障害年金の申請をするとき、すべての人で医師の診断書を提出しなければいけません。そこで、医師に依頼することで診断書を作ってもらいましょう。

なお何も考えずに診断書の作成を依頼すると、身体障害者や知的障害者、精神障害者を含めてダメな内容に仕上がります。そのため、障害年金の審査に通る診断書にしなければいけません。もちろんウソの内容では不正受給になりますが、本当の内容なら問題ないです。

中には、医師が診断書を書いてくれないケースがあります。これについて、患者側のことを考えていない医師を受診する意味はないため、病院・クリニックを早めに変更するといいです。

障害年金用の診断書について、作成してもらえばいいわけではありません。そこで、どのように考えて診断書を用意すればいいのか解説していきます。

障害年金の申請では医師の診断書が必須

人によって障害の種類や程度が異なります。そこで、どれだけ障害が重度なのか客観的に知る必要があります。そのための書類として医師の診断書があり、障害年金の受給ではすべての人で診断書を提出しなければいけません。

障害年金を申請するタイミングによって異なりますが、必要な診断書は1枚または2枚です。そこで、障害の状態を客観的に書いてくれる医師を見つけましょう。

なお身体障害者や知的障害者の場合、定期的に通院している病院・クリニックが存在しないのは普通です。この場合、障害年金へ申請するために診断書を書いてくれる病院を事前に探しておくといいです。

診断書の有効期限は3か月

なお、診断書はどの時点の内容でも問題ないわけではありません。正しい時期に取得した診断書である必要があります。

・障害認定日から1年以内に申請する:認定日請求

障害年金の申請をするとき、障害認定日が重要になります。初診日(対象の傷病で初めて医療機関を受診した日)から1年6か月が経過したときを障害認定日といいます。障害認定日から障害年金への申請が可能です。

このとき、「障害認定日から3か月以内の診断書」を提出しなければいけません。障害認定日から3か月以内に日付があれば、どの時点で提出しても問題ありません。

・障害認定日から1年以上後に申請する:遡及請求

ただすべての人について、障害認定日から1年以内に申請するわけではありません。障害認定日から1年以上が経過して申請することもあります。この申請方法を遡及請求といいます。

遡及請求では2枚の診断書を提出することになります。

  • 障害認定日での診断書:障害認定日から3か月以内
  • 現時点の診断書:申請したときから3か月以内

障害認定日付近の状態を表す診断書について有効期限はなく、障害認定日から3か月以内に日付があればいいです。一方で現時点の状態を表す診断書については有効期限があり、診断書を取得して3か月以内に障害年金へ申請しましょう。期限が過ぎた場合、診断書は無効なので再取得が必要です。

・後になって症状が悪化したので申請する:事後重症請求

障害認定日付近ではそこまで症状が重くなかったものの、後になって重症化するケースもあります。この場合の申請方法を事後重症請求といいます。

事後重症請求では、障害認定日付近の重症度が関係ないため、障害認定日のときの診断書は不要です。その代わり、現時点の状態を表す診断書を提出しましょう。診断書の有効期限は3か月であり、期限切れの前に障害年金へ申請する必要があります。当然、期限が切れた場合は再取得が必要です。

自費にて支払う診断書の料金

このように診断書の取得は必須になりますが、診断書を得るにはお金を払わなければいけません。保険適用外であるため、診断書の費用は全額自費です。

また料金・値段は医療機関側が自由に決めることができます。一般的には5,000~10,000円ですが、医療機関によっては15,000円ほどになることもあります。そこで、こうした費用を支払うようにしましょう。

・自治体による補助金は基本的にない

なお障害者手帳とは異なり、障害年金用の診断書取得について、自治体からの補助金は基本的にないと考えましょう。

障害者手帳は自治体が発行するため、障害者手帳用の診断書作成で補助金をもらえるケースがあります。一方で障害年金は日本年金機構が管理しており、自治体の管轄ではなく、補助金を利用しての診断書作成を期待してはいけません。

事前にメモを作成し、渡すのは必須

なお外部障害の身体障害者であれば、明確な検査数値を出すことができます。そのため新規や更新時の診断書作成で問題になるケースは少ないです。

一方で問題になりやすいのが精神障害者です。こうした人について、何も対策なしに医師へ診断書作成を依頼すると、高確率でダメな内容の診断書が作成されます。これは、通常の診察とはまったく関係ない内容を診断書に記載しなければいけないからです(臓器障害を含め、身体障害者も注意が必要な人は多いです)。

