関節の動きが悪くなり、体を自由に動かしにくくなる疾患として変形性股関節症や変形性膝関節症、関節リウマチがあります。

関節に関わる疾患では、薬物治療を利用します。ただ、こうした治療をしても日常生活に支障が出ていたり、人工関節を挿入していたりするケースがあります。この場合、身体障害者手帳や障害年金を活用できます。

障害者手帳によってさまざまな障害者向けの公的サービスを利用できます。また障害年金により、定期的にお金の受給が可能になります。

それでは、変形性股関節症や変形性膝関節症、関節リウマチの人はどのように考えて障害者手帳・障害年金を活用すればいいのでしょうか。これら障害者向けの公的サービスの活用法を解説していきます。

関節の不自由で障害者向けサービスを受けられる

病気によって日常生活に支障があったり、就労が困難になったりしている場合についても、障害者となります。当然、これには変形性股関節症や変形性膝関節症、関節リウマチも含まれています。

症状の初期では、こうした病気があっても日常生活の多くを自立して行うことができます。この場合、障害者ではありません。

ただ症状が進行しており、適切な治療をしたとしても体を自由に動かせなくなっている場合、肢体不自由の状態となります。このとき身体障害者手帳や障害年金では肢体不自由に関する認定基準が存在しており、障害者向けの特典を得られるようになります。

身体障害者手帳の等級と基準

それでは身体障害者手帳については、どのような認定基準になっているのでしょうか。例えば下半身の場合、以下の認定基準になっています。

  • 下肢(股関節以降の足)の四肢不自由
1級両足の機能がまったくない
2級両足の著しい機能障害
3級片足の機能がまったくない
4級両足のすべての指がまったく機能しない
片足の著しい機能障害
片足の股関節または膝関節の機能がまったくない
5級片足の股関節または膝関節の著しい機能障害
片足の足関節の機能がまったくない
6級片足の足関節の著しい機能障害
7級両足すべての指の著しい機能障害
片足の軽度の機能障害
片足の股関節、膝関節、足関節のうち、いずれか一関節の軽度の機能障害

関節リウマチは上半身にも症状が表れるものの、下半身のみに着目する場合、このような基準になっています。また下半身だけでなく、上半身にも肢体不自由がある場合、それらを考慮して等級が決定されます。

なお身体障害者手帳は1~6級で交付されます。上の表で7級というのは、7級に該当する内容が2つ以上の場合に身体障害者手帳6級となります。

人工関節置換術での障害者手帳の認定基準

なお変形性股関節症や変形性膝関節症、関節リウマチなどで人工関節置換術を利用する人は多いです。こうした場合についても身体障害者手帳の対象になります。

このとき、身体障害者手帳の基準は以下のようになります。

  • 股関節
4級
関節の可動域が10度以下
徒手筋力テストで2以下
5級
関節の可動域が30度以下
徒手筋力テストで3に相当
7級
小児の股関節脱臼で軽度の歩行障害
  • 膝関節
4級
関節の可動域が10度以下
徒手筋力テストで2以下
高度の動揺関節
5級
関節の可動域が30度以下
徒手筋力テストで3に相当
中等度の動揺関節
7級
関節の可動域が90度以下
徒手筋力テストで4に相当、または筋力低下で2km以上を歩行不可

なお人工関節置換術を実施したとしても、健常者と同様に生活できる場合、身体障害者手帳への申請はできません。あくまでも、動作に制限のある人が身体障害者手帳に該当します。

税金控除や公共料金、医療証などメリットは多い

なお変形性股関節症や変形性膝関節症、関節リウマチで障害者手帳を利用するのは大きなメリットがあります。身体障害者手帳により、例えば以下が可能になります。

  • 税金(所得税・住民税・自動車税)や公共料金(水道代)の減額
  • 電車、新幹線、バス、タクシー、飛行機の減額
  • 高速道路・ETC料金が半額
  • 映画館や水族館、美術館、テーマパークの割引
  • 医療費の助成
  • 障害者手帳で手当を受け取る
  • ガソリン代やおむつ代の補助
  • 福祉用具・補装具の補助
  • 住宅改修・リフォーム費用の助成
  • 障害者雇用の利用
  • 失業保険の拡充

等級によって得られるサービス内容は異なりますが、税金控除や公共料金の減額、医療証による医療費の減額など、メリットは大きいです。デメリットは特にないため、障害者手帳の基準に当てはまっている場合は積極的に活用しましょう。

障害年金を受給するときの認定基準

それでは、障害年金を受給するときの認定基準はどうなっているのでしょうか。障害者手帳と障害年金はまったく違う制度です。そのため、障害者手帳を保有していなくても障害年金を受給している人はたくさんいます。

このとき下肢について、障害年金の受給要件は以下になります。

等級状態
1級両下肢がまったく機能しない
2級片足の機能がまったくない
3級片足の3大関節のうち、2関節が動かない
両足すべての指が機能しない
障害手当金片足の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害がある
片足すべての指が機能しない

なお、関節リウマチでは上肢の動きも悪くなっていることが多く、この場合は上半身と下半身の状態が考慮されます。

また障害年金を受給するとき、適切な治療を続けている人が対象になります。そのため薬物治療をきちんと続けており、それでも日常生活に支障がある場合に障害年金を利用できます。

人工関節置換術は障害年金3級

先ほど、人工関節置換術を受けているだけでは身体障害者手帳の対象外であり、関節の可動域を含めて認定基準に合致している必要があることを解説しました。

一方で障害年金については、人工関節置換術を行うと、その時点で原則として障害年金3級に該当します。つまり、人工関節置換術によって健常者と同じ状態で生活できるようになったとしても、人工関節を利用していることによって障害年金3級の受給が可能なのです。

・初診日に国民年金の加入者は人工関節であっても受給できない

ただ、障害年金3級はすべての人が対象ではありません。障害厚生年金を受給できる人のみ障害年金3級を利用できます。

障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があります。変形性股関節症や変形性膝関節症、間接リウマチに関して、初めて医療機関を受診した日を初診日といいます。初診日に会社員・公務員の場合は障害厚生年金となり、障害年金3級の対象になります。

種類障害基礎年金障害厚生年金
障害年金1級
障害年金2級
障害年金3級
障害手当金

一方で初診日に学生や無職、個人事業主、主婦などの場合は障害基礎年金のみの受給になります。障害基礎年金には障害年金3級がありません。そのため、たとえ人工関節置換術をしたとしても、障害厚生年金でない場合は障害年金の対象外になります。

関節の痛みや不自由で公的サービスを利用する

変形性股関節症や変形性膝関節症、間接リウマチなどの病気によって関節に痛みがあり、動きが悪くなっている人がいます。こうした人の場合、肢体不自由を理由として身体障害者手帳や障害年金を利用できます。

このとき、人工関節置換術を施している人も対象になります。障害者手帳については、手術後の可動域などが認定基準で重要です。一方で障害年金については、手術をしたのであれば原則として障害年金3級となります。

障害者手帳と障害年金はまったく別の制度です。身体障害者手帳がなくても障害年金を受給している人は多いため、対象の場合は積極的に活用しましょう。

関節の不自由となっている人はたくさんいます。こうしたとき、病気によって関節の可動域に制限があるのであれば、身体障害者手帳によって日々の支出を少なくでき、障害年金によって定期的にお金を受け取れるようになります。

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