脳損傷によって障害者となってしまう人はたくさんいます。脳血管障害や交通事故、脳腫瘍による後遺症など、こうした高次脳機能障害によって半身まひや言語障害が残った場合、身体障害者手帳の対象になります。
身体障害者手帳については、認定基準が存在します。また複数の障害がある場合、すべての障害を合算することで上の等級になるのは普通です。
障害者手帳を利用することによるメリットは多いです。当然、等級が重いと受けられる特典や公的サービスは多くなります。
それでは、脳血管障害や事故、脳腫瘍などによって脳損傷を負ってしまった人はどのように身体障害者手帳を保有すればいいのでしょうか。高次脳機能障害での障害者手帳の申請について解説していきます。
もくじ
脳血管障害などで高次脳機能障害を生じる人は多い
急に脳に大きな損傷を負ってしまう人は多いです。例えば、以下のような状態に陥ることによって高次脳機能障害となります。
- 脳梗塞・くも膜下出血などによる脳血管障害
- 交通事故による脳外傷
- 脳腫瘍による後遺症
- 心肺停止による低酸素脳症
高次脳機能障害によって日常生活が不自由になっている場合、身体障害者手帳への申請が可能です。
身体障害者手帳を保有することにより、公的に障害者として認められるようになります。そのため、病気や事故の後に後遺症が残った場合は身体障害者手帳を活用しなければいけません。
肢体不自由・片麻痺(半身まひ)での認定基準
高次脳機能障害によって生じる後遺症はさまざまですが、その一つに片麻痺(半身まひ・半身不随)などの肢体不自由があります。体を自由に動かせない人は身体障害者に該当し、以下が身体障害者手帳での認定基準になります。
- 上肢(肩から先の部分)の肢体不自由
1級 | 両腕の機能がまったくない |
2級 | 両腕・両手の著しい機能障害 |
片腕の機能がまったくない | |
3級 | 両手の親指と人差し指がまったく機能しない |
片腕の著しい機能障害 | |
片手のすべての指がまったく機能しない | |
4級 | 両手の親指がまったく機能しない |
片腕の肩・ひじ・手のうち、どれか一関節機能がまったくない | |
片手の親指と人差し指がまったく機能しない | |
親指または人差し指を含めて、片手の3指がまったく機能しない | |
親指または人差し指を含めて、片手の4指の著しい機能障害 | |
5級 | 両手の親指の著しい機能障害 |
片腕の肩・ひじ・手のうち、どれか一関節の著しい機能障害 | |
片手の親指がまったく機能しない | |
片手の親指と人差し指の著しい機能障害 | |
親指または人差し指を含めて、片手の3指の著しい機能障害 | |
6級 | 片手の親指の著しい機能障害 |
人差し指を含めて、片手の2指がまったく機能しない | |
7級 | 片腕の軽度の機能障害 |
片腕の肩・ひじ・手のうち、どれか一関節の軽度の機能障害 | |
片手指の軽度の障害 | |
人差し指を含めて、片手の2指の著しい機能障害 | |
片手の中指・薬指・小指がまったく機能しない |
身体障害者手帳は1~6級までとなります。7級については、一つのみが該当する場合、身体障害者手帳は発行されません。一方で7級が2つ以上ある場合、身体障害者手帳6級となります。
- 下肢(股関節以降の足)の肢体不自由
1級 | 両足の機能がまったくない |
2級 | 両足の著しい機能障害 |
3級 | 片足の機能がまったくない |
4級 | 両足のすべての指がまったく機能しない |
片足の著しい機能障害 | |
片足の股関節または膝関節の機能がまったくない | |
5級 | 片足の股関節または膝関節の著しい機能障害 |
片足の足関節の機能がまったくない | |
6級 | 片足の足関節の著しい機能障害 |
7級 | 両足すべての指の著しい機能障害 |
片足の軽度の機能障害 | |
片足の股関節、膝関節、足関節のうち、いずれか一関節の軽度の機能障害 |
肢体不自由では、下肢についても上肢と同様に7級を考えましょう。
言語障害やそしゃく障害でも認定が可能
なお高次脳機能障害について、言語障害やそしゃく機能障害を有する人もたくさんいます。例えば脳卒中や脳梗塞、脳腫瘍、頭部外傷など、脳損傷による後遺症によって言語機能がなくなった状態に失語症があります。