例えば、以下の内容を診断書に記載することになります。

  • 日常生活で可能なこと、できないこと
  • 過去の就学歴:普通学級、特別支援学級など
  • これまでの治療歴
  • 周囲の人によるサポート状況
  • 以前(または現在)の仕事内容や状況

これらの情報を事前に知っている医師は誰もいません。本人や家族ですら、すぐに答えられない内容が多いです。そのため、医師へ依頼するときは必ず事前にメモを用意しておき、それを渡しておく必要があります。そうしなければ、障害年金の審査に通る診断書にはなりません。

知的障害・精神障害で重要な日常生活能力

なお、知的障害者や精神障害者で特に重要になる診断書の内容に「日常生活能力の判定」があります。診断書の項目を確認すると、以下の部分が存在することに気が付きます。

この内容を確認すると、「アパートなどで一人暮らしをしていると仮定して、生活するためにどれだけ援助が必要か」についてチェック項目があります。つまり、食事や清潔保持、金銭管理・買い物などで、どれだけサポートが必要かをチェックされるのです。

日常生活能力の判定によって障害年金の等級(または、新規や更新で審査に通るかどうか)の大部分が決まります。当然、日常生活の様子を医師は知りません。そこで知的障害者や精神障害者は診断書を書いてもらいたい医療機関へ3か月ほどは通い、医師と連携して優れた診断書を作成する必要があります。

書いてくれない医師は変えるべき

ただ場合によっては、診断書を書いてくれないケースがあります。特に精神障害者で起こりがちですが、医師の自己中心的な判断によって診断書を書いてくれないのは普通です。

しかし、病気によって本当に生活困窮者となっているにも関わらず、診断書を書いてくれないダメな医師は患者のことを全く考えていないといえます。

確かに医師の診療業務に比べると、診断書の作成は医師にとって労力が非常に大きいにも関わらず、診断書の作成報酬は高くても15,000円ほどにしかなりません。つまり医師にとって、業務量に対して診断書作成の報酬額は非常に低いです。

そうはいっても、目の前の患者さんを本気で助けようとしない医師は最悪であり、当然ながら患者側の立場を考えることのできない医師が優れた医療を提供できるわけがありません。そのため医師が診断書を書いてくれない場合、仕方ないので診断書を書いてくれる医師を探して主治医を変えましょう。

自己中心的な医師を継続的に受診するのは、障害者側にとっても不幸です。そこで、本当の意味で協力してくれる医師を探すといいです。

ウソ(虚偽)の内容は詐欺罪で返還&逮捕リスクがある

なお診断書を書いてくれる病院・クリニックを探すとはいっても、「ウソ(虚偽)の内容に加担してくれる医師を探す」という意味ではありません。障害者の状態について、正しい情報を適切に診断書へ反映してくれる医師を探すことができれば問題ないです。

参考までに、医師を騙してウソの情報を診断書に記載させる場合、詐欺罪に該当します。不正受給の場合は支給停止になるのは当然として、不正受給したお金の全額を返還することになります。それに加えて、罰金や滞納金の返済まで加わります。

要は、それまで受け取った以上の高額なお金を返済しなければいけません。当然、悪質な場合は逮捕されます。

例えば以前、医師と共謀して「聴覚障害者と偽り、障害年金を受給した」という事件がありました。この事件について、医師と患者側の両方で有罪判決が確定しています。

この場合は医師が詐欺に加担していましたが、医師にウソをついて虚偽の診断書を作らせるケースについても詐欺罪に該当します。そのため詐欺罪にならないためにも、実際の内容を反映させた診断書を作成してもらいましょう。

優れた診断書を作成してもらい、障害年金を受給する

新規や更新を含め、障害年金では医師に診断書の作成を依頼しなければいけません。そこで医療機関に依頼して、診断書の作成をお願いします。

外部障害の身体障害者の場合、大きな問題にはなりにくいです。ただ知的障害者や精神障害者の場合、単に診断書作成を依頼すると、障害年金の審査に通らない診断書となります。そこで、医師に対して必要な情報を事前に与える必要があります。

また診断書を書いてくれないダメな医師の場合、できるだけ早めに医療機関を変えましょう。特に精神障害者の場合、生活状況が重要になるため、3か月ほどは通うことで医師に生活状況を含めた情報を伝え、診断書を書いてもらうのが一般的です。

障害年金用の診断書を書いてもらうとき、正しい方法があります。特に知的障害者・精神障害者の場合、どのように診断書の作成を医師に依頼すればいいのか事前に理解しましょう。

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