ADHDやASD(自閉症、アスペルガー症候群)、学習障害(LD)など発達障害の人は多いです。こうした人は障害者手帳を保有することで、さまざまな特典を得ることができます。障害者手帳の保有はメリットばかりなので、発達障害であれば入手を考えるといいです。

また障害者手帳を入手した後、必要であれば障害福祉サービスを活用しましょう。格安または無料にて利用できる障害者のためのサービスが障害福祉サービスです。

障害者手帳も障害福祉サービスも利用するためには医師の診断書が必要です。第三者による客観的な意見は必要になるものの、発達障害によって日常生活に支障が出ているのであれば、障害者向けのサービスを利用するといいです。

それでは、発達障害の人はどのように障害者手帳を入手し、障害福祉サービスを利用すればいいのでしょうか。ADHDやASD(自閉症、アスペルガー症候群)、学習障害(LD)で重症な障害者向けサービスの利用法を解説していきます。

ADHDやASD(自閉症、アスペルガー症候群)、学習障害(LD)は精神障害者に分類

障害福祉サービスを利用するときを含め、障害のあるあらゆる人が障害者手帳を活用します。そのため、最初に考えるべきは障害者手帳の入手です。

障害者手帳には以下の種類があります。

  • 身体障害者手帳:体の機能に障害のある人
  • 療育手帳:知的障害のある人
  • 精神障害者保健福祉手帳:精神障害のある人

この中でもADHDやASD(自閉症、アスペルガー症候群)、学習障害(LD)などの発達障害は精神障害者に該当するため、精神障害者保健福祉手帳を入手することを考えましょう。

精神障害者保健福祉手帳を申請するとき、最初の診断日から6か月以上が経過していないと申し込みできません。そのため、ある程度の時間がかかると考えましょう。6か月の時間がかかる理由は、精神障害は症状が変化しやすく、少なくとも6か月は症状が継続している必要があるからです。

医師の診断書をもらい、障害者手帳を入手可能

そこでADHDやASD(自閉症、アスペルガー症候群)、学習障害(LD)で障害者手帳を入手したい場合、役所へ出向いて申請しましょう。申請書類は役所で入手できるため、そこで手続きをすればいいです。

また発達障害であることを証明する必要があるため、医師による診断書を提出しなければいけません。こうして必要書類を出せば、以下のような障害者手帳が発行されます。

なお精神障害者について、有効期限が存在します。知的障害者や身体障害者とは異なり、精神障害者は症状の寛解が可能であり、症状の程度が変化しやすいです。そのため、精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年となっています。

期限の3か月前から更新可能なので、発達障害の人は更新することで精神障害者保健福祉手帳が再び発行されます。

精神障害者保健福祉手帳の障害等級の基準は何があるのか

ただ発達障害とはいっても、人によってまったく症状が異なります。精神障害者保健福祉手帳には等級があり、第一級(重度)、第二級(中度)、第三級(軽度)となっています。

どのような基準によって決まるかというと、以下のようになります。

【第一級:重度】

  • 食事摂取できない
  • 洗面、入浴、着替え、そうじでの清潔保持ができない
  • 金銭管理能力がない
  • 家族や知人と適切な意思伝達ができない
  • 社会的手続や公共施設の利用が困難
  • 社会情勢や趣味・娯楽に関心がない

【第二級:中度】

  • 援助なしに食事摂取できない
  • 洗面、入浴、着替え、そうじでの清潔保持が援助なしにできない
  • 援助なしに金銭管理能力がない
  • 家族や知人と適切な意思伝達が援助なしにできない
  • 援助なしに社会的手続や公共施設の利用が困難
  • 社会情勢や趣味・娯楽に関心が薄い

【第三級:軽度】

  • 食事摂取は自発的にできるが援助は必要
  • 洗面、入浴、着替え、そうじでの清潔保持を自発的にできるが援助が必要
  • 金銭管理能力はほぼあるが援助が必要
  • 家族や知人と適切な意思伝達はできるが援助が必要
  • 社会的手続や公共施設の利用はほぼできるが援助は必要
  • 社会情勢や趣味・娯楽に参加できるが援助は必要

ザックリとこのようになります。やはり基準はあいまいであるものの、こうした内容と照らし合わせて精神障害者保健福祉手帳の障害等級が決まります。

障害者手帳のメリットは大きい

なおADHDやASD(自閉症、アスペルガー症候群)、学習障害(LD)で発達障害の人が障害者手帳を取得するのはメリットばかりです。デメリットはほぼ存在しないため、取得できる場合は積極的に活用しましょう。

