障害年金を受け取る人というのは、通常は一人暮らしが困難な障害者になります。このとき身体障害者であれば一人暮らし可能な人は多いものの、知的障害者や精神障害者で一人暮らしをしているとなると、自立して生活していることになります。

この場合、障害年金の審査に大きく影響します。要は、一人暮らしをしている事実によって障害年金の審査に通過しにくくなるのです。

ただ、一人暮らしをしている背景や他の人からのサポート状況をきちんと説明できれば、一人暮らしであっても障害年金の受給が可能です。当然、障害年金を受給した後に一人暮らしの事実がバレても打ち切りにはなりません。

さまざまな事情によって障害者であっても一人暮らしをします。そこで、障害年金を受け取るにあたって一人暮らしをどのように考えればいいのか解説していきます。

身体障害者を除き、一人暮らしは審査に影響する

障害者の中でも、身体障害者は一人暮らしが普通です。視力障害や聴力障害、四肢不自由で問題なく一人で生活できます。身体障害者については、障害年金を受給するにあたり一人暮らしは何も心配する必要がありません。

一方で知的障害者や精神障害者については、一人暮らしをしている事実は障害年金の審査に大きく影響します。一人暮らしできているという事実は、障害の程度が軽度であるという証明になるからです。

障害年金を受け取れる人というのは、一人では生活できないほど困っている人が該当します。そのため、一人暮らしでは障害年金の基準に該当しないのです。障害年金3級であれば、まだ問題ありません。ただ1級や2級だと微妙です。

このとき、家族と離れて生活しているとはいっても、1級や2級の人で障害者グループホームや入所施設などに入居している場合は問題ありません。しかし、一般的な賃貸住宅に住んでいる場合は「一人での生活が成り立っている」と考えることができます。

家族の手助け、ホームヘルパー利用など他人の助けがある場合は問題ない

それでは、一人暮らしをしていると障害年金を受給できないのかというと、そういうわけではありません。一人暮らしをしている障害者について、障害年金を受給している人はたくさんいます。それでは同じ一人暮らしであっても、受給できる人と受給できない人の違いには何があるのでしょうか。

答えをいうと、「ほかの人からのサポートを受けているかどうか」が重要になります。例えば精神障害者について、以下のような基準となっています。

障害年金基準
1級他人の介助を受けなければほとんど生活できない
2級日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない
3級労働で著しい制限を受ける

このように障害年金1級と2級では、「他人の助けがなければ生活が困難」であることが条件になっています。一方、障害年金3級については他人の助けなしでも一般就労できる状態が基準です。他人の助けなしで生活するのが困難な状況では、障害年金1級や2級は受けられないのが原則です。

ただ逆にいえば、たとえ一人暮らしをしていたとしても、近くに住む家族の助けがあったり、ホームヘルプを利用することで生活が成り立っていたりする場合、障害年金1級や2級を受けられるとわかります。そのため、他人の助けがあるかどうかが重要になるのです。

支援ゼロの場合、普通は生活が破綻する

一方で支援ゼロの場合、知的障害者でも精神障害者でも通常は生活が破綻します。部屋が完全なる汚部屋になるのは当然として、一人では生活できないのが基本というわけです。そのため、他人のサポートがない状態で障害年金1級や2級を得るのは明らかに不自然となります。

なお一人暮らしをするとき、以下の理由によって家族から離れて生活している人はたくさんいます。

  • 家族から暴力(DV)がある
  • 病気への理解を得られない
  • 自責・焦燥感が強い

暴力があったり、病気への理解がなかったりする場合、実家暮らしではうつ病や統合失調症など精神疾患の症状が悪化します。この場合、むしろ一人暮らしをするほうが優れます。

ただこの場合であっても、障害によって生活できないほど重度の場合、やはりホームヘルプや障害者グループホームを利用することで第三者の助けを借りるのが普通です。住民税の非課税世帯の場合、こうした障害福祉サービスは無料であるため、利用するのは特に問題ありません。

一方でこれらの障害福祉サービスを利用せず、一人暮らしが成り立っている状態では、知的障害や精神疾患(うつ病、統合失調症などの症状)が軽度と判断されやすいです。

援助不要だと知的障害者・精神障害者は難しい

そのため、援助不要で一人暮らしできる知的障害者や精神障害者が障害年金を得るのは難しいと考えましょう。障害年金3級を受給するのは問題ないですが、自立して生活している場合、通常だと1級や2級を得る対象者ではないのです。

