精神疾患に分類される病気がてんかんです。そのため、てんかん患者は障害者手帳を保有することでさまざまなメリットを得られます。特にデメリットがないのが障害者手帳です。

障害者手帳を申請するとき、重要なのは医師による診断書です。そこで、「どれだけ発作が重度なのか」「てんかん発作の頻度はどれくらいか」を医師へ正確に伝え、診断書に反映してもらうようにしましょう。これにより、障害者手帳を保有できます。

てんかん患者が障害者手帳を保有すれば、障害者割引や減税など多くの特典を得られます。同時に自立支援医療制度へ申請すれば、医療費が安くなります。また、障害福祉サービスの利用でも障害者手帳は重要です。

それでは、てんかんをもつ人はどのように考えて障害者手帳を申請・活用すればいいのでしょうか。てんかん発作のある人が障害者手帳をどう利用すればいいのか解説していきます。

てんかんは精神障害者に分類される

精神疾患を患っている人は障害者手帳の発行が可能です。てんかんは精神障害者に分類され、精神障害者保健福祉手帳へ申請できます。

  • 精神障害者保健福祉手帳:精神障害のある人

2年ごとに更新が必要になるのが精神障害者保健福祉手帳です。そこで、てんかん発作によって障害者手帳を取得した場合、更新していく必要があります。

・障害年金は高いハードルだが障害者手帳は問題ない

てんかん患者は障害年金の申請が可能であるものの、実際のところてんかんでの受給率は低いです。つまり、障害年金のハードルが高いのです。

一方で障害者手帳の取得について、てんかんであればまったく問題なく取得できます。障害年金とは異なり、小児でも大人でもてんかん患者が精神障害者保健福祉手帳を申請することに対してためらう必要はありません。

精神障害者保健福祉手帳での等級は1級・2級・3級

このとき、精神障害者保健福祉手帳には1~3の等級があります。1級は最も症状が重く、2級・3級と数字が大きくなると軽度になります。

てんかん患者では、障害者手帳の等級はどのように変化するのでしょうか。障害者手帳の等級を判断するとき、てんかん発作を以下の種類に分けます。

  • A:状況に関係なく意識障害が起きる発作、転倒する発作
  • B:意識を失うが倒れない発作、意識明瞭だが思うように動けない発作

このとき、精神障害者保健福祉手帳の1級・2級・3級は以下のように考えます。

【1級程度】

  • Aの発作が月に1回以上

【2級程度】

  • Aの発作が年に2回以上、またはBの発作が月に1回以上

【3級程度】

  • Aの発作が年に2回未満、またはBの発作が月に1回未満

一つの目安になりますが、薬を服用しているにも関わらずこうしたてんかん発作に悩まされている場合、精神障害者保健福祉手帳を取得できます。

ただ精神障害者保健福祉手帳へ申請するためには、医師による初診日から6か月以上が経過している必要があります。そのため、てんかん発作のある人が障害者手帳を入手するには初診日から一定の時間が経過している必要があります。

医師の診断書に発作回数や日常生活の困難度を記してもらう

なお障害者手帳の等級については、症状が重い等級の手帳であるほど優れた特典が多くなります。そのため特典面で考えると等級は重いほどいいですが、医師に症状を正確に伝えることで「治療を継続しているが日常生活に制限を生じている」と診断書に記してもらいましょう。

精神障害者保健福祉手帳の申請で必須になるのが医師の診断書であり、障害者手帳の入手で最も重要になります。以下は精神障害者保健福祉手帳の診断書の一部です。

このように「アパートなどで一人暮らしをしている」と仮定して、不自由に感じる項目を医師に記してもらいます。てんかん発作がある場合、食事などの場面では特に問題ないですが「身辺の安全保持や危機対応」「社会的手続き」などが困難です。そこで、これらの場面で制限があると記してもらいましょう。

税金の優遇や障害者割引など特典は多い

障害者手帳を保有することで得られる特典は多いです。精神障害者について、精神障害者保健福祉手帳1級は特別に症状が重いです。そのため多くは2級または3級になりますが、これらの等級であっても障害者手帳を申請・保持する意味は大きいです。

例えば、軽度であっても以下のような優遇措置があります。

  • 所得税・住民税の減税(本人または配偶者・扶養者)
  • バスやタクシーでの割引
  • 映画館やテーマパークの割引
  • 失業手当を通常より長く受け取れる
  • 障害者雇用の利用

他にもありますが、要はお金の補助や支払いに直結します。障害者手帳があれば、それだけで支出を抑えることができたり、多くの助成を受けたりできるのです。

例えば健常者であれば、失業保険によって受け取れる手当は90日です(1年以上・10年未満勤続で自己都合退職の場合)。一方で障害者手帳を保有している人の場合、失業手当の受給日数は300日です(45歳以上は360日)。このように、補助内容が大幅に違ってきます。

自立支援医療制度を同時に申請する

なおてんかん患者が障害者手帳に申請する場合、同時に自立支援医療制度(精神通院)にも申請するといいです。精神疾患をもつ人に対して、自己負担が1割になるのが自立支援医療制度(精神通院)です。

すべての精神疾患が含まれているため、当然ながらてんかんも対象になります。

自立支援医療制度へ申請する場合、精神障害者保健福祉手帳と同様に医師の診断書が必須です。そのため障害者手帳に申請するのであれば、自立支援医療制度についても申請すると効率的です。

就労移行支援や障害者グループホームなどの支援制度を利用する

てんかん患者については、知的障害や身体障害があるわけではなく、てんかん発作がないのであれば見た目は健常者と同じです。また、判断能力もはっきりしています。

そのため将来的には症状を落ち着かせ、社会復帰を目指すのが一般的です。そこで、障害者向けの公的サービスを利用しましょう。こうした公的サービスを障害福祉サービスと呼び、障害福祉サービスの一つに就労移行支援があります。

一般企業への就職を目指すのが就労移行支援です。就労移行支援を利用するとき、障害者手帳は必要でありません。ただ障害者雇用へ申し込むには障害者手帳が必須であるため、2級でも3級でもいいので精神障害者保健福祉手帳を保有しておく必要があります。

またいますぐの社会復帰が難しい場合、障害者グループホームを利用するという方法もあります。複数の障害者が共同生活を送り、超格安にて住める場所が障害者グループホームです。

いますぐの就労が難しく、実家に住むのも難しい障害者の場合、多くが障害者グループホームを利用しています。障害者グループホームの利用で障害者手帳は必須でないものの、実際には入居時に提示を求められるため、やはり障害者手帳の保有は重要です。

障害福祉サービスと障害者手帳は別のシステムです。ただ実際には、てんかん患者で精神障害者保健福祉手帳の提示が必要になる場面は多いのです。

軽度でも重度でもてんかんで障害者手帳の保有が可能

てんかん発作によって日常生活での活動に制限のある人はたくさんいます。こうしたてんかん患者について、障害者手帳を申請しましょう。障害年金とは異なり、てんかんで精神障害者保健福祉手帳を保有するのは難しくありません。

精神障害者保健福祉手帳の中でも、多くは2級または3級になります。医師の診断書が重要であるため、どのような症状なのか正確に伝えましょう。

また障害者手帳に申請する場合、同時に自立支援医療制度にも申請しましょう。両方とも医師の診断書が必要になります。さらには、障害福祉サービスを活用することで社会復帰をしたり、格安にて生活したりするといいです。

てんかんによって日常生活が制限される場合、障害者手帳の申請が可能です。障害者手帳の保有はお金の補助や支払いに直結するため、非常に重要な仕組みとなります。

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