健康な人であっても、病気や事故によって脳を損傷してしまい、高次脳機能障害に陥ることがあります。こうなると、家族が介護しなければいけません。
ただ高次脳機能障害の人を介護するとなると、家族は介護疲れとなります。こうした状態は障害者にとっても家族にとっても良くありません。そこで、簡単に解決できる方法が障害者グループホームや介護施設の利用です。
特に障害者グループホームの利用料は格安であり、費用はほとんどかかりません。高齢であったり医療的ケアが必要だったりする場合は介護施設の検討も必要ですが、いずれにしても施設を利用するのは優れる選択肢の一つです。
それでは、どのように考えて高次脳機能障害での施設選びを考えればいいのでしょうか。高次脳機能障害で障害者施設を利用するときの手順や費用を解説していきます。
もくじ
高次脳機能障害での介護疲れは非常に多い
急に障害者になってしまうことは多く、特に病気や事故によって起こりやすいです。高次脳機能障害では、脳に障害が発生することで記憶や言語、注意・意識、感情コントロールが困難になってしまいます。
以下のとき、高次脳機能障害に陥りやすいです。
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血)
- くも膜下出血
- 脳腫瘍
- 低酸素脳症
- 交通事故・スポーツ外傷
ただ記憶や感情コントールができない人を介護するとなると非常に大変であり、家族が介護疲れを起こすのは普通です。そのため、対策を考えなければいけません。
施設を利用すればほとんどの介護問題から解放される
介護疲れから解放される方法は簡単であり、施設を利用すればいいです。親であっても配偶者であっても、障害者になってしまった場合、施設に預けるのは普通です。
こうした施設であれば、専門の介護職員が24時間体制で世話をしてくれます。また施設に入居しているのは、同じような境遇の障害者です。そのため障害者に対する理解もあります。
また実際のところ、こうした障害者施設を利用しても費用がものすごく高額になるとは限りません。障害者では低収入の人が多く、そうした人でも問題なく利用できるように仕組化されているのです。
そのため家族が高次脳機能障害の場合、こうした施設を利用するのは何も問題ありません。
若い人は障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)を利用する
このとき、18歳以上・65歳未満の高次脳機能障害の人で利用できる施設が障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)です。若い人で病気や事故によって高次脳機能障害となってしまった場合、障害者グループホーム・入所施設の利用を第一選択肢にしましょう。
高次脳機能障害に限らず、18~64歳の身体障害者が利用できる施設が障害者グループホーム・入所施設です(65歳に達するまでに、ホームヘルプや障害者グループホームなどの障害福祉サービスを利用していた場合、65歳以上の身体障害者であっても障害者グループホームに新たに入居できます)。
複数の障害者で集団生活するのが障害者グループホームです。そのため重度の知的障害者や車いす生活の身体障害者など、さまざまな人が一緒に生活することになります。
当然、介護職員が24時間体制で常駐しているので日々の生活は問題ありません。食事介助や入浴介助なども可能なので、家族は介護疲れから解放されます。
施設の利用費用は非常に安い
また障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)であれば、施設の利用料金は非常に安いです。例えば生活保護受給者や住民税の非課税世帯であれば、グループホーム・入所施設による障害福祉サービスは無料です。月の負担上限額は以下のようになっています。
状態 | 負担上限額 |
生活保護 | 0円 |
住民税の非課税世帯 | 0円 |
世帯年収600万円以下 | 9,300円 |
世帯年収600万円超 | 37,200円 |
そのため「元から住民税の非課税世帯」「高次脳機能障害の子供を入居させる」などの場合、世帯所得が低く住民税の非課税世帯に該当するため、障害福祉サービスは無料です。また国や自治体からの家賃補助もあるため、障害者グループホームの家賃は無料または1万円台がほとんどです。
そのため必要な支出は食費や水道光熱費などの必要最低限であり、総額で月6万円ほどです。障害年金だけで生活できる支出であるため、お金の問題を気にする必要はありません。
・配偶者が高次脳機能障害の場合は少しお金がかかる
