなっていれば、更新時に重い等級になります。または、額改定請求することによっても等級変更できます。

ただ、更新時の等級変更によって等級が下がることもあります。そのため症状が改善していないのであれば、等級が下がらないように優れた診断書を提出しましょう。

障害者で十分な収入がない場合、障害年金は重要です。そこで障害年金の等級を理解して、定期的にお金を得られるようにしましょう。

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