精神障害者にとって、うつ病や統合失調症はメインの病気になります。こうした精神障害者について、人によっては入所施設(障害者支援施設)への入居を考えるケースがあります。
このとき重度の精神障害者であれば、施設入所支援を活用することで障害者支援施設を活用できます。ただ精神疾患は症状が大きく変動するため、複数の障害を併発していない人の場合、障害者支援施設を利用できなかったり、そもそも利用が適切でなかったりします。
そのため精神障害者については、入所施設に加えて障害者グループホームを検討するのが適切です。
それではうつ病や統合失調症などの精神障害者で施設入所支援を利用するとき、どのように考えればいいのでしょうか。精神障害者での障害者支援施設の活用法を解説していきます。
もくじ
施設入所支援で必要な重度の区分
障害者が施設入所支援を活用して障害者支援施設へ入居するとき、障害支援区分が重要になります。区分は1~6まであり、区分は障害の程度を表します。区分の数字が大きくなるほど重度になります。
このとき、施設入所支援を利用するためには区分4以上でなければいけません(50歳以上の人は区分3以上)。
つまり、重度の障害者のみ入所施設(障害者支援施設)への入居が可能になります。
うつ病や統合失調症は低い区分になりやすい
このとき、うつ病や統合失調症などの精神障害者が障害支援区分を取得するとき、得られる区分は低くなりがちです。精神障害者について、以下は実際の区分の割合です。
区分認定 | 割合 |
非該当 | 0.0% |
区分1 | 2.5% |
区分2 | 42.5% |
区分3 | 32.5% |
区分4 | 15.1% |
区分5 | 4.8% |
区分6 | 3.6% |
※障害支援区分の審査判定実績:2020年
このように区分4以上の人は少なく、75%以上が区分1~3であるとわかります。そのためうつ病のみや統合失調症のみなど、特定の精神疾患を発症している精神障害者の場合、そもそも障害者支援施設を利用できない可能がそれなりに高いです。
更新で区分が低くなるリスクがある
それでは、区分4以上であれば問題ないのかというと、そういうわけではありません。精神疾患は時間経過に伴って症状が大きく変動します。特にうつ病や統合失調症の場合、寛解が可能です。つまり、時間経過によって症状が改善することがよくあるのです。
また精神障害者について、定期的に障害支援区分の更新をしなければいけません。このとき、区分4以上であっても時間経過によって症状が軽くなり、区分3以下になることがあります。この場合、場合によっては入所施設の利用が難しくなります。
・知的障害や身体障害を併発している場合は問題ない
なお中には、精神障害者の中でも知的障害や身体障害を併発しているケースがあります。知的障害や身体障害は通常、改善しません。そのためこの場合、それ以上の回復を見込めないため、常時の介護が必要な障害者について入所施設を利用するのは問題ありません。
ただ障害を併発していない場合、仮に区分4以上を取得できたとしても、精神障害者は入所施設の利用が適切ではない場合がひんぱんにあります。
障害者グループホームの利用は手軽
なお入所施設(障害者支援施設)と同様に、障害者が共同生活を送る施設に障害者グループホームがあります。施設入所支援と異なるのは、障害者グループホームでは区分1以上であれば誰でも利用できる点です。
そのため、うつ病や統合失調症などで症状が改善したとしても、障害者グループホームであれば何も心配なく継続して入居できます。
また障害者グループホームであれば、障害の程度が軽度の人であっても問題なく受け入れてくれます。そのため精神障害者にとって、施設入所支援よりも障害者グループホームを利用するほうが手軽です。
他には、外出したい精神障害者は障害者グループホームのほうが適切です。障害者グループホームは多くが住宅地に存在するため、周囲にコンビニやスーパーがあります。
一方で入所施設の場合、多くは郊外に位置しています。そのため外出しても周囲にコンビニやスーパーは存在せず、自由に買い物できないことがよくあります。施設の中だけですべてが完結するように設計されているのが障害者支援施設であり、入居者の外出はあまり想定されていないのです。
知的障害や身体障害がある場合、障害者支援施設は有効
一方で前述の通り、知的障害や身体障害などを併発しており、複数の障害を抱えている精神障害者については、入所施設(障害者支援施設)を活用するのは有効です。
常に介護が必要であり、回復の見込みがない場合、入所施設を考えるのは問題ありません。
・日中支援型グループホームの利用も優れる
なお重度の障害者向けの施設としては、障害者支援施設だけでなく、障害者グループホームにも存在します。障害者グループホームの形態として日中支援型グループホームがあります。日中支援型グループホームの場合は重度の障害者向けであり、常に医療が必要であっても対応可能な施設は多いです。
一般的な障害者グループホームについては、賃貸マンションや賃貸の一軒家を利用します。そのため、内装は普通の家と同じです。
一方で日中支援型グループホームについては、専用の施設になります。そのため、例えばお風呂は以下のような設備になります。
そこで常に介護が必要な重度の精神障害者について、施設入所支援での障害者支援施設だけでなく、日中支援型グループホームも視野に入れましょう。そうすれば、入居先の選択肢が多くなります。
精神障害者で障害者支援施設の利用には注意点がある
重度の人のみが利用できる障害福祉サービスが施設入所支援です。ただ通常、精神障害者は障害支援区分の数字が小さくなりがちです。また時間経過と共に症状が改善すると、更新によって区分の数字が小さくなります。
そのため通常、精神障害者は入所施設ではなく障害者グループホームが向いています。知的障害や身体障害を併発している場合、障害者支援施設でも問題ないですが、うつ病のみや統合失調症のみの場合は注意が必要です。
なお入所施設だけでなく、日中支援型グループホームについても重度の障害者に対応しています。そこで、常に介護が必要であっても障害者グループホームを選択肢に入れるのは重要です。
障害者にとって、どのような施設に入居するのかは重要です。そこで、うつ病や統合失調症などの精神障害者は施設の種類や特徴を見極めましょう。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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