障害年金で重要な内容に初診日の確定があります。対象となる障害を負ったとき、ケガ・病気で医療機関を受診した最初の日を確定させなければいけません。

ただケガや病気の発生から長い年月が経過して障害者となった場合、初診日の証明が難しくなっているケースがあります。この場合、第三者証明を利用することで初診日の証明をすることができます。つまり、他人の証言を活用するのです。

このとき第三者証明だけでは、多くのケースで初診日の証明にはなりません。ただ、他の資料と組み合わせることで初診日の確定が可能になります。

それでは、第三者証明を利用してどのように障害年金の初診日を提示すればいいのでしょうか。第三者証明を利用するときの注意点を解説していきます。

受診状況等証明書での初診日証明が難しい場合、第三者証明を利用する

どれだけ障害が重度であり、保険料の納付をきちんとしていたとしても、初診日を確定できなければ障害年金を受け取ることはできません。

そこで、最初に受診した医療機関で受診状況等証明書を発行してもらいましょう。カルテを元にして受診状況等証明書を書いてもらうことになり、これによって初診日が確定します。

ただ、カルテの法的な保存期間は5年間です。そのため初診日が5年以上前でカルテが残っていなかったり、既に廃院していたりする場合、受診状況等証明書に記載してもらうことができません。つまり、初診日の証明ができません。

しかし、それでは障害年金を受け取ることができず困ります。この場合、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を提出します。最初に受診した医療機関で発行してもらえない代わりとして、2番目に受診した医療機関で受診状況等証明書に記載してもらいます。

それに加えて、「最初に受診した医療機関について、〇年〇月〇日が初診日とわかる参考資料」を提出することになります。この資料の一つとして第三者証明を利用できるというわけです。

「受診状況等証明書が添付できない申立書」のみを提出しても確実に審査落ちとなります。そこで最初に受診した医療機関に関して、初診日を確定するために必要な書類を提出するのです。

第三者証明以外の参考資料の提出は必要

なお、第三者証明を利用して初診日に関する資料を作成するとはいっても、基本的に第三者証明だけでは認められません。あくまでも、参考資料の一つになります。受診状況等証明書なしで初診日を認めてもらうためには、その他の資料も添付しなければいけません。

初診日の確定で重要な他の書類には、例えば以下があります。

  • 初診の医療機関からの紹介状コピー
  • 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳
  • 障害者手帳申請時の診断書
  • 生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書
  • 健康診断の記録
  • 母子健康手帳
  • 健康保険の給付記録(レセプトも含む)
  • お薬手帳・糖尿病手帳・領収書・診察券
  • 小学校・中学校などの健康診断の記録
  • 盲学校・ろう学校の在学証明・卒業証書

いずれにしても、第三者証明の書類に加えてこうした書類を提出しましょう。

三親等以内の親族は認められない:いとこはOK

このとき、親族は第三者証明で認められません。具体的には、三親等内の親族は第三者証明で利用できません。

父母や子、兄弟、配偶者は当然として、祖父母や孫、おじ・おば、甥・姪、配偶者の父母、配偶者の兄弟なども第三者証明では無効です。そのため、申請者の親族以外で第三者証明を利用しましょう。

なお親族の中でも、いとこは四親等に該当します。そのため、いとこは例外的に第三者証明で利用できます。基本的にはいとこ以外に依頼するとは思いますが、一応、いとこでも問題ないのは事実です。

医師など、医療関係者の第三者証明は優れる

このとき、第三者証明の中でも特に有効なのが医療従事者です。初診日に診察をした医師が第三者証明してくれる場合、有効性が非常に高いです。

または、当時その医療機関に勤務しており、初診日の業務に携わった医療関係者(看護師、薬剤師、理学療法士など)の医療関係者による第三者証明でも問題ありません。

医師以外の場合、あなたの初診日に携わっていたことを詳細に記載する必要はあるものの、こうした人による第三者証明は信ぴょう性が高くなります。また、通常だと第三者証明は2人以上で必要になりますが、医療従事者による第三者証明であれば1通で問題ありません。