一方で配偶者が高次脳機能障害となってしまい、もう一方(健常者)が働いている場合、住民税の非課税世帯ではありません。ただ障害福祉サービスでは月の負担上限額がありますし、自治体からの家賃補助があるのは変わりないため、格安で障害者が住めるのは同じです。
いずれにしても、障害者グループホームや入所施設を利用する場合、必要になる費用は非常に少ないです。
役所で障害者手帳や区分認定、障害福祉サービス受給者証の手続きを行う
なお障害者グループホームや入所施設を利用するためには、障害者手帳の提示が必要です。以下が障害者手帳の種類と対象者です。
- 身体障害者手帳:体の機能に障害のある人
- 療育手帳:知的障害のある人
- 精神障害者保健福祉手帳:精神障害のある人
既に保有しているならいいですが、まだ取得していない場合、役所で申請することで障害者手帳を入手しましょう。
また障害者グループホームや入所施設を利用するとき、必須となるのが障害支援区分と障害福祉サービス受給者証です。区分は1~6まであり、障害の程度を表します。区分6が最も障害が重いです。
高次脳機能障害は見た目にも明確な機能障害があり、生活が困難とわかるため、重い区分になりやすいです。そのため、ほぼ確実に区分認定を得られます。
また区分認定を受け、サービス利用の決定を受けたら、以下のように障害福祉サービス受給者証が交付されます。
障害福祉サービス受給者証が交付されたら、あとは空きのある障害者グループホームを探すだけです。役所での認定に1~2か月ほどかかるのは普通なので、障害者グループホームを探す前にこれらの申請を行いましょう。
高齢者は介護付き老人ホームなどが候補
ただ前述の通り、障害者グループホームは18~64歳の身体障害者が利用できます。そのため高齢の身体障害者の場合、障害者グループホームは利用できません。65歳になる前に障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)、その他の障害福祉サービスを利用していた場合は障害者施設を利用できるものの、そうでない場合は利用できません。
この場合、以下の老人ホームを考えましょう。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護付き老人ホーム
要介護度の高い人のみが集団で暮らしている施設が特別養護老人ホームです。こうした施設に暮らしている人はほぼ全員、車いす生活です。
また民間企業が経営しており、要介護の人であっても利用できるのが介護付き老人ホームです。特別養護老人ホームも介護付き老人ホームも看護師が常駐しており、要介護度の高い高次脳機能障害を持つ人であっても対応できます。
いずれにしても、高齢者の場合は老人ホームを利用することになります。その中でも、要介護度の高い人であっても受け入れてくれる施設を利用しましょう。
老人ホームの費用は高めで空きは少ない
なお老人ホームなどの介護施設を利用する場合、障害者グループホーム・入所施設に比べると費用は高くなります。居住費、食費、介護サービス費など、すべて合わせてザックリと以下のようになります。
- 特別養護老人ホーム(特養):月8~15万円
- 介護付き老人ホーム:月20~30万円
一般的な高齢者は年金をもらうことになり、さらにはそれまでの蓄えもあります。障害者だと多くの人が常に低年収ですが、他はそうではないため、高めの費用になりがちなのです。
なおこうした老人向けの介護施設の入居者は9割以上が75歳以上であり、多くを90歳以上が占めます。そのため例えば70歳で高次脳機能障害となっても若い部類になってしまい、介護施設の空きは少な目となります。
高次脳機能障害でグループホーム・介護施設を利用する
急な病気や事故によって障害者になってしまうことは多く、その中でも高次脳機能障害はひんぱんに発生します。リハビリは可能であるものの、高次脳機能障害が完全に治ることは基本的になく、家族は介護疲れを起こしやすいです。
この場合、高次脳機能障害の発症者が親であれ配偶者であれ、介護施設へ入れることを考えるのは優れています。そうしないと本人だけでなく、家族も介護疲れで倒れてしまうからです。
障害者が若い場合、障害者グループホームを利用しましょう。補助を含めると非常に安い料金にて住むことができます。一方で高齢者の場合は老人ホームがメインになり、これら介護施設の利用を考えなければいけません。
高次脳機能障害を持つ人の介護は大変です。そこで施設を活用するにあたり、どのような介護・福祉施設を利用すればいいのか見極めましょう。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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