難病の一つにALS(筋萎縮性側索硬化症)があります。ALSによって症状が進んでいくと体が動かなくなり、こうした難病の人は身体障害者手帳や障害年金の対象になります。

身体障害者手帳を利用することにより、公的サービスの利用や割引を多くの場面で受けられるようになります。そこで医師の診断書を提出することにより、障害者手帳を得ましょう。

またALS患者は障害年金の申請も重要です。会社員・公務員のときにALSを発症する人は多いですが、障害厚生年金の場合は年150万円以上の受給になるのは普通です。症状が重くなれば、障害年金2級から1級へ変更することも可能です。

それでは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)ではどのように考えて身体障害者手帳と障害年金を得ればいいのでしょうか。認定基準や要件を確認していきます。

ALSで身体障害者手帳と障害年金を得る

人によってALS(筋萎縮性側索硬化症)の進行速度は異なります。短期間で進行する人がいれば、十数年にわたって徐々に進行する人もいます。

ただ、こうした難病患者で「障害者向けの公的サービスを利用できる」ことは共通しています。そこで、必ず以下の2つを利用しなければいけません。

  • 身体障害者手帳
  • 障害年金

日本には、たとえ無収入であっても問題なく生活できている人が非常にたくさんいます。これは、障害者手帳やその他の公的サービスを利用することで多くのサービスが無料になり、障害年金によって定期的にお金を得られるからです。

筋萎縮性側索硬化症の障害者手帳での基準

ALSの場合、体のあらゆる部分が動かなくなります。上半身や下半身が動かなくなるだけでなく、言語やそしゃく機能、呼吸器を含めて困難になります。

こうした場合、すべての障害を組み合わせて身体障害者手帳の等級を判断します。例えば以下は、上半身の不自由に関する内容です(「腕や指が存在しない」に関する内容は除外しています)。

1級
両腕の機能がまったくない
2級
両腕・両手の著しい機能障害
片腕の機能がまったくない
3級
両手の親指と人差し指の機能がまったくない
片腕の著しい機能障害
4級
両手の親指の機能がまったくない
片腕の肩・ひじ・手のうち、どれか一関節機能がまったくない
片手の親指と人差し指の機能がまったくない
親指または人差し指を含めて、片手の3指の機能がまったくない
親指または人差し指を含めて、片手の4指の著しい機能障害
5級
両手の親指の著しい機能障害
片腕の肩・ひじ・手のうち、どれか一関節の著しい機能障害
片手の親指の機能がまったくない
片手の親指と人差し指の著しい機能障害
親指または人差し指を含めて、片手の3指の著しい機能障害
6級
片手の親指の著しい機能障害
人差し指を含めて、片手の2指の機能がまったくない

上半身の判定だけでも、ALSでは身体障害者手帳の認定基準に該当する人が多いです。これに加えて下半身やその他の部位に関する障害を組み合わせると、身体障害者手帳1~3級になるのは普通です。

障害者手帳によって医療費負担や公共料金が軽減されます。また、障害福祉サービスを利用するときはスムーズになります。

障害年金でALSの等級はどうなるのか

またALS(筋萎縮性側索硬化症)では障害年金についても必ず申請しなければいけません。障害年金によって、たとえ働けなくても定期的にお金を得ることができるのです。

障害者手帳と障害年金はまったく別の制度です。事実、身体障害者手帳は1~6級までありますが、障害年金は1~3級です。そのため、身体障害者手帳の等級と障害年金の等級が異なるのは普通です。

このとき、肢体麻痺に関する障害年金の基準は以下になります。

等級状態
1級日常生活できない(上肢と下肢がまったく動かない など)
2級日常生活に著しい制限(上肢と下肢がほぼ動かない など)
3級労働に著しい制限(上肢と下肢に機能障害 など)
障害手当金労働が制限(一上肢の3大関節のうち1関節に著しい機能障害 など)

