障害者が外出支援サービスとして同行援護・行動援護・移動支援を利用するとき、場合によっては雨の日になることもあります。

当然ながら、障害者にとっても介護者にとっても雨の日の外出は大変です。雨への対策をする必要があり、傘やカッパを利用しなければいけません。

それでは、雨の日の同行援護・行動援護・移動支援はどのように考えればいいのでしょうか。雨天での障害者の外出について解説していきます。

雨の日の外出は注意点が多い

天候が晴れやくもりであれば特に問題ないものの、雨天だと外出時の注意点が多くなります。障害者は車いす生活だったり、車いすでなくてもバランス感覚が健常者よりも劣っていたりするため、考えなければいけないことがたくさんあります。

  • 障害者が傘を使えるか
  • 目的地へ出向くとき、滑りやすい場所はあるか
  • 増水によって危険になる場所はないか
  • 公共交通機関での移動をどうするか

これらを確認する必要があります。例えば雨の日では、以下のように駅のホームが滑りやすくなるのは普通です。

また障害者が外出時に濡れないようにする必要があり、雨天ではやるべきことがどうしても多くなります。

ヘルパーが傘またはカッパを着て支援してくれる

なお、外出時はヘルパーが傘またはカッパを着て支援してくれます。どちらの方法で支援してくれるのかについては、状況によって変わります。

・カッパ(レインコート)のほうが優れる場合

障害者が車いす利用の場合、ヘルパーが傘を使いながらの外出支援は難しいです。そのため、必然的に介護者はカッパを利用しての支援になります。

また障害者が車いすでない場合であっても、障害者が「急に走り出す」「転倒のリスクが高い」などの場合、傘よりもカッパを着ての支援のほうが適切です。

・傘を利用するほうが優れる場合

上記以外の場合、ガイドは傘を利用しての支援になります。晴れの日とは違い、雨の日に「散歩を依頼する」など外だけで完結する外出は少ないです。また外出先で店に入ったり、電車やバスを利用したりするとき、そのつどカッパを脱がなければいけません。そのため、傘を利用するほうが利便性は高いです。

なお、傘を利用するときは以下の2パターンがあります。

  • 障害者が自分の傘を持つ
  • ヘルパーが大きめの傘を持ち、2人で入る

カッパと傘のどちらがいいのかについては、障害者の状況によって異なります。これについてはヘルパーが判断すると思いますが、いずれにしても傘が適切な場合は傘を利用しての外出になります。

タクシーを利用して移動してもいい

なお濡れるのが嫌な場合、タクシーを活用しても問題ありません。基本は徒歩や電車、バスでの移動になるものの、同行援護・行動援護・移動支援ではタクシーを活用することもできます。

同行援護・行動援護・移動支援では、交通費は必ず障害者負担になります。当然、タクシー代は高くなるものの、金銭的な余裕がある場合は雨の日にタクシーを活用しても問題ありません。

ちなみに、障害者がタクシーを利用する場合は全国一律で1割引になります。

お金を節約したいなら、大変であっても徒歩や電車、バスでの移動になります。一方、多少のお金を使ってもいいならタクシーとなります。

買い物代行は居宅介護(ホームヘルプ)で利用する

なお場合によっては、同行援護・行動援護・移動支援を活用して「買い物代行を依頼できないか?」と考える人がいます。雨の日に外出するのは大変であるため、買い物のための外出であれば、自分は家にいてヘルパーに買い物を依頼できないかと考えるのです。

ただ同行援護・行動援護・移動支援での買い物代行は利用できません。あくまでも、外出支援サービスは障害者の外出をサポートするための公的サービスであり、ヘルパーが一人で買い物を代行するサービスではありません。

それでは買い物代行を依頼できないかというと、そういうわけではありません。障害福祉サービスに居宅介護(ホームヘルプ)があり、居宅介護であればヘルパーに買い物代行を依頼できます。事前に依頼したい買い物の項目を伝え、スーパーなどで買い物をしてもらうのです。

障害福祉サービスによって、利用可能な範囲が異なります。同行援護・行動援護・移動支援については、買い物同行は可能であっても、買い物代行は対象外です。そこで、障害福祉サービスの種類や違いを確認しましょう。

雨の日に同行援護・行動援護・移動支援を依頼する

日本で生活している以上、どうしても雨の日の外出が発生します。医療機関への通院や役所での手続き、買い物などで雨天の外出は普通です。

そうしたとき、同行援護・行動援護・移動支援で雨の日の外出をサポートしてくれます。このとき、ヘルパーは傘またはカッパを利用してのサポートになります。どちらが適切なのかについては、障害者の状況によって変化します。また、外出ではタクシーを活用しても問題ありません。

なお、ヘルパーに買い物代行を依頼することはできません。あくまでも、外出支援サービスは障害者の外出をサポートする公的サービスです。買い物代行を依頼したい場合、居宅介護(ホームヘルプ)の利用になります。

障害者にとって雨の日の外出は大変です。そこで同行援護・行動援護・移動支援の性質を理解して、雨天での外出を行いましょう。