現実的には難しいものの、初診日の医師や看護師を探して第三者証明を記載してもらえば、障害年金での初診日の特定に有利です。

友人や学校の先生、同僚などの第三者に依頼する

なお実際には、いとこや医療従事者以外に第三者証明を依頼するケースが多いです。ケガや病気をした当時を知る友人や学校の先生、同僚などの第三者に依頼するのです。

このとき、障害者の原因となったケガや病気について、当時の状況を詳細に記載してもらうことになります。以下のように、ケガ・病気を知ったきっかけや当時の様子を記さなければいけません。

かなり前の他人の内容を詳細に覚えている人は実際のところいません。ただ、それでもこうした証明書を作る必要があります。

なお内容に疑義を生じた場合、書類に記載した第三者に連絡が入ります。そのためウソの内容ではなく、あくまでも真実の内容を記載しましょう。なお、当時の状況について以下のような内容を詳細に記載する必要があります。

  • 初診日当時の状況をどのように知ったのか
  • 当時の症状はどのような内容だったのか
  • 医療機関を受診した原因や理由
  • 初診日ごろの請求者の様子(日常生活を送る上での支障)
  • 当時、医師から請求者にどのような指示があったのか(激しい運動の禁止、特定の食事の制限など)

依頼するほうも記載するほうも大変ではありますが、初診日が明確にわからない場合、障害年金を受け取るために友人や同僚を含めて第三者証明を依頼する必要があります。

なお、本人(申請者)の申し立てによって初診日を記載してもらっても、簡単にバレて資料として使えなくなるため、あくまでも当時の状況をそのまま記載してもらうようにしましょう。

20歳前が初診日のケースは有効性が高い

なお第三者証明を利用するとき、初診日が20歳よりも前なのか、それとも後なのかによって有効性が違ってきます。20歳よりも前が初診日の場合、第三者証明の有効性が上がります。

20歳前が初診日の場合、支給されるのは障害基礎年金のみです。そのため、少なくとも20歳よりも前が初診日であると分かれば、第三者証明のみでも障害年金の審査に通るケースがあります。

実際には第三者証明だけでなく、その他の資料も併せて提出するほうが障害年金を受給できる確率が上昇します。そのため第三者証明だけでは不十分になりやすい事実は同じです。ただ、20歳よりも前が初診日の場合、第三者証明の効力が大きくなります。

なお、仮に第三者証明しか提示できる書類がない場合、できるだけ信ぴょう性の高い書類を作ってもらい、第三者証明の書類を提出しましょう。

20歳後の第三者証明はその他の書類が必須

一方で20歳になった後が初診日の場合、第三者証明の提出だけで障害年金を受給できることはありません。必ずその他の書類も併せて提出しましょう。

20歳以降での障害年金では、初診日のタイミングが国民年金(無職・学生・個人事業主など)と厚生年金(会社員)で内容が大きく変わります。当然、厚生年金に加入していたときにケガや病気を発症し、障害厚生年金を受け取るほうが受給額は大きくなります。

そのため初診日の確定が非常に重要であり、初診日は明確にわからなくても「〇年〇月が初診のタイミング」などを特定できる必要があります。

ちなみに高校卒業後すぐに働いており、18~19歳が初診日の場合、20歳前が初診日であっても障害厚生年金の対象になります。そのため、この場合は「20歳後の第三者証明」と同じように対応が厳しくなり、第三者証明だけでは障害年金の受給ができません。

初診日が重要になるのは、国民年金と厚生年金で受給内容が大きく変わるからです。初診日を特定するため、第三者証明だけでなくその他の書類が求められるのです。

第三者証明を利用して障害年金を得る

障害者になった場合、多くの人が障害年金の受給を考えます。このとき、必ず初診日の確定が必要です。

ただ最初に受診した医療機関について、カルテが残っていなかったり廃院していたりすることがあります。その場合は最初の病院で受診状況等証明書を作成できないため、第三者証明を利用することで初診日の確定または推測をしても問題ありません。三親等内以外の親族に依頼することで書類を作成しましょう。

なお、第三者証明だけではなく他の書類についても用意する必要があります。多くの場合、第三者証明だけでは障害年金の審査に通りません。特に初診日が20歳前なのか、それとも20歳後なのかによって判断が大きく異なります。

カルテがないために最初の病院で受診状況等証明書の記載が難しい場合、初診日の証明は難しくなります。そこで、第三者証明を活用することで初診日の証明をしましょう。

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