障害者であれば、国からの補助金・助成金を利用することで、日々の生活を送るうえで必要となる支払いを大幅に抑えることができます。こうした補助金の一つに補足給付があります。
施設入所支援を利用して入所施設(障害者支援施設)にて生活している障害者について、補足給付によって食費・水道光熱費が補助されます。必ず手元に余分のお金が残るように助成金が出されるため、障害者が生活に困ることはありません。
また、入所施設での補足給付は低収入の人で利用できます。つまり、障害者支援施設を利用しているほとんどの人が対象になります。
それでは、入所施設で利用できる補足給付はどのような内容になっているのでしょうか。障害者支援施設での補足給付の中身を解説していきます。
もくじ
施設入所支援に存在する補足給付による補助金
障害者が家族を離れて暮らすとき、格安にて利用できる公的サービスの一つに施設入所支援があります。入所施設(障害者支援施設)に入居することにより、複数の障害者と一緒に集団生活を送るのです。
このとき、低所得者の場合は障害福祉サービスの料金が無料です。入所施設を利用できるのは重度の障害者であるため、こうした障害者のほとんどは収入がない、または非常に低いです。そのため、サービス料は不要です。
ただ、障害者支援施設を利用するためにはサービス料の他に食費と水道光熱費が必要になります。そこで、入所施設を利用している20歳以上の利用者について、食費と水道光熱費に対して国から助成金が出されます。この補助金を補足給付といいます。
住民税の非課税世帯と生活保護で利用できる
サービス料は無料であり、さらには補足給付によって食費・水道光熱費の補助があるため、施設入所支援を利用している障害者でお金に困ることはなくなります。ぜいたくな生活はできないものの、支払いに困ることはないのです。
重度の障害者であれば、障害年金を得ることができます。そのため障害年金1級や2級であれば、問題なく障害者支援施設で生きていくことができ、親亡き後問題も解決できます。
このとき、補足給付は低所得の人で利用できます。より具体的には、住民税の非課税世帯と生活保護受給者で補足給付の対象になります。
重度の障害者であっても、身体障害者を含め普通に働いている人はいます。ただ入所施設を利用する障害者の場合、常に介助が必要な人ばかりであるため、親から不動産などの財産を相続していない限りほとんどの人が低所得者です。そのため、ほとんどのケースで補足給付を利用できます。
特定の金額以上が手元に残る補足給付の制度
それでは、補足給付による助成金はどのような中身になっているのでしょうか。重度の障害者の場合、障害年金を受け取ることになりますが、結論を先に述べると、補足給付によって以下のように考えましょう。
- 障害年金1級:28,000円以上が手元に残る
- 障害年金2級:25,000円以上が手元に残る
実際には、より細かい計算が必要になるものの、ザックリとこのように考えましょう。
障害者の場合、障害年金を得ることによって生活することになり、障害年金の中から食費・水道光熱費を出すことになります。このとき、入所施設の食費・水道光熱費の実費負担について、54,000円を上限金額として施設ごとに自由に設定されています。
ただ、こうした食費・水道光熱費を支払ったとしても、障害者には必ず25,000円以上(または28,000円以上)のお金が手元に残るようになります。足りない食費・水道光熱費は補足給付として補助金が出されるというわけです。
補足給付での助成金の計算方法と内訳
それでは、補足給付ではどのように計算するのでしょうか。計算方法は少し面倒であるため、「補足給付によって障害者は月25,000円以上(または月28,000円以上)のお金が手元に残る」という結果だけを理解しておいても問題ありません。
一方、より詳細に補足給付の内容を知りたい場合、以下のように「手元の残るお金」を計算します。
まず、手元に残るお金を計算します。その後、実費負担分を全額支払うことになります。ただこの場合、お金が足りません。そこで、足りないお金は補足給付として国から補助金が出されるようになります。
就労で得たお金に対する収入認定
このとき、入所施設で生活している障害者が得られるお金としては以下があります。
- 障害年金
- 就労によるお金
生活保護では、障害年金よりも高額なお金が入ってくるものの、ひとまず生活保護を受けていない人を想定して話を進めていきます。
補足給付では、就労などによって得たお金について、24,000円までは収入として認定しません。また、24,000円を超える金額については、「24,000円を超えた額の30%を収入と認定しない」としています。
重度の障害者の場合、多くは就労継続支援B型となります。就労継続支援B型によって得られるお金については、平均して月に約1万5000円です。そのため入所施設で得たお金は収入認定されず、全額をそのまま活用できると考えましょう。
具体例を用いて補足給付の金額を得る
それでは、具体的に補足給付の金額を計算しましょう。例として、障害年金1級によって月80,000円を得られる場合、以下のケースを考えましょう。
- 障害年金1級:月80,000円
- 労働収入:月15,000円
- 施設の食費・水道光熱費:月54,000円
それでは、以下のように計算していきましょう。
・その他の生活費を計算する
まず、「その他の生活費」を計算します。そこで、「66,667円を超えた収入の50%」を計算しましょう。得られる障害年金は月80,000円であるため、以下の計算になります。
- (80,000円 – 66,667円) × 50% ≒ 6,667円
労働収入は月15,000円であり、月24,000円までは収入認定されないため、「66,667円を超えた収入の50%」を計算するときは障害年金で得られるお金のみが対象になります。
また前述の通り、障害年金1級では28,000円をその他の生活費として必ず手元に残すことになります。そのため、34,667円が手元に残ります。
- 28,000円 + 6,667円 = 34,667円
・実費負担分を計算する
毎月の収入(障害年金1級で得られるお金)は月80,000円であり、さらには手元に34,667円を残す必要があるため、以下のお金が実費負担分になります。
- 80,000円 – 34,667円 = 45,333円
・補足給付による補助金を計算する
ただ、入所施設の食費・水道光熱費は月54,000円であり、月45,333円の実費負担支払いでは金額が足りません。そこで、不足分を補足給付として補います。
- 54,000円 – 45,333円 = 8,667円
こうして、月8,667円の補足給付が補助金・助成金として支給されることになります。
施設入所支援で補助金の活用が可能
重度の障害者で利用できる入所施設(障害者支援施設)について、補助がなければ低収入の障害者は食費・水道光熱費を支払うことができません。そこで、住民税の非課税世帯と生活保護について、障害者支援施設の利用者は補足給付を利用できます。
補足給付により、必ず手元にお金を残しつつ、食費・水道光熱費の不足分は国が負担することになります。こうして、問題なく生活できるようになっています。
具体的な補足給付の金額を計算する必要はありません。重要なのは、「補足給付によって月25,000円以上(または月28,000円以上)が手元に残るようになる」という事実です。
国による助成金をうまく活用すれば、障害者は問題なく生活できるようになります。そこでこうした補助金の中身を知り、低収入であっても暮らせる仕組みを理解しましょう。
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