ほぼ寝たきりの状態では障害年金1級になりますし、車いす生活では障害年金2級になります。また、労働が困難な状態に陥っている人は障害年金3級です。

ALSで障害年金を受け取る場合、多くの人で障害年金1~3級となります。特に症状の進行が速い人の場合、障害年金1級や2級となるのは普通です。なお人によって受け取れる金額は異なりますが、会社員・公務員で障害厚生年金を受け取る場合、障害年金2級で年間150~200万円の受給額になるのは普通です。

初診日の診断名が違っても問題ない

なお、多くの人は体に異常を感じることで整形外科を受診することになります。ただ単なる整形外科クリニックでは原因不明と判断され、より厳密な検査を受けることによってALSと判明する人は多いです。

このとき、体の異常で最初に受診した整形外科(原因不明の診断を受けた医療機関)の受診日が初診日です。医療機関を受診しても「原因不明」「正しい診断名ではない」などはよくあるものの、障害年金では最初に受診した医療機関が重要になります。

もちろん、初診日につけられた診断名が変わり、正しい病名(ALS:筋萎縮性側索硬化症)へと、どこかの段階で変わるのは問題ありません。

障害年金で初診日は重要であり、初診日に国民年金の加入だったのか、それとも厚生年金の加入だったのかによって得られる障害年金の種類が違います。初診日が確定しないと障害年金の受け取りはできないため、初めて受診した医療機関(多くは整形外科)を確認しましょう。

・初診日が65歳未満で申請可能

人によってALSの発症年齢は異なりますが、65歳未満が初診日なのであれば障害年金に申請できます。ALSを発症して、最初に医療機関を受診した日が初診日です。一方で65歳以上が初診日の場合、老齢年金を受け取ることができるため、障害年金への申請はできません。

いずれにしても、初診日が65歳未満のALS患者は障害年金へ申請しましょう。

障害認定日の特例がALSに存在する

なお一般的には、ALSを発症して初めて医療機関を受診した後、1年6か月後から障害年金への申請が可能です。初診日から1年6か月後が障害認定日であり、障害認定日を基準に書類を提出できるようになるのです。

ただ中には、初診日から1年6か月を待たずに障害年金へ申請できる人がいます。こうしたALS患者としては、以下の人が該当します。

  • 非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)を開始した

つまり、人工呼吸器を開始した場合はその時点から障害年金の受給が可能です。人によっては非常に進行が速いこともあるため、この場合はすぐに障害年金を活用しましょう。

額改定請求で2級以上にして、遺族年金の可能性を残す

なお障害年金へ申請するとき、最初から1級であれば問題ないですが、2級や3級の人は症状悪化によって再申請することを考えましょう。より重度になったあと、重い等級に変更するための申請を額改定請求といいます。

ALSは日々、症状が進行していきます。そのため3級から2級、2級から1級へ額改定請求をするのは普通です。当然ながら、等級が重くなるほど得られる年金額が上昇します。

・障害年金2級以上では遺族年金の可能性

なおALSは突然死亡するのではなく、徐々に症状が悪化していきます。つまり、額改定請求をすることでほぼすべての人で障害年金1級や2級を受けられることを意味しています。

特に初診日に厚生年金に加入しており、障害厚生年金1級や2級になっておけば、障害者本人が死亡した後に残された親族は遺族年金を受給できます(初診日が国民年金の場合は除く)。自身が死亡した後、家族(配偶者や子供)が困らないためにも障害年金2級以上にするのは重要です。

障害者手帳と障害年金の両方を活用する

難病によって体の機能が失われ、障害者になってしまうケースがあります。ALS(筋萎縮性側索硬化症)は難病の一つであり、発症することで障害者になります。

障害者である場合、身体障害者手帳を発行しましょう。これによってさまざまな場面で割引や補助を受けられ、障害福祉サービスの利用もスムーズになります。

また障害年金も重要です。ALS患者では多くのケースで障害年金1~3級に該当します。また額改定請求によって等級を上げ、1級または2級にしておけば、親族は遺族年金を受け取れる要件を満たせます(障害厚生年金の場合)。

自身が働けなくなるからこそ、障害者向けの公的サービスを活用しましょう。その中で障害者手帳と障害年金は特に重要であるため、これらへ必ず申し込むといいです。

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