障害者の中には、一般企業で仕事をしていたり、これから一般就労を目指したりと、ある程度まで自立して生活している人がいます。
ただ障害者である以上、正社員やアルバイト、契約社員などで一般企業にて仕事をしていても収入が低い人は多いです。このとき、「できるだけ早く実家から出て生活したい」「生活費を少しでも低く抑えたい」と考えて障害者グループホームを利用する人は多いです。
障害が軽度であっても障害者グループホームを利用できます。少なくとも、障害者雇用で企業就職している人は全員、障害者グループホームの利用対象者です。
それでは一般就労する人が障害者グループホームを利用するとき、どのように考えて活用すればいいのでしょうか。企業で仕事をしながら障害者グループホーム(共同生活援助)を利用する方法を解説していきます。
もくじ
企業就職していても障害者グループホームを利用可能
軽度の人であっても、障害者グループホーム(共同生活援助)を利用できます。企業にて働いている障害者は一般的に軽度の知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者です。障害者手帳を保有できるほどの障害の程度なのであれば、誰でも障害者グループホームの利用対象者です。
複数の障害者が集団生活する施設が障害者グループホームです。そのため重度の障害者も暮らしていますが、そうした中で一緒に生活するのです。
一般的な賃貸マンション・アパートとは異なり、障害者グループホームでは初期費用が不要です。またシェアハウス形式であることもあり、格安にて入居できます。
そのため「親と離れ、自立して暮らしたい」「可能な限り生活費に抑えたい」という場合、障害者グループホームは適しています。
サービス料は格安だが、フルタイム勤務だと家賃補助はない
なお障害者グループホームには、十分に働けない人が多く在籍しています。ただ一般就労しているということは、少なくとも生活保護ではありません。またフルタイム勤務では住民税の非課税世帯でもなく、この場合は障害者グループホームの利用時にサービス料が発生します。
具体的には、月9,300円のサービス料が必要になります。障害福祉サービスを利用するとき、月の負担上限額は以下のようになっているからです。
状態 | 負担上限額 |
生活保護 | 0円 |
住民税の非課税世帯 | 0円 |
世帯年収600万円以下 | 9,300円 |
世帯年収600万円超 | 37,200円 |
一方で生活保護や住民税の非課税世帯の場合、障害福祉サービスが無料になるだけでなく、国や自治体から家賃補助があります。
ただ住民税の非課税世帯でない場合、障害者グループホームの利用時に家賃補助を得られません。そのため低所得者に比べると、どうしても費用負担は大きくなってしまうことを理解しましょう。
シェアハウス形式であり、食費も低いため、それでも格安なのは変わりないものの、フルタイムで就労している人は家賃補助がないのです。
・郊外や地方に住むのが適切
非課税世帯ではないと家賃補助がないため、東京23区内などの都市部に住むのは現実的ではありません。例えば東京都の場合、障害者グループホームであっても補助なしでは家賃負担が月7万円ほどになるのは普通です。
そのため家賃補助がない場合、通常は首都圏の郊外に住みます。または、地方都市に住みたいのであれば、それでも問題ありません。いずれにしても、家賃の低い場所でシェアハウス形式で住むと家賃負担を抑えられます。
フルタイムでないなら低額で利用可能
なお障害者の場合、健常者に比べて住民税の非課税世帯になる要件がゆるくなっています。具体的には、障害者で住民税の非課税世帯になる収入は次の通りです。
- 所得が年135万円以下(年収204万4000円未満)
そのため障害者雇用の中でも、アルバイトを含めてフルタイム勤務でない場合、多くの人が住民税の非課税世帯となります。例えば時給1200円で1日8時間、週4日勤務する場合、以下のようになります。
- 時給1200円 × 1日8時間 × 週4日 ×4週間 × 12か月 = 年184万3200円
健常者と同様に1日8時間勤務であるものの、週5日ではなく週4日の勤務であれば、住民税の非課税世帯の要件(年収204万4000円未満)を満たします。この場合、障害者グループホームのサービス料は無料ですし、家賃補助によって他の障害者と同様に格安にて住めます。
これから働く場合、共同生活援助の選択肢は多い
なお一般就労を行うとき、「これから就労先を見つける」「既に企業で働いている」の2パターンがあります。このとき、これから働く企業を見つける場合は居住先となる障害者グループホームを見つけやすいです。
実際のところ、障害者グループホームは数が少ないです。そのため空きを見つけるにしても、住む場所を限定すると障害者グループホームの空きは少なくなってしまいます。
一方でまだ就労先が決まっていない場合、多くの選択肢の中から障害者グループホームを選べます。そこで、「どの周辺で働きたいのか」を就労前にザックリと決めておき、先に障害者グループホームを見つけて入居しましょう。
就労先の会社については、非常に数が多いですし、あらゆる選択肢があります。そこで、まずは住む障害者グループホームを見つけ、その後に障害者雇用などで一般就労すればいいです。
既に働いている場合、通勤時間の希望が必要
一方で既に一般就労している場合、住む場所の範囲が限られてしまいます。そこで、障害者グループホーム(共同生活援助)を見つけるときは以下を明確にしましょう。
- 通勤時間の許容範囲
通常、片道1時間以内であれば許容範囲になります。そこで会社の最寄り駅やバス停から逆算して、1時間以内で通える障害者グループホームを探すといいです。
