重度の知的障害者・精神障害者が外出する場合、急に不規則な行動を起こす可能性があり、外出が大変です。そこで、こうした知的障害者・精神障害者のための外出支援サービスとして行動援護があります。
自閉症を含め、重度の知的障害者・精神障害者による危険行動を回避する役割・目的として行動援護は重要です。行動援護を利用することで、さまざまな場所へ出向けるようになります。また余暇や散歩を含め、外出によってできることは多いです。
それでは、行動援護とはどのようなサービスなのでしょうか。サービス内容や目的、役割、メリット・デメリットを含めて解説していきます。
もくじ
重度の知的障害者・精神障害者が利用する外出支援
障害福祉サービスや自治体の制度で複数の外出支援サービスがあります。こうした外出支援サービスの一つが行動援護です。
外出支援サービスの中でも、重度の知的障害者・精神障害者が行動援護を利用できます。また、多くは自閉症の人が行動援護を活用します。
必ずしも「行動援護=自閉症」というわけではないものの、自閉症を有する重度の知的障害者・精神障害者で行動援護を利用する人が多いというわけです。
行動障害のある人の外出を目的に支援
それでは、具体的にどのような問題行動を抱える人で行動援護を活用するのでしょうか。これについては、外出時の危険行動などを回避する目的・役割で行動援護が利用されます。
重度の知的障害者・精神障害者では、行動障害を有する人がいます。重度の自閉症では特に行動障害を有するケースが多くなりますが、行動障害では以下の症状があります。
- 暴力・物損
- 自傷行動
- 危険な場所に飛び出す
- 異食
こうした行動があると本人や周囲の人々にとって非常に危険です。例えばバスや電車を待っているとき、道路やホーム内に飛び出すと命の危険がありますし、他の人にも大きな迷惑をかけることになります。
これら日常生活での行動に問題がある障害者に対して、支援する公的サービスが行動援護です。ちなみに行動援護については、必ず外出をする必要はなく、場合によっては外出せずに居宅内での支援のみとなっても問題ありません。
外出時の危険回避は非常に重要
なぜ行動援護の役割が重要かというと、危険行動を回避することでさまざまな損害を防げるようになるからです。例えば以下は、重度の精神障害者が外出時にパニック状態となり、暴れた後の様子です。
この場合は警察沙汰になりますし、保護者または障害者本人は店舗への弁償をしなければいけません。要は、非常に面倒な事態に陥ります。
こうした事件を未然に防ぐため、行動援護は重要になります。重度の知的障害者・精神障害者が外出するのは大変であるものの、専門のヘルパーが障害者のそばにいることで、パニック状態に陥ったときであっても対処できるようになります。
区分3以上で特に支援が必要な障害者が対象者
それでは、行動援護の対象者はどのようになっているのでしょうか。障害福祉サービスを利用するとき、障害支援区分を取得することになります。区分には1~6まであり、数字が大きいほど重度を表します。
このとき、行動援護は区分3以上の人で利用できます。それでは、区分3以上であれば誰でも利用できるかというと、そういうわけではありません。行動援護の利用では、以下の2つの条件を満たしている必要があります。
- 障害支援区分が3以上
- 障害支援区分の認定調査項目のうち、行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上
つまり区分3以上であることに加えて、さらなる特別な支援を必要とする障害者が対象者になります。なお行動関連項目等(12項目)について、それぞれの項目の重度(2点)を表す内容は以下になります。
- コミュニケーション:独自方法でのみコミュニケーション可、またはできない
- 説明理解:理解しているかどうかも判断できない
- 大声・奇声:ほぼ毎日(週5日以上)
- 異食行動:ほぼ毎日(週5日以上)
- 多動・行動停止:ほぼ毎日(週5日以上)
- 不安定な行動:ほぼ毎日(週5日以上)
- 自傷行為:ほぼ毎日(週5日以上)
- 他害・暴力:ほぼ毎日(週5日以上)
- 不適切な行為:ほぼ毎日(週5日以上)
- 突発的な行動:ほぼ毎日(週5日以上)
- 過食・反すうなど:ほぼ毎日(週5日以上)
- てんかん:週に1回以上
このように、日常的に異常行動が見られる場合に行動援護を利用できるようになります。
日常生活で不可欠な外出はすべて利用可能
なお行動援護を利用して外出するとき、日常生活で必要不可欠な外出はすべて可能であると考えましょう。例えば、以下の目的の外出で行動援護を利用できます。
- 医療機関への通院
- 役所
- 銀行
- 買い物
こうした外出については、行動援護にてヘルパーによる付き添いが可能です。
余暇や散歩を含め、サービス内容は非常に広い
また行動援護のメリットとしては、できることが非常に広いという特徴があります。医療機関や役所などへの外出に限らず、余暇や散歩を含めて利用できるのです。例えば、以下の利用が可能です。
- 余暇利用(スポーツ、お祭りなど)
- 散歩
- 温泉
- 美容院
- 冠婚葬祭
外出先で障害者がパニックになると大変であるため、さまざまな場面で行動援護を依頼できます。
公共交通機関の利用になるデメリット
なお他の外出支援サービスにも共通しますが、行動援護を利用して外出するときは徒歩や電車、バスなどの利用になります。つまり、公共交通機関を利用しなければいけません。これが、行動援護を利用するときの一番のデメリットです。
また行動援護を利用するときに発生する交通費について、ヘルパー分を含めて全額を障害者が負担しなければいけません。
行動援護について、ヘルパー運転による車移動は認められていません。タクシーの利用であれば問題ないものの、それ以外は電車やバスの利用になるのです。
ヘルパーが付き添うことにより、重度の知的障害者・精神障害者であっても外出できるメリットは大きいです。ただ公共交通機関の利用や交通費の負担などのデメリットを考慮する必要があります。
重度の知的障害者・精神障害者で行動援護を利用する
重度の知的障害者・精神障害者で利用できる公的サービスが行動援護です。行動援護とは、どういう役割・目的なのかを理解して活用しましょう。
特に重度の自閉症の人では、行動障害に陥りやすいです。こうした行動に問題がある障害者について、行動援護を利用することでスムーズな外出が可能になります。なお行動援護によってできることは多く、さまざまな外出場所で利用できますし、場合によっては居宅内だけの依頼も可能です。
なお移動は必ず公共交通機関の利用になります。ヘルパーが運転する車を利用して、目的地へ出向くことはできません。
より特殊な支援を必要とする知的障害者・精神障害者で行動援護を活用できます。そこで行動援護のサービス内容を理解して、利用の対象者は積極的に行動援護を依頼しましょう。
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