この理由の一つとして、診断書の中身をみればわかります。例えば以下では、精神障害者の障害年金用の診断書について、一部を載せています。

ここには、アパートなどで一人暮らしをしていると仮定して、食事や清潔保持、金銭管理などが可能かどうかについて記されます。

援助なしで一人暮らしをしている場合、少なくともこれらの項目の多くについて「できる」にチェックが入ります。

家族やホームヘルパーによる助けがあったり、障害者グループホームに入居していたりする場合、「援助が必要」「できない」などの項目にチェックを入れることができます。ただ、援助なしだとそうしたチェックができません。こうして、障害年金の審査に通過しにくくなります。

一人暮らしが成り立っている背景を考慮して申請が必要

そこで、医師の診断書には一人暮らしが成り立っている背景を記載しましょう。具体的には、診断書の「日常生活状況」に受けているサポートを記すといいです。

例えば、「家族が週4回は手伝いに来ている」「ホームヘルプを週3回、2時間を依頼している」「定期的な訪問看護(または訪問介護)を利用している」などです。これにより、他人のサポートによって生活を維持できているとわかります。

・病歴・就労状況等申立書を仕上げる

ただ、医師の診断書の内容だけで「かろうじて一人暮らしが成り立っている」ことを伝えるのは困難です。どのような状況で生活が成り立っているのか不明だからです。例えば家族のサポートがあるとはいっても、家族が障害者の話し相手になっているのと、家族が障害者のために食事・そうじ・洗濯などすべての作業をしているのでは内容が大きく異なります。

そこで病歴・就労状況等申立書を利用することで、障害者がどのように困難な状況に陥っているのか詳細に記す必要があります。

医師の診断書とは異なり、病歴・就労状況等申立書は本人または親族が記すことになります。そこで、「家族にそうじ・食事・洗濯・病院への付き添いをしてもらっている」「薬の服用管理が一人では無理なので、訪問看護を利用して、こうした管理を依頼することでようやく症状の安定化ができている」などを記すことになります。

障害者グループホームのワンルームにて一人で暮らしている場合についても、同様に「介護スタッフからどのような支援を受けているのか」を詳細に記す必要があります。

一人暮らしがバレてもすぐ打ち切りとはならない

なお多くの場合、障害年金の受け取りでは有効期限があり、更新作業が必要になります。障害年金の受給が決まったら、次の更新までは自由に過ごせます。つまり、一人暮らしをしてその事実がバレても打ち切り・支給停止にはなりません。

また一人暮らしをしていたとしても、ここまで述べた通り「ほかの人によるサポートがある状態」であれば、障害年金をこれまで通り受給できるのは普通です。

もちろん、新たに一人暮らしを始めて周囲の支援ゼロで生きていける場合、更新時に障害年金3級となったり、支給停止となったりする可能性が高いです。

いずれにしても、障害者が障害年金を受給しながら一人暮らしをするのは問題ありません。ただ、どのような理由や状況によって一人暮らしをしているのかが障害年金の受給で重要というわけです。

一人暮らしをしながら障害年金を受給する

障害年金の審査は厳しいですが、一人で生活できないほどの重度であれば、障害年金1級や2級となります。一方で障害年金3級では、一人暮らしはできるが労働に著しい制限を受ける人が該当します。

そのため他人のサポートなしに生活できる場合、障害年金3級または不支給(審査落ち)となりやすいです。ただ一人暮らしをしている背景を説明することで、障害年金2級などを受給できます。事実、こうした障害者はたくさんいます。

そこで医師の診断書に生活状況を記載してもらいましょう。また、病歴・就労状況等申立書で他人からのサポート状況を詳細に記す必要があります。当然、障害年金の支給が決定された後、一人暮らしを開始してバレても打ち切りにはなりませんし、他人のサポートを受けているなら更新時に支給停止にはなりません。

正しく生活状況を伝えれば、一人暮らしをしている知的障害者や精神障害者であっても障害年金を受け取れますし、更新時に支給停止になることもありません。そこで一人暮らしをしている障害者について、どのように障害年金を取り扱えばいいのか学びましょう。

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