なお「電車の乗り換えなしで片道30分以内」などを条件としてもいいですが、障害者グループホームは元々の数が少ないため、空きを見つけられない可能性が非常に高くなります。そのため、健常者と同様に片道1時間の通勤(電車なら乗り換えあり)は許容するといいです。
空きがない場合、通勤時間の妥協や期間を開けて探しなおす
ただ通勤1時間以内で探しても、場合によっては障害者グループホームの空きがなく、すぐに入居できないケースがあります。この場合、以下を検討しましょう。
- 範囲を広げる
- 探す期間を1~2か月ほど空ける
まずは、片道60分(1時間)での通勤圏内ではなく、70~80分の通勤であっても許容できるかどうか考えましょう。つまり、障害者グループホームの対象範囲を広げるのです。
都市部であれば、障害者グループホームの数が多いため、片道1時間以内であれば空きを見つけやすいです。一方で地方の場合、非常に障害者グループホームの数が少ないため、範囲を広げないと見つけられないケースがよくあります。
または、障害者グループホームを探す期間を1~2か月ほど空けても問題ありません。いまは空きがなくても、1~2か月後であれば、退去者が出ることで空きを生じることがあるからです。つまり、時間を空けることで入居可能な障害者グループホームを見つけられる可能性があります。
規則・門限のゆるい障害者グループホームを探す
なお会社で働く知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者が障害者グループホームを探すとき、よくある要望として「規則のゆるい障害者グループホームがいい」があります。規則の中でも、特に門限のゆるい障害者グループホームを多くの人が探します。
理由は単純であり、仕事で帰りが遅くなるケースがあるからです。毎日ではないものの、仕事が長引いてしまった場合は夕食の時間に間に合わないだけでなく、門限を過ぎてしまう場合もあります。
障害者グループホームによって方針は異なりますが、仕事をしていて帰宅が遅くなってしまう日がある場合、事前に事情を伝えることで「一人だけ特別ルールとして門限をずらしてもらう」ことは可能です。
また会社のイベントなどがあり、夜遅くに帰ることが決まっている場合、その事実を事前に伝えておきましょう。そうすることで特定の日だけ遅くに帰るようになっても問題は起こりません。
通常、障害者グループホームには夜であっても世話人などの介護スタッフが常駐しています。そのため、一般就労している障害者が夜遅くに帰ることになっても問題ありません。
事前の連絡がない場合、警察に捜索願いを出されたり、障害者グループホームのスタッフが会社に連絡をしたりすることになります。そのため事前の連絡は必要になるものの、「事情がある場合、通常の門限を過ぎて帰る」のは特に問題ありません。
他の利用者に収益額を伝えるべきでない
なお障害者雇用を含めて、会社で働いている障害者が他に注意するべき点として、「他の利用者(障害者)に収益額を伝えるべきではない」ことがあります。
多くの場合、障害者グループホームの利用者は生活保護や住民税の非課税世帯です。こうした人が就労継続支援B型で働くにしても、平均月収は月に約1万5000円です。
一般就労によって障害者グループホームの家賃補助がないとはいっても、低所得の障害者に比べると、企業で働いている障害者は多くの給料をもらうことになります。そのため、収益額を伝えると外出時に他の利用者から「奢ってください」と催促され、金銭トラブルに発展する可能性があります。
また部屋にお金や高価な物を置くのもやめましょう。場合によっては、他の利用者が部屋に侵入してしまうことがあるかもしれないからです。要は、不要なトラブルを避ける必要があります。
・他の部分で利用者の模範になる
なお収入額を他の利用者に伝えないのは当然として、一般就労しているのであれば、「どのようにして就労するのか」に関する模範になるといいです。要は、社会復帰によってステップアップするため、どう行動すればいいのか、他の利用者に示すのです。
就労Aや就労Bなどの作業所で働くよりも、企業就職して多くの収益を得るほうが障害者としても優れます。そこで、「一般就労によってどのような仕事をするのか」「どのようなステップを踏めば企業就職できるのか」を他の利用者に教えてあげるといいです。
仕事で働きながら障害者グループホームに住む
正社員やアルバイト、契約社員を含め一般就労によって仕事をしている障害者はたくさんいます。こうした知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者について、たとえ障害の程度が軽度であっても障害者グループホーム(共同生活援助)を利用できます。
初期費用なく格安にて住めるため、一般的な賃貸マンション・アパートよりも入居のハードルは低いです。ただ障害者施設の数は少ないため、許容できる通勤時間を確認して障害者グループホームを探しましょう。
なお働きながら障害者グループホームを探すとき、規則・門限のゆるい施設を探しましょう。一人だけ特例を認めてもらうことで、たとえ仕事時間が遅くなっても問題ありません。
障害者である以上、たとえ企業就職していても生活費を抑えるのは重要です。そこで実家を離れ、企業就職によって自立しつつも低い生活費にて過ごしたい場合、障害者グループホーム(共同生活援助)を活用するといいです。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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