障害年金を受給している人の中で海外移住に興味のある人がいます。海外留学として語学留学やワーホリなどを経験するのです。

海外在住者になる場合、障害年金が停止するように思えてしまいます。ただ実際には、海外在住者であっても障害年金が停止になることはありません。もちろん更新がある場合は注意する必要があり、海外留学のタイミングは重要です。

なお例外として、20歳前傷病の場合は海外移住によって支給停止になります。この場合、事前に停止の届け出をしなければいけません。

海外転出をしたとしても障害年金の活用は可能であるものの、いくつかの注意点があります。そこで、どのように海外留学や海外移住を考えればいいのか解説していきます。

障害年金は海外移住先でも受給可能

身体障害者や知的障害者、精神障害者であれば障害年金の受給が可能です。このとき、海外留学や海外移住を考える人の大多数は身体障害者(難病患者を含む)です。

知的障害者で海外生活は難しいです。また日本語すら通じない新たな場所で精神障害者が一人で語学留学やワーホリをするとなると、「障害年金の受給が必要ないほど症状が回復している」といえます。そのため、「配偶者の海外転勤に伴って海外へ住む」などの場合を除き、知的障害者や精神障害者が海外に住むケースは稀です。

こうした理由から、通常は身体障害者の海外移住になりますが、障害年金を受給しているすべての人について、海外在住者であっても障害年金の受け取りが可能です。

このとき、渡航先の国に制限はありません。どの国へ移住するにしても、障害年金を受給可能です。

なお、お金の受け取りは日本の銀行口座で問題ありません。教科書的には、どの銀行も「海外在住者は口座を閉じないといけない」と記しています。ただ実際には口座を閉鎖する必要はなく、海外に住みながら日本の銀行口座で障害年金を受け取ればいいです。

更新時に海外留学中だと難易度が高くなる

ただ障害年金の受給は可能であるものの、有期認定(期限ありの障害年金)となっている人は注意が必要です。海外で留学中に更新のタイミングとなると、実際のところ更新が難しくなるからです。

更新時は医師の診断書の入手が必要です。そこで海外の病院で診断書を記載してもらう場合、英訳した診断書に記載してもらうことになります。

ただ、海外の医師は日本の制度を知っているわけではありません。日本の医師でさえ、障害年金の仕組みを理解しておらず、診断書の内容が正確に記載されずに審査落ちになるケースが頻発するのが実態です。当然、たとえ英訳されていても、海外の医師が正確な内容で障害年金用の診断書を作成してくれることはありません。

また日本であれば社労士が代行してくれるものの、海外であれば病院との交渉は障害者本人が行うのが基本です。日本在住の社労士が国際電話やメールなどで海外の病院とやり取りしてもいいですが、現地在住の障害者本人が直接交渉するほうがスムーズだからです。当然、このときは現地の言語での交渉となります。

こうしたハードルがあり、海外に住みながら障害年金の更新をするのは非常に大変ですし、診断書の中身が不十分で更新停止になるリスクも高いです。そのため有期認定の場合、更新となる4~6か月前には日本に帰国して、特定の医療機関に通い続け、日本の医療機関で診断書を作成してもらいましょう。

・永久認定では自由に留学可能

一方で永久認定の場合、障害年金の更新を心配する必要はありません。この場合、海外転出のタイミングに関係なく、好きなときに海外移住すればいいです。

現地での受け入れや医療、生活が可能かどうかが重要

いずれにしても、更新のタイミングにさえ注意すれば、障害年金を受給しながら海外転出できることがわかりました。ただそれよりも重要なのは、現地での受け入れ体制や医療制度、生活環境です。

例えば車いす生活の場合、留学を受け入れてくれる先は非常に少ないです。また現地で医療機関を受診する場合、医療費は非常に高額になります。

日本では、障害者は医療費が1割負担になるのは普通です(場合によっては2割負担)。これが住民税の非課税世帯だと、医療費が無料になるのも普通です。一方で海外ではこうした制度がなく、基本的には全額自費になります。

現地の民間医療保険に加入する場合であっても保険の内容はかなり薄いため、あまり期待しないほうがいいです。

また、生活できるかどうかも重要です。例えばフィリピンやマレーシアなどの東南アジアに英語留学する場合、こうした途上国は道路がどこもデコボコでバリアフリーにまったく対応しておらず、道路が舗装されている高級住宅街の周辺を除いて、車いすの人は実質的に外出が不可能です。

同様の注意点は先進国でも同じです。例えばアメリカの場合、ハワイであれば町がコンパクトであるものの、ロサンゼルスなどその他の街は店舗間の距離が非常に広いです。そのため住む場所を選ばないと、車移動でなければ生活が成り立ちにくいです。

海外は日本と比べて言語も制度も文化も違います。犯罪件数も日本に比べて海外では格段に上昇します。そのため、どの国のどの場所に住むのかは重要です。

20歳前傷病の場合、例外的に受給停止になる

ここまで、障害年金の受給者であれば海外在住でも問題なく障害年金を受給できると解説してきました。ただ、中には例外があります。それは、20歳前に初診日のある障害者です。

通常、国民年金(または厚生年金)に加入しており、それまでに保険料を支払っている人のみ、障害年金の受給が可能です。ただ20歳前に初診日がある場合、それまでに国民年金保険料を納付していないにも関わらず、障害年金の受給が可能です。

そのため20歳前障害については受給に関していくつかの例外があり、その一つが海外移住です。海外在住の場合、20歳前傷病の人は障害年金が受給停止となります。

海外転出時に届け出を行い、日本帰国と共に再開する

なお20歳前障害の人が実際に海外転出をする場合、事前に届け出をしましょう。これにより、障害年金の支給を停止してもらいます。

20歳前傷病の場合、障害基礎年金のみとなります。この場合、役所で手続きをします。そこで役所に出向き、国民年金の部署にて支給停止の手続きをしましょう。

なお障害年金については、語学留学やワーホリが終わって帰国する場合、再開できます。そこで障害年金の要件に当てはまっている場合、帰国と同時に受給再開に関する手続きをするといいです。

海外在住者でも障害年金の受給は可能

老齢年金について、海外在住者であっても受給可能なのは有名です。これは障害年金も同様であり、語学留学やワーホリなどによって海外転出する場合についても、問題なく障害年金を継続して受給できます。

ただ高齢者が受け取る老齢年金とは異なり、障害年金では多くの人で期間限定です。そのため更新時期に海外にいる場合、診断書の入手が困難であり、実質的に更新が非常に難しくなります。そのため永久認定の人を除き、更新時期に海外留学している状況は避けましょう。

なお海外移住をしても障害年金をもらえるのは本当ですが、例外として「20歳前傷病の人」が該当します。初診日が20歳より前の場合、海外移住によって障害年金の受け取りができなくなります。ただ、日本に戻れば障害年金の再開が可能です。

障害者で海外留学を考える人が中にはいます。このとき障害年金の制度を理解して、海外留学をしながら障害年金を活用しましょう。

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