障害年金を受け取るとき、同時に親の扶養に入ることを考える人は多いです。大人であり、さらには収入が少ない人は扶養に入ることができます。これによって国民年金保険料は不要になりますし、国民健康保険料についても気にする必要がありません。
ただ親の扶養に入るためには、あくまでも収入の低い人が対象になります。そのため社会保険では、障害年金に加えて他の労働収入があり、合計で年180万円以上の人は障害者であっても親の扶養に入ることができません。
一方、ほぼ障害年金のみの収入で何とか生活しているなど、利用できるお金が少ない人は問題なく親の扶養を活用できます。
それでは親の扶養に入るとき、障害年金の受給者は何に注意すればいいのでしょうか。障害者で親の扶養を活用するときの考え方を解説していきます。
もくじ
障害者が実家で暮らしながら親の扶養に入る
障害者が親の扶養に入るとき、通常は実家暮らしになります。障害者と親が一緒に住むことにより、扶養に入るための条件を満たすのです。または、親の近くに住む場合であっても問題ありません。
扶養関係というのは、生計同一関係でなければいけません。このとき子供や配偶者であれば、別々に暮らしていたとしても、扶養している人のお金によって配偶者や子供の生活が成り立っているため、生計同一関係といえます。
一方で離れて暮らしており、それぞれの人が完全独立して生活している場合、たとえ親子であっても生計同一関係とはいえません。
親の扶養に入るための生計同一関係というのは、「親の財布によって障害者の生活が成り立っている場合」が該当します。そのため、通常は「実家に一緒に住む」または「親の近くに住む」ことになるのです。
会社員・公務員の扶養なら国民健康保険・国民年金の負担がゼロ
このとき親が会社員・公務員なのであれば、親は社会保険・厚生年金に加入していることになります。この場合、親の扶養に入ることによって「親の税金が低くなる」だけでなく、障害者にとってもメリットが大きくなります。
たとえ障害者であり、障害年金1級・2級を受け取っている人であっても、国民健康保険料を支払わなければいけません。障害者であっても、国民健康保険料の免除はないのです。
ただ親(社会保険の加入者)の扶養であれば、障害者や健常者に関係なく、国民健康保険料の納付は不要です。親の扶養に入ることで、障害者は国民健康保険料の分だけ支出を減らせます。
また国民年金保険料の心配も不要です。会社員・公務員である親の扶養に入る場合、国民年金保険料を支払わなくても、「国民年金保険料を全額支払った」ことになります。親が自営業(国民年金)の場合は利用できないものの、会社員の場合、親の扶養に入るのは優れた選択の一つです。
年180万円未満であれば親の扶養から外れることはない
それでは、どのような人であれば障害年金を受け取りながら親の扶養に入れるのでしょうか。社会保険の扶養について、障害者は年180万円未満の収入であれば親の扶養に入れます。
このとき180万円というのは、「障害年金の収入 + 労働賃金」を指します。人によって受け取る障害年金の額は違いますが、パート・アルバイトによって少し働くだけで、社会保険の扶養から外れるケースはよくあります。
特に障害厚生年金を受け取っている人の場合、障害基礎年金だけを受け取っている人よりも受給額はかなり大きくなります。
ただ年180万円未満の収入であれば、問題なく親の扶養に入れます。親の扶養に入れるかどうかというのは、障害年金と労働収入の両方を考慮しましょう。
なお年180万円以上となった場合、「職場の社会保険に加入する」または「国民健康保険と国民年金に加入する」のどちらかになります。まずは職場の人事や総務に問い合わせ、職場の社会保険に加入できない場合、仕方ないので国民健康保険と国民年金に加入することになります。
障害者グループホームを利用する場合、扶養に入らないほうがいい
それでは、どのような人であっても親の扶養に入るのが適切かというと、そういうわけではありません。実家暮らしであれば親の扶養に入るほうがいいものの、特に障害者グループホームを利用する場合、たとえ親のお金で生活している実態があっても、親の扶養に入らないほうがいいケースはよくあります。
障害者グループホームを利用する人について、住民税の非課税世帯であれば日々生活していくうえで必要となる費用がほとんどありません。以下のように、障害福祉サービスは無料になります。
また国と自治体から家賃補助が出るため、障害者グループホームへ支払う家賃は無料または月1万円台などです。そのため食費や水道光熱費、雑費など必要最低限の費用で生活できます。
一方で親の扶養対象となると世帯全体では、ある程度の額の年収となります。この場合、障害福祉サービスは無料ではありません。また、家賃補助が薄くなって月4~5万円ほどの費用支払いが必要になるのは普通です。
このように考えると、障害者グループホームを利用する場合は親の扶養を利用せず、完全に世帯分離して住民税の非課税世帯になるほうが得であるケースはよくあります。すべての障害者について、親の扶養に入るのが正しい選択とは限らないのです。
障害年金は非課税所得であり、所得税・住民税を課せられない
ちなみに扶養については、税務上の扶養と社会保険の扶養が存在します。ここまで解説してきたのは社会保険の扶養です。
一方で税務上の扶養については、障害年金を厳密に考慮する必要はありません。障害年金は非課税所得に該当するため、所得税・住民税の納付義務がないからです。この事実については、日本年金機構が以下のように明記しています。
納税に関係ないため、障害年金を受け取っても年末調整や確定申告は不要です。無税のお金として振り込まれるのが障害年金なのです。
なおパート・アルバイトや正社員などの雇用形態によって労働収入がある場合、障害者や健常者に関係なく、年103万円を超えると、所得税の納付義務を生じるようになります。いわゆる103万円の壁です。
税務上の扶養については、障害年金で受け取るお金を考慮せず、労働収入だけで年103万円以上かどうかを判断します。一方で社会保険の扶養については、障害年金と労働収入の両方を合わせて年180万円以上かどうかを基準にします。
税務上の扶養と社会保険の扶養は異なります。障害年金は非課税所得であることを学び、親の扶養を利用するとき、どのように扶養に影響するのか事前に理解しましょう。
障害年金で親の扶養から外れるのは条件がある
障害者の場合、働くのが難しく実家暮らし(または親の近く)に住んでいることがよくあります。この場合、親の扶養に入れます。
特に親が会社員・公務員の場合、社会保険に加入しているため、親の扶養に入ることで国民健康保険料は不要になります。国民年金についても、親(厚生年金の加入者)の扶養によって悩むことはありません。
ただ社会保険の扶養について、年180万円以上の収入がある場合は親の扶養から外れます。この場合、独自で社会保険または国民健康保険・国民年金に加入しなければいけません。なお扶養には税務上の扶養もありますが、障害年金は非課税所得に該当するため、障害年金への影響はゼロです。
親の扶養に入れる場合、扶養を利用することで保険料支払いが少なくなり、障害者にとって有利になるケースが多いです。ただすべての人で親の扶養に入れるわけではありません。また障害者グループホームを利用する場合、親の扶養に入らないほうがいい場合もあります。そこで、これらを認識して親の扶養に入れるかどうか確認しましょう。
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