結婚・事実婚によって男女二人が一緒に住むようになるのは普通です。このとき、一方が障害者であることはよくあります。障害者であれば障害年金を受け取ることになり、結婚・事実婚の場合はさらに配偶者加算があります。

それなりに大きな金額になるのが配偶者加算(配偶者加給年金)です。これには、法的に結婚している人だけでなく、事実婚も含まれます。

ただ全員が対象ではなく、配偶者加給年金を受け取るためには条件があります。そこで、どのような障害者であれば、障害年金に対して配偶者加算を得られるのか知っておく必要があります。

元から障害をもっていたり、後から障害者となったりした場合、結婚や事実婚の人は配偶者加算を視野にいれましょう。そこで、どのような人が配偶者加給年金を得られるのか解説していきます。

配偶者加給年金はいくら?金額や受け取り基準

障害年金を受け取っている人について、配偶者の分だけ加算される制度を配偶者加給年金といいます。配偶者加給年金は正式名称であり、別名で配偶者加算と呼ばれることもあります。配偶者加給年金でいくらもらえるかというと、以下のようになります。

  • 障害厚生年金の配偶者加給年金:年間で約23万円(年によって変動)

それでは、どのように配偶者加算を得ればいいのでしょうか。配偶者加給年金を得られる条件としては以下があります。

  • 初診日に厚生年金の加入があり、障害等級1~2級の人
  • 生計同一関係であり、配偶者が65歳未満
  • 配偶者が障害年金・老齢年金の対象外であり、年収850万円未満

これらをすべて満たしている場合、配偶者加算を利用できます。それぞれについて確認しましょう。

初診日に厚生年金の加入があり、障害等級1~2級の人

配偶者加算の対象になるためには、初診日(病気やケガのために初めて病院を受診した日)に厚生年金に加入している必要があります。厚生年金であるため、一般企業の役員または社員として働いている必要があります。

それまで働いた経験がなくても、障害年金を受け取ることはできます。ただ一般企業で働いていなかったり、それまで個人事業主だったりする人が障害年金を受け取るようになっても、配偶者加給年金の対象外です。あくまでも、障害をもつようになったときの初診日に企業の役員・従業員である必要があります。

それに加えて、障害年金の等級は1級または2級でなければいけません。一般企業の役員や社員として働いている人の場合、障害の程度が比較的軽くても、障害年金3級としてお金を受け取るのは可能です。ただ配偶者加算については障害年金3級ではなく、障害年金1~2級の人が対象になります。

このように、まずは「企業で働いているかどうか(厚生年金に加入しているかどうか)」を確認しましょう。これに加えて、重度の人に適用されるのが配偶者加算です。

なお、最初は障害年金3級であっても、後で障害が重度となり、障害年金2級になることはよくあります。障害年金2級は配偶者加算の対象になるため、2級への変更によって配偶者加給年金へ新たに申し込むのは問題ありません。

生計同一関係であり、配偶者が65歳未満

さらに、生計同一関係である必要があります。互いに結婚している関係であれば、無条件で生計同一関係であるため、これについては問題ありません。

もちろん、離婚寸前での別居状態の場合、生計同一関係ではありません。ただ、同じ家で暮らしているなど生計が同じなのであれば、配偶者加算の対象になります。

それに加えて、配偶者加算の対象になるのは、配偶者が65歳未満の場合に限られます。配偶者の夫や妻が65歳以上の場合、配偶者加算を受け取ることはできません。

配偶者が障害年金・老齢年金の対象外であり、年収850万円未満

なぜ配偶者が65歳未満である必要があるかというと、65歳以上は通常だと年金支給の対象になるからです。老齢年金などの公的年金を受け取っている場合、配偶者加算の対象外になります。

また、障害年金も公的年金となります。そのため配偶者が障害年金を受け取っている場合についても、配偶者加給年金の対象外となります。

さらに、配偶者加算には所得制限があります。具体的には、夫や妻など配偶者の年収が850万円以上(または所得が655.5万円以上)の場合、配偶者加給年金の対象外になります。ある程度の収入がある場合、配偶者加算がなくても金銭面で問題ないと判断されるのです。

ただ配偶者の年収が850万円以上というのは、一般的にはかなり大きい金額のため、高給取りでない限りは問題ありません。ちなみに所得というのは、収入から必要経費を引いた金額を指します。夫や妻などの配偶者が個人事業主・フリーランスの場合、年収ではなく所得で判断します。

