障害者グループホームの中には、障害者と認知症高齢者が共同で生活を送る施設があります。これを共生型グループホームといいます。
グループホームには、認知症高齢者向けと障害者向けの2種類があります。そこで、両方の要素を組み合わせたグループホームとして共生型グループホームがあるのです。
障害者と高齢者が交流でき、複数の世代が在籍することで相乗効果を得られます。ただ当然ながら、メリットだけでなくデメリットもあります。例えば施設の専門性が劣ることになったり、感染症リスクが増えたりするのです。
それでは、共生型グループホームはどのような施設なのでしょうか。共生型グループホームの内容を解説していきます。
もくじ
障害者と高齢者が一緒に暮らす共生型グループホームとは
まず、共生型グループホームとは何か学びましょう。グループホームには、前述の通り認知症高齢者向けと障害者向けの2種類があります。正式名称は以下になります。
- 認知症高齢者グループホーム:認知症対応型共同生活介護
- 障害者グループホーム:共同生活援助
両者はまったく異なる施設であり、入居者が認知症高齢者と成人の障害者でまったく違います。また年齢も異なり、認知症高齢者グループホームでは65歳以上の人が入居対象です。
一方、障害者グループホームでは知的障害者や精神障害者は18歳以上なら新規入居で年齢制限がありません(身体障害者は65歳未満で新規入居できます)。
そこで一つの施設に認知症高齢者グループホームと障害者グループホームを組み合わせた施設として共生型グループホームが存在します。中には、障害児(子供)を受け入れている施設もあります。要は、幅広い年齢層が一緒に暮らす施設が共生型グループホームです。
同じ施設でも場所によって適用内容が異なる
認知症高齢者と成人の障害者のように、まったく異なる性質の人が住むことになるのが共生型グループホームです。そのため、例えば「一階は認知症の高齢者が住み、二階に障害者が住む」などになります。
成人の障害者(18歳以上)と高齢者では適用されるサービス内容が異なります。高齢でない知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者を含め、障害福祉サービスを利用することになります。
一方、65歳以上で障害者ではない場合、介護保険サービスを利用します。そのため認知症高齢者では、介護保険を利用します。
同じ施設(建物)ではあるものの、異なる仕組みを利用することによって介護サービスが提供されるのが共生型グループホームです。
必ずしも親子で入居できるわけではない
なお高齢者が利用可能な施設が共生型グループホームではあるものの、親子で入居できるわけではありません。障害のある子供とその親が入居するには以下の条件が必要です。
- 親:認知症の診断がある
- 子供:障害者
高齢者の場合は老人ホームに入居可能であるものの、認知症高齢者グループホームは医師による認知症の診断結果がなければ入居できません。これが、共生型グループホームで必ずしも親子で入居できるわけではない理由です。
高齢の身体障害者でも障害者グループホームで暮らし続けるのは可能
なお障害者向けのグループホームであっても、65歳以上になっても身体障害者は住み続けることが可能です。新たな入居は64歳までに行う必要があるものの、それ以降については、強制退去とならない限り住み続けることができるのです。
65歳になったことを理由に身体障害者で障害者グループホームを利用できなくなるのは本人にとってデメリットばかりです。そのため、年齢を理由に他の施設を移る必要はありません。
ただ65歳以上だと身体障害者は障害者グループホームへ新規に入居することができないため、早めに障害者グループホームを利用する障害者がほとんどです。このとき、共生型グループホームであれば認知症高齢者も共同で生活するというわけです。
なお前述の通り、知的障害者や精神障害者は65歳以上であっても障害者グループホームへ新規入居できます。また65歳に達するまでに、ホームヘルプや障害者グループホームなどの障害福祉サービスを利用していた場合、例外として65歳以上の身体障害者であっても障害者グループホームに新たに入居できます。
施設の専門性は必然的に劣るデメリット
それでは、共生型グループホームを利用する問題点としては何があるのでしょうか。デメリットとしては、障害者のみを相手にしている施設に比べると、必然的に専門性が劣ってしまう問題があります。
障害者と認知症高齢者では、提供するサービス内容が大きく異なります。知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者の場合、たとえ障害の程度が重度であっても昼間に働くのが普通です。一般企業や作業所を通じて賃金を得るのです。
当然、障害者グループホーム側が利用者の就労を支援するため、こうした就労施設と調整するのは普通です。
一方で認知症高齢者の場合、日中活動をすることはありません。基本的には、ずっと施設内に滞在しています。
また障害者の自立を促すのがスタッフの仕事である一方、認知症高齢者では認知症の進行を遅らせるのが主な目的です。そのため幅広い世代間のコミュニケーションという意味では優れるものの、提供するべきサービス内容が大きく異なり、スタッフの負担は大きくなります。
介護職員の業務内容が多いというのは、サービスの質の低下に直結します。例えば医師であっても、骨折の治療は総合内科よりも整形外科のほうが優れるのは当然です。専門特化しておらず、幅広い人を対象にするというのは、それだけ提供されるサービスが劣ることを意味するのです。
高齢者では感染症リスクが高くなる
幅広い世代が一緒に住むというのは、健康面での問題点もあります。最も問題になりやすいのは感染症リスクです。
障害者グループホームは18歳以上の人が入居可能であり、若い利用者もたくさんいます。また中には、「どこが障害者なのかわからない」というような、健常者との見分けがつかない人もいます。こうした若い人の場合、休日に外へ出るのは当然です。
障害者グループホームは外出自由です。以下は実際に自転車で利用者が出かけるときの様子です。
高齢者のみが利用する場合、外出する人は少ないです。一方で若い人であれば、休日に友人と一緒に買い物や映画館へ出かけるのは普通です。そうなると、どうしても外からウイルスなどをもってくる可能性が高くなります。
若者は問題なくても、免疫力が低下している高齢者では細菌・ウイルス感染症は致命傷となるケースがあります。
グループホームは多くの人で共同生活を送る場所であり、特に共生型グループホームでは一つの施設に住む人の数が多い傾向にあります。そのため、クラスター発生のリスクもあるのです。こうした感染症についても共生型グループホームのデメリットです。
共生型グループホームにはメリットとデメリットがある
障害者と認知症高齢者が共同生活する施設に共生型グループホームがあります。通常、認知症高齢者向けと障害者向けのグループホームは別物です。ただ、2つのグループホームの仕組みが一つの施設に備わっているケースがあるのです。
幅広い年齢の人が互いにコミュニケーションを取れるため、相乗効果を見込めます。必ずしも親子で入居できるわけではないものの、さまざまな人と触れ合えるのはメリットです。
また18歳以上であれば、年齢に関係なく入居できます(身体障害者は64歳までに入居やその他の障害福祉サービス利用があれば、65歳以上になっても入居可能です)。ただ専門性が劣ったり、高齢者にとって感染症リスクがあったり、共生型グループホームのデメリットも理解しましょう。
複数の人と共同生活を送る中でも、障害者と認知症高齢者が協力して生活する施設が共生型グループホームです。こうした施設を利用することにより、障害者も認知症高齢者も介護職員の力を借りながら、家族なしでも問題なく生きることができます。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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