精神障害者保健福祉手帳を保有すると、例えば以下のメリットがあります。

  • 所得税・住民税が低くなる
  • 医療費助成がある
  • 電車代・レジャー代の割引が可能
  • 障害者雇用を利用できる

一方、障害者手帳を保有していることを誰かに伝えなければ、バレることはありません。これが、障害者手帳の保有はメリットばかりであり、デメリットがない理由です。取得できるのであれば、医師の診断書をもらって障害者手帳を入手しましょう。

障害福祉サービスを格安に利用する

障害者手帳を入手したら、障害福祉サービスの利用も考えましょう。障害者のみが利用できる公的サービスが障害福祉サービスです。

障害福祉サービスを利用するためには、障害支援区分と障害福祉サービス受給者証を得る必要があります。障害者手帳と同じように、医師の診断書をもらうことで障害支援区分と受給者証の入手が可能です。

障害福祉サービスの利用者負担は1割です。さらに、世帯年収に応じて月の費用負担が以下のように設定されています。

状態負担上限額
生活保護0円
住民税の非課税世帯0円
世帯年収600万円以下9,300円
世帯年収600万円超37,200円

例えば発達障害で一人暮らしであり、仕事ができない人では、住民税の非課税世帯に該当します。この場合、障害福祉サービスの利用料金はゼロです。また一緒に住んでいる配偶者や親が働いているにしても、月の負担上限額は低めに設定されています。

1割負担であり、さらには負担上限もあるため、発達障害をもつ多くの人が障害福祉サービスを利用するのです。

就労移行支援や障害者グループホームは優れるサービス

障害福祉サービスの中でも、発達障害の人でひんぱんに利用されるサービスが就労移行支援と障害者グループホーム(共同生活援助)です。

・就労移行支援で一般企業へ就職する

一般企業への就職を目指すのが就労移行支援です。一般枠とは異なり、障害者雇用の枠で申し込みできます。

特に大企業の場合、一定割合は障害者を雇用しなければいけないと決められています。このとき精神障害者や身体障害者は脳機能に異常があるわけではないため、問題なく一般企業へ就職できます(知的障害を併発している人を除く)。

ただADHDやASD(自閉症、アスペルガー症候群)、学習障害(LD)であると、ほかの人とうまくコミュニケーションを取って仕事しにくいのは共通しています。また人によって障害の内容や性格が大きく異なります。そこで就労移行支援を利用し、障害者雇用の枠を利用して長く働けるようにするというわけです。

・障害者グループホームで格安にて生活する

なお実家暮らしであれば問題ないですが、一人暮らしの障害者も多いです。例えば、それまで一般企業で働いていたものの、発達障害によって辞めてしまう人はたくさんいます。

こうした「一人暮らしで仕事のない発達障害の人」は再就職・転職が難しく、さらには精神障害の治療も考えなければいけません。このとき、収入ゼロの障害者であっても格安で住める障害福祉サービスに障害者グループホームがあります。

複数の障害者で共同生活を送る施設が障害者グループホームです。18歳以上であれば利用できるため、若い人から老人を含めてさまざまな人が利用しています。

障害者グループホームに暮らす人は低収入の人ばかりですが、この場合は住民税の非課税世帯に該当するため、前述の通りサービス料は無料です。また家賃は国や自治体から補助があるため、無料または月1万円台となります。

食費や水道光熱費、日用品代は実費ですが、こうした費用を合わせても月6~8万円ほどで過ごせます。発達障害の人にとってセーフティーネットの一つが障害者グループホームです。

障害福祉サービスはほかにも種類があります。ただADHDやASD(自閉症、アスペルガー症候群)、学習障害(LD)の場合、就労移行支援と障害者グループホームが特に重要です。

障害者手帳と障害福祉サービスを利用する

すべての障害者で障害者手帳を入手できます。こうした障害者には発達障害も含み、ADHDやASD(自閉症、アスペルガー症候群)、学習障害(LD)であれば問題なく障害者手帳を入手できます。

医師の診断書は必要になるものの、こうした書類を役所へ提出すれば障害者手帳を入手できます。税金が低くなったり、障害者雇用が可能になったりと障害者手帳をもつのはメリットばかりです。

それに加えて、障害福祉サービスの利用も検討しましょう。就労移行支援や障害者グループホームを利用したい場合、役所で申請して障害支援区分と受給者証を得た後に活用できます。

発達障害の場合、障害者向けのさまざまな仕組みを利用できます。ADHDや自閉症、アスペルガー症候群、学習障害(LD)なのであれば、これらの仕組みをうまく利用することで社会で活躍したり、日々の生活を送ったりできるようになりましょう。

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家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。

障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。

ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。

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