障害者で利用できる外出支援サービスとして同行援護・行動援護・移動支援があります。こうした外出支援を利用するとき、できることとできないことを知ることは重要です。

当然ながら、すべての外出でサービスを利用できるわけではありません。ただ同行援護・行動援護・移動支援については、利用範囲が非常に幅広いです。そのため病院や銀行、買い物、選挙を含めて外出の場面で困ることはほとんどなくなります。

それでは、どのような場面で同行援護・行動援護・移動支援を利用できるのでしょうか。外出支援サービスによってできること、できないことを解説していきます。

外出支援サービスによってできることは多い

障害者が利用できる外出支援サービスとして居宅介護の通院等介助があります。ただ通院等介助で病院や銀行、役所などへ出向くことはできるものの、利用範囲が狭いです。

そこで障害福祉サービスや自治体の制度の中でも、外出に特化した支援サービスを利用しましょう。以下の外出支援サービスの場合、利用できる外出の場面が非常に多いです。

  • 同行援護:視覚障害者で利用可能
  • 行動援護:重度の知的障害者・精神障害者(特に自閉症)で利用可能
  • 移動支援:多くの障害者で利用可能

利用範囲が広いため、居宅介護だけでなく同行援護・行動援護・移動支援を併用している障害者は多いです。

銀行や買い物など、必須となる外出は利用可能

日常生活を送るうえで必須となる外出が存在します。こうした外出は居宅介護でも対応可能ですが、外出支援サービスでも対応できます。

  • 医療機関
  • 銀行
  • 役所
  • 買い物

こうした場所への外出については、外出支援サービスで問題なく利用できます。

美容院や選挙、余暇活動でも利用できる

なお重要なのは、日常生活で必要不可欠な外出でなかったとしても外出支援サービスを利用して外へ行ける事実です。例えば、同行援護・行動援護・移動支援によって以下の外出が可能です。

  • 美容院
  • 選挙
  • 余暇(散歩、プール、スポーツなど)
  • 冠婚葬祭
  • お墓参り、初詣
  • 温泉
  • 映画館
  • カラオケ
  • 研修・会議
  • 宿泊ありの外出

このように、さまざまな場所へ出向くことができます。

できないことは通年かつ長期にわたる外出

ただ多くの外出で利用できるとはいっても、すべての外出で同行援護・行動援護・移動支援を活用できるわけではありません。外出支援を利用するとき、できないこととしては通年かつ長期にわたる外出があります。

「通年かつ長期にわたる外出」としては、例えば以下が該当します。

  • 通勤、営業活動
  • 保育園・幼稚園、学校への通園・通学
  • デイサービス、就労施設などへの通所

医療機関への通院や買い物についても、長期に渡る定期的な外出です。ただ、こうした外出は生活をする上で必須となるため、たとえ長期間の定期的な外出であっても利用が認められています。一方で通勤や通園、通学、通所については同行援護・行動援護・移動支援の利用が認められていません。

ちなみに子供の保育園への送り迎えについては、居宅介護の育児支援で対応できます。そのため、障害者の子供に関する支援は同行援護・行動援護・移動支援ではなく、居宅介護の利用を検討するといいです。

政治活動やギャンブルなどは利用不可

さらには、違法行為に関することや社会通念上、不適切な内容も利用不可になっています。例えば以下が該当します。

  • 政治活動
  • 宗教布教活動
  • ギャンブル
  • 風俗店

政治活動や宗教布教活動については、場合によっては違法行為に該当します。公的サービスを利用し、税金によって違法行為を勧めるわけにはいかないため、こうした活動では利用できません。

またギャンブル(パチンコ、競馬など)や風俗店については、社会通念上、利用が不適切です。そのため、同行援護・行動援護・移動支援で依頼できません。

移動支援は自治体によって内容が異なる

ちなみに外出支援サービスの中でも、移動支援は自治体によって内容が異なります。そのため基本的なサービス内容は同じであるものの、自治体によって利用できる範囲が違うと考えましょう。

例えば、居酒屋など飲酒を伴う場所への外出については、社会通念上、不適切と考えて利用不可に設定している自治体はたくさんあります。一方で以下のように、飲酒の場への付き添いについても利用可能な自治体もあります。

自治体によって内容が異なるため、移動支援を利用する場合、あなたが住んでいる自治体で利用範囲を確認しましょう。なお同行援護・行動援護は自治体ではなく、国の制度であるため、すべての自治体で利用範囲が同じになっています。

外出支援のできること・できないことを把握する

一人での外出は難しい障害者であっても、同行援護・行動援護・移動支援によって外出が可能になります。このとき居宅介護の通院等介助では無理な外出であっても、同行援護・行動援護・移動支援であれば利用できる外出は多いです。

銀行や役所、買い物など日常生活を送るうえで必要不可欠な外出であれば、当然ながら利用できます。それだけでなく、外出目的が美容院や選挙、余暇活動などであっても利用できるサービスが外出支援です。

ただ、外出支援サービスは通勤や通園、通学、通所には対応していません。また政治活動や宗教活動、ギャンブルなどにも利用できません。

同行援護・行動援護・移動支援には、できることとできないことがあります。そこで、外出支援サービスで利用可能な範囲を理解しましょう。

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