知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者の多くが障害福祉サービスを利用しています。障害福祉サービスの中には通所系サービスがあります。つまり、住んでいる場所から施設に通うことでサービスを受けるのです。

こうした通所系サービスには生活介護(デイサービス)や自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)があります。

それぞれサービス内容はまったく異なりますし、利用する人の性質も違います。そのためすべてのサービスを利用する人はおらず、必要なサービスを活用しなければいけません。

それでは、障害福祉サービスの通所系サービスはどのような内容になっているのでしょうか。施設を訪れ、サービスを受けるタイプの障害福祉サービスについて解説していきます。

障害福祉サービスの主な種類

あらゆる障害者で利用できる障害福祉サービスですが種類は様々であり、それぞれ内容はまったく異なります。その中でも、ザックリと以下のように分けることができます。

  • 通所系:施設へ通う
  • 訪問系:家に来てくれる
  • 居住支援系:施設へ住む

どこか居住場所以外の施設へ通うのが通所系です。特定の場所に存在する施設へ出向くことでサービスを受けるのです。

ただ現実的に外出が難しい障害者は多いです。また家で料理やそうじなど、ホームヘルパーに必要な作業をしてほしいと思う人はたくさんいます。この場合、訪問系のサービスを利用することになります。

なお中には、「障害者が住む場所」を提供する障害福祉サービスがあります。こうしたサービスが居住支援系です。

障害福祉サービスの通所系サービス

それでは、障害福祉サービスの通所系には何があるのでしょうか。以下の種類が通所系サービスです。

  • 生活介護(デイサービス)
  • 自立訓練(機能訓練・生活訓練)
  • 就労移行支援
  • 就労継続支援(A型・B型)

それぞれの内容を確認しましょう。

生活介護(デイサービス)で日中活動を支援する

洗濯・そうじなどの日常生活や社会マナーを含めた生活・職業訓練の指導をするのが生活介護です。高齢者向けのデイサービスは広く知られていますが、障害者向けのデイサービスが生活介護です。デイサービスで日中活動をするとき、主な流れは以下になります。

  • 10:00:通所
  • 12:00:昼食
  • 13:00:体操、レクリエーション、リハビリ
  • 15:00:帰宅

デイサービスによって日常生活で必要なことを学んだり、レクリエーションを通して身体機能の向上・維持を目指したりします。

なお生活介護では送迎サービスをしていることがよくあります。そのため体を動かすのが難しい知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者であっても利用できます。

生活介護(デイサービス)を利用するためには、障害支援区分が3以上である必要があります(50歳以上の場合は区分2以上)。そのため、ある程度障害が重度である必要があります。

自立訓練(機能訓練・生活訓練)でリハビリや生活能力を養う

障害者では急に症状が悪化したり、長期入院によって身体機能が失われたりすることがあります。そこで、訓練することで身体機能を向上・維持させたり、日々の生活能力を改善させたりするのが自立訓練です。

なお、自立訓練には以下の2種類があります。

  • 機能訓練:身体機能の向上を目指す
  • 生活訓練:生活能力の向上を目指す

機能訓練とは、要はリハビリのことです。理学療法士などリハビリに関わる専門家が在籍しており、体の機能を改善させるのです。

病院のリハビリ施設とは異なり、自立訓練(機能訓練)は障害者のみ利用できます。また身体障害者や難病患者だけでなく、必要であれば知的障害者や精神障害者も機能訓練を利用できます。

一方、そうじや洗濯、ゴミ出し、金銭管理など日々の生活で必要な作業内容は多いです。健常者であれば簡単であっても、例えば知的障害者ではどのように料理やそうじ、ゴミ出しをすればいいのかわかりません。そこで、こうした作業を行えるように訓練するのが生活訓練です。

一人で行えることを増やし、自立した生活を行えるように訓練するのが生活訓練です。

なお自立訓練(機能訓練・生活訓練)は生活介護(デイサービス)とは異なり、利用に当たって障害支援区分の規定はありません。そのため、軽度の障害者であっても障害福祉サービスの利用許可を得られれば自立訓練を活用できます。

就労移行支援で一般企業にて働く

就職に関わる障害福祉サービスに就労移行支援があります。障害支援区分の規定はなく、むしろ軽度の障害者が利用する障害福祉サービスが就労移行支援です。

企業の障害者雇用の枠を含め、企業への就職を目指すのが就労移行支援です。就労移行支援の利用条件は以下になります。

  • 一般企業への就職を希望
  • 障害者・難病患者
  • 年齢が65歳未満

精神障害者は寛解が可能ですし、身体障害者だと知能レベルは問題ありません。また、軽度の知的障害者であっても一般企業への就職が可能なケースはあります。こうした障害者や難病患者の場合、就労移行支援を利用して障害者雇用などの枠で働くというわけです。

なお就労移行支援を利用するとき、障害者手帳は不要です。ただ障害者雇用の枠を利用するには障害者手帳が必須になるため、どこかの時点で障害者手帳は保有することになります。

就労継続支援(A型・B型)で賃金を得る

ただ障害者で一般企業への就職が難しいケースはよくあります。そうした障害者については、就労継続支援を利用します。

例えば障害者グループホームなど、居住支援系のサービスを利用している障害者というのは、軽度や重度に関わらず平日の昼に働いているのが一般的です。言い換えると、彼らは就労継続支援(A型・B型)を利用して作業所で働いているというわけです。

就労継続支援A型では契約を結び、定期的に障害者が働くことになります。一方で障害が重度であり、定期的な就労が難しい人は就労継続支援B型を利用します。それぞれ、得られる賃金は以下のようになります。

  • 就労継続支援A型:月に約8万円
  • 就労継続支援B型:月に約1万5000円

一般企業での就労ではないため、作業所で行われる仕事内容はどうしても軽作業になります。ただ障害者にとって、障害年金に加えてこうした収入を得られるため、非常に重要な労働収入となります。

なお就労継続支援A型・B型について、どちらの利用が適切なのかは障害の程度やその人の性格によっても変わります。

障害福祉サービスで通所系サービスを利用する

通所系サービスを提供している障害福祉サービスには種類が複数あります。サービスを提供している施設へ自ら出向く必要はあるものの、障害者であれば問題なく通所系サービスを利用できます。

障害支援区分3以上であり、ある程度重度の障害者で利用できるサービスが生活介護です。デイサービスとして障害者へ日中活動を提供します。またリハビリや生活能力の向上を目指すのが自立訓練(機能訓練・生活訓練)です。

それに対して、就職に関わる通所系サービスもあります。軽度の障害者であれば、就労移行支援で一般企業への就職を目指しましょう。また症状が重い人の場合、就労継続支援(A型・B型)によって作業所で働くといいです。

障害者とはいっても障害の程度が違えば、必要とするサービスも異なります。そこで障害福祉サービスの内容を学び、適切なサービスを利用しましょう。

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