そのため脳血管障害(脳梗塞、脳卒中、脳出血、くも膜下出血など)や脳腫瘍による後遺症によって言語機能を失った場合、障害者となります。このときの認定基準は以下のようになります。
・音声・言語、そしゃく機能の障害
3級 | 機能の喪失 |
4級 | 機能の著しい障害 |
そのため失語症となった場合、身体障害者手帳の等級は3級または4級となります。
複数の障害が組み合わさると等級が上がる
なお高次脳機能障害では、上半身と下半身の両方に症状が表れているのは普通です。また片麻痺(半身まひ)だけでなく、失語症など他の障害が加わることがよくあります。さらには、認知障害も出現します。
こうした場合、すべての障害を組み合わせることで等級が決定されます。つまり、単独の障害よりも有利な等級に認定されます。
まず、一つの等級について以下のように点数を付けます。
- 1級:18点
- 2級:11点
- 3級:7点
- 4級:4点
- 5級:2点
- 6級:1点
- 7級:0.5点
その後、すべての点数を合計しましょう。その結果、以下のように点数ごとに身体障害者手帳での等級を決定します。
- 18点以上:1級
- 11~17点:2級
- 7~10点:3級
- 4~6点:4級
- 2~3点:5級
- 1点:6級
こうして、高次脳機能障害で複数の障害を生じている人はより重度の等級にて身体障害者手帳の認定を受けられるようになります。
身体障害者手帳を保有することによるメリットは多い
なお身体障害者手帳を保有することにより、受けられる公的サービスは多くなります。等級によって利用できる公的サービスや障害者割引の内容は異なるものの、例えば以下は障害者手帳を利用することによって可能になるサービス内容です。
- 税金(所得税・住民税・自動車税)や公共料金(水道代)の減額
- 電車、新幹線、バス、タクシー、飛行機の減額
- 高速道路・ETC料金が半額
- 映画館や水族館、美術館、テーマパークの割引
- 医療費の助成
- 障害者手帳で手当を受け取る
- ガソリン代やおむつ代の補助
- 福祉用具・補装具の補助
- 住宅改修・リフォーム費用の助成
- 障害者雇用の利用
- 失業保険の拡充
これら障害者向けの内容は申請しなければ利用できません。そのため、積極的に身体障害者手帳を利用することで日々の支出を少なくしたり、補助・助成をしてもらったりしましょう。
できないことを医師に伝え、診断書を作成してもらう
このとき、医師の診断書が必要になります。すべての障害者について、医師に診断書の作成を依頼して、いまの症状を客観的に記してもらわなければいけません。
そこで半身まひや失語症を含めて、医師に対して日常生活で行えないことを正確に伝えましょう。例えば以下は、肢体不自由用の身体障害者手帳の診断書に関する一部になります。
このように、日常生活の動作に関する項目を記載してもらわなければいけません。医師がこうした内容を把握していることはないため、事前に医師へ伝えることで正しい内容が反映されるようにしましょう。
ウソの内容を伝える必要はないものの、実際に困っている内容を医師に伝え、その内容を元に診断書を作成してもらうのは問題ありません。診断書によって等級が決定されるため、できない内容を事前に伝えましょう。
脳梗塞や脳挫傷、脳腫瘍で障害者手帳を得る
脳血管障害や事故による脳挫傷、脳腫瘍での後遺症を含め、高次脳機能障害に悩む人は多いです。こうした人で片麻痺(半身不随)や失語症(言語障害)などの症状が表れている場合、身体障害者手帳へ申し込みできます。
障害者手帳の等級は人によって異なります。身体障害者手帳は1~6級まであり、いまの障害の程度に照らし合わせて等級が決まります。なお複数の障害がある場合、すべての障害を併せて等級が判断されます。
なお医師に日常生活で困難となっている内容を事前に伝える必要があります。そこで診断書の内容を確認しておき、どのような動作を行えないのか本人または家族が伝えましょう。
身体障害者手帳によるメリットは非常に大きいです。そこで高次脳機能障害の場合、身体障害者手帳を有効利用しましょう。
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