障害者の中には、強度行動障害の人がいます。強度行動障害では、重度の知的障害を伴う自閉症がメインとなります。こうした知的障害や自閉スペクトラム症(ASD)、発達障害が背景にある人について、強度行動障害がある場合、親族は施設にて生活してもらいたいと考えるのが普通です。
ただ、強度行動障害の場合はなかなか受け入れ施設が存在しないのが実情です。自傷行為や物を壊すなど、周囲の人に影響を与える行動が多いからです。
そのため、「強度行動障害であっても受け入れ可能な施設を探す方法」を理解するなど、事前に注意点を学ぶ必要があります。特に、他害・暴力がある重度自閉症の場合はなおさらです。
それでは、強度行動障害についてどのように受け入れ施設を探せばいいのでしょうか。強度行動障害での障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)の利用について解説していきます。
もくじ
強度行動障害の受け入れ施設を探すのは難しい
強度行動障害のある重度の知的障害者・自閉症患者について、障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)を含め、受け入れ施設を探すのは難しいです。強度行動障害の場合、以下のような行動があります。
- 自傷行動
- 他害・暴力
- 物損
- 危険な場所に飛び出す
- 食事や睡眠の大きな乱れ
- 大声で叫ぶ
- 長時間泣き続ける
家族が強度行動障害の障害者を介護する場合、家族は常に危険な状態となり、介護疲れを起こします。そのため受け入れ施設を探すために障害者グループホームや入所施設を考えるものの、こうした施設についても強度行動障害の場合は受け入れ拒否されるケースがよくあります。
他害・暴力・暴言は受け入れ拒否や強制退去の代表例
強度行動障害で受け入れ拒否になる理由は単純であり、行動に問題のある障害者を受け入れると施設の運営が成り立ちにくくなりますし、他の利用者(障害者)に対して迷惑がかかるからです。
例えば、以下は障害者グループホームで利用者が暴れた後になります。
このように暴れる場合、警察対応にまで問題は発展しますし、後片付けが大変です。また、他の利用者は数日ほど施設利用に困難を生じるようになります。
これが、スタッフや他の利用者に対する他害・暴力があると、より受け入れ拒否になりやすいです。障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)について、他害は強制退去になる理由の代表です。
病院に閉じ込める場合、生活能力が衰える
なお受け入れ可能な障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)を探すのではなく、精神科病院の隔離室を利用するという方法もあります。
他の人と接したり、刺激があったりすることで症状悪化となり、自傷行為や他害・暴力が発生してしまう場合、精神科病棟の隔離室(保護室)を利用できます。こうして、本人のストレスをできるだけ抑えられるようになります。
ただ病院の隔離室に入る場合、それまで可能だったことができなくなり、人間としての能力が失われていくのが普通です。例えば、以下のようになります。
- 一人でトイレをできていたが、おむつ生活に戻る
- 話す言葉が少なくなり、単語を言えなくなる
- 動くことが少なくなり、表情や生気が衰える
- 姿勢は崩れ、歩き方がおぼつかなくなる
- ボタンの止め方を忘れる
「ストレスを軽減する」というと聞こえはいいですが、この対応方法は薬によって症状を落ち着かせ、可能な限り本人の行動を制限することを意味します。こうして暴れなくなるものの、人としての能力はなくなっていきます。
通常の障害者施設では受け入れ拒否になりやすい
そこで、強度行動障害を含めて好ましくない行動や他害のある障害者であっても受け入れ可能な施設を探すことを考えましょう。たとえ強度行動障害があっても、受け入れてくれる施設は存在します。
このとき、一般的な障害者グループホームでは受け入れ拒否となる可能性が高く、難しいかもしれません。多くの場合、障害者グループホームはシェアハウス形式での生活になるため、他害や物損などの行為があると、他の利用者が危険にさらされるからです。
また以下は実際の障害者グループホームですが、このような普通の家を活用して障害者は集団生活を送ります。