生計同一関係なら事実婚(同棲)や別居でも問題ない

なお配偶者加給年金というのは、必ずしも結婚している必要はありません。事実婚により、同棲している状態でも可能です。先ほど解説した通り、生計同一関係であればいいのです。

生計同一関係には、以下も含まれています。

  • 住民票上世帯を異にしているが、住所が住民票上同一であるとき

つまり、住民票の住所が同じであれば特に問題ないのです。住民票の住所が同じ場合、同じ家に住んでいることを意味しています。この場合は同じ生計となるため、事実婚での同棲でも障害年金の上乗せが可能です。

・単身赴任などの理由で別居でも問題ない

それに加えて、理由があっての別居状態であっても問題ありません。前述の通り、離婚寸前での別居は配偶者加算の対象外です。ただ単身赴任や就学、病気など仕方ない理由による別居なのであれば、生計同一関係といえます。

夫または妻が稼いだお金によって一方の生活が成り立っている場合、生計同一関係と考えることができるため、別居であっても配偶者加算の対象です。

配偶者加給年金で事実婚(同棲)や単身赴任などの別居でも問題ないことを考えると、多くの人で対象になるとわかります。

役所で手続きを行い、必要書類を提出する

そこで、対象者は役所で手続きを行いましょう。年金事務所へ出向き、必要書類を提出するのです。なお、必要書類には以下があります。

  • 戸籍抄本
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 所得証明書:課税(非課税)証明書、源泉徴収票など

事実婚の場合、法律上での配偶者ではないので戸籍抄本を提示しても関係性を証明できません。そのため、この場合は世帯全員の住民票の写しを提示することで同じ生計であることを証明することになります。それに加えて、所得制限に引っかかっていないことを証明しなければいけません。

申請書は年金事務所にあるため、どのように記載すればいいのかその場で聞きましょう。こうして、必要書類を提出することで配偶者加算の分だけ障害年金の金額が上がります。

結婚による名前や住所の変更はどうなるのか

なお結婚する場合、特に女性で名前が変わるのはよくあります。事実婚であれば関係ないですが、結婚に伴って名前が変わる場合、銀行での氏名変更を素早く済ませましょう。

障害年金はマイナンバーで管理されているため、役所の手続きで名前が変わることで、変更情報は自動的に障害年金にも反映されます。これは、住所についても同様です。

ただ名前や住所の変更が障害年金について自動的に行われるとはいっても、金融機関(銀行)での変更手続きも自動的に行われるわけではありません。

障害年金銀行口座に振り込まれるとき、銀行側との氏名不一致により、うまく振り込みされないリスクがあります。そのため、結婚によって名前が変わる場合は金融機関で素早く変更手続きを行いましょう。

廃止の場合、加算額・加給年金額対象者不該当届を提出する

ただ場合によっては、配偶者加算の支給停止になることもあります。先ほど解説した条件に当てはまらなくなった場合、加算額・加給年金額対象者不該当届を提出することで支給を停止しましょう。停止しないと不正受給になるため、大きな問題に発展します。

配偶者加給年金を廃止しなければいけない場面としては以下があります。

  • 離婚や死別となった
  • 障害年金の障害等級が3級に下がった
  • 配偶者が公的年金の受給を開始した

このように、障害年金で配偶者加算の対象外になった場合、不正受給にならないように配偶者加算を廃止しましょう。

障害年金で配偶者加給年金へ申請する

夫婦として結婚していたり、同棲によって事実婚の状態になっていたりする場合、障害年金を受け取っているのであれば増額が可能です。障害年金には配偶者加算があるため、配偶者の分だけ生活費を上乗せしてくれるのです。

生計同一関係であり、配偶者は「障害年金や老齢年金を受け取っていない65歳未満」である必要があります。また障害者本人については、初診日に企業で働いていて厚生年金に加入しており、障害年金2~3級の場合に配偶者加算を利用できます。

配偶者が所得制限に引っかかっていない必要はあるものの、高額なお金の上乗せがあるため、役所で必要書類を提出しましょう。

結婚や事実婚によって行う手続きは多いですが、特に障害者は受け取れるお金に直結します。そこで配偶者加算の存在を学び、早めに手続きをしましょう。

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