こうした普通の家の場合、防音対策はないため、例えば聴覚過敏があると強度行動障害の人は住むのが難しいです。また、他の利用者とトイレ利用が重なるなどしてトラブルへと発展しやすいです。そのため、一般的な施設では対応が困難となって受け入れ拒否や強制退去になりやすいです。
日中支援型グループホームや専門施設で受け入れ施設がある可能性
そこで、重度の障害者向けの施設を探すようにしましょう。例えば、以下のような施設になります。
- 日中支援型グループホーム
- 入所施設(障害者支援施設)
これらは、どちらも重度の障害者が利用することを想定している施設です。もちろん、こうした施設であっても他害や物損行為があると、受け入れ拒否としている施設はたくさん存在します。強度行動障害者を受け入れ可能性であっても、特に他害があると難しくなります。
日中支援型グループホームも入所施設も、他の利用者(障害者)が活用しています。ただ、重度障害者向けの施設の中には他害があっても受け入れてくれる施設があるため、そうした施設を根気よく探すしかありません。
または、数は少ないものの強度行動障害に特化した施設も存在します。この場合、重度の知的障害や自閉症(ASD)、発達障害で他害があっても、施設に空きがあれば受け入れてくれます。
ワンルームの障害者グループホームを探すのは問題ない
なお強度行動障害について、ワンルーム形式にて受け入れてくれる障害者グループホームを探しても問題ありません。
通常、障害者グループホームは複数の障害者と共同生活をします。入所施設(障害者支援施設)についても、多くの障害者と一緒に暮らすことになります。
ただ中には、ワンルーム形式の障害者グループホームが存在します。そこで強度行動障害の人について、敢えて他の障害者と会う機会を減らし、一人で玄関やトイレをすべて使えるワンルーム形式のグループホームを利用するのです。
通常、重度の障害者ではシェアハウス形式のほうが適切です。トラブルを生じたとき、すぐにスタッフが駆け付けられるからです。
一方で自傷や他害、暴力行為のある強度行動障害の人については、敢えてワンルーム形式の部屋に住むことで対人刺激が減ることで、トラブルが少なくなる傾向があります。あとは環境を整えることができれば、症状が穏やかになるケースがよくあります。
もちろん、他害・暴力があると介護スタッフが危険であるため、受け入れてくれるとは限りません。ただ、こうした障害者グループホームも視野に入れるといいです。
他の都道府県を含めて探さないと見つからない
なお重度の知的障害者や自閉症があり、強度行動障害を抱えている場合、他の都道府県を含めて障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)を探すようにしましょう。
そもそも、障害者グループホームや入所施設は数が少なく、空きがありません。そうした状況で強度行動障害をもつ障害者を受け入れてくれる施設を探すとなると、さらに候補が少なくなります。当然、「親族が住んでいる近くの施設」に限定すると空きはゼロです。
そこで、強度行動障害の受け入れ施設を探すときに他の自治体も視野に入れて探すのは必須です。
一般的な障害者であっても、施設の空きが少ないために他の都道府県まで含めて探すのが普通です。これが強度行動障害となると、他の都道府県まで選択肢に入れるのは必須と考えましょう。
障害者グループホームや障害者支援施設を根気よく見つける
受け入れ施設を探すとき、受け入れ拒否になりやすく、施設を探すのが最も難しい部類の障害に強度行動障害があります。自傷行為や物損、他害・暴力などの行為がある場合、通常は強制退去になります。そのため、受け入れされにくいのです。
特に他害は問題であり、通常は一発で強制退去です。そのため、対人過敏や環境過敏のある重度の知的障害者・自閉症の人にとって、受け入れ施設を探すのは大変です。
そこで、重度の知的障害者や自閉症・発達障害であっても受け入れてくれる「重度の障害者向けの施設」を探しましょう。例えば日中支援型グループホームや強度行動障害に特化したグループホーム、入所施設(障害者支援施設)であれば、受け入れ可能な施設が少数ながら存在します。
当然、受け入れ先が少ない以上、他の都道府県まで選択肢に入れる必要があります。これらを考慮して、強度行動障害での受け入れ先を探すといいです。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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