上肢(上半身)や下肢(下半身)が思うように動かない身体障害者は多いです。腕の切断や義肢の状態に限らず、脳梗塞などの病気によって肢体不自由となっているケースもあります。
こうした肢体不自由の人について、障害年金の申請が可能です。このとき肢体不自由だけでなく、例えば言語障害など、他の身体障害があれば加味されて等級が重くなります。
なお障害年金の受給では、肢体不自由に関する認定基準を満たさなければいけません。このとき医師の診断書が重要になるものの、診断書作成を医師に丸投げするとダメな内容となります。そのため、どのように診断書を作成してもらえばいいのか理解しなければいけません。
それでは、どのように考えて肢体不自由や義手・義足の人は障害年金を活用すればいいのでしょうか。体が思うように動かない場合の障害年金の活用法を解説していきます。
もくじ
上半身・下半身の不自由で障害年金を得る
義手や義足によって手足がない人がいれば、生まれつき・後天的な要因によって手足を自由に動かせない人もいます。なお病気やケガによって肢体不自由になる人は多く、例えば以下が該当します。
- 脳梗塞・脳卒中
- 脳腫瘍
- 脊髄損傷
- 多発性硬化症
- 筋萎縮性側索硬化症
- パーキンソン病
- 重症筋無力症
- 筋ジストロフィー
- 関節リウマチ
他にもたくさんありますが、いずれにしてもこうした病気によって肢体不自由になっている場合についても障害年金の対象になります。
肢体不自由での障害年金の認定基準
それでは障害の程度について、どのような人で障害年金の対象になるのでしょうか。肢体不自由については、以下の認定基準になっています。
等級 | 状態 |
1級 | 片方の上肢と片方の下肢がまったく機能しない |
両上肢と両下肢の四肢機能に相当程度の障害を残す | |
2級 | 片方の上肢と片方の下肢に相当程度の障害を残す |
両上肢と両下肢の四肢に機能障害を残す | |
3級 | 片方の上肢と片方の下肢に機能障害を残す |
片腕と片足の機能がまったくない場合、障害年金1級に該当します。また「相当程度の障害を残す」とは、日常生活での動作の多くを一人でまったく行えなかったり、一人で行うことはできるが非常に不自由であったりする状態を指します。
一方で「機能障害を残す」とは、一部の日常生活の動作について、一人でまったくできない、または一人で行えるが多少不自由な状態を指します。
上肢や下肢、体幹・脊柱機能で障害の範囲が限られる場合
なお脳血管障害などのように上肢と下肢の両方に影響が表れる疾患ではなく、肢体に関する機能障害が特定の範囲に限られる人もいます。例えば、義手や義足などの人が該当します。この場合、以下の認定基準を活用します。
・上肢(上半身)の基準
等級 | 状態 |
1級 | 両上肢がまったく機能しない |
両手のすべての指がない、または機能がない | |
2級 | 両手の親指と「両手の人差し指または中指」がない(または機能がまったくない) |
片腕の機能がない | |
片手のすべての指がない(または機能がない) | |
3級 | 片腕の3大関節のうち、2関節が動かない |
長官状骨に偽関節があり、運動機能に著しい障害がある | |
片手の親指と人差し指がない | |
親指または人差し指を併せて、片手の3指以上がない | |
親指と人差し指を併せて、片手の4指がまったく機能しない | |
障害手当金 | 片腕の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害がある |
長官状骨に著しい転位変形がある | |
片手の2指以上がない | |
片手の人差し指がない | |
片手の3指以上がまったく動かない | |
人差し指を併せて、片手の2指がまったく動かない | |
片手の親指がまったく動かない |
・下肢(下半身)の基準
等級 | 状態 |
1級 | 両下肢がまったく機能しない |
両足が足関節以上でない | |
2級 | 両足のすべての指がない |
片足の機能がまったくない | |
片足が足関節以上でない | |
3級 | 片足の3大関節のうち、2関節が動かない |
長官状骨に偽関節があり、運動機能に著しい障害がある | |
片足が足の甲半分より先(リスフラン関節以上)でない | |
両足すべての指が機能しない | |
障害手当金 | 片足の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害がある |
片足がもう一方より3cm以上短い | |
長官状骨に著しい転位変形がある | |
片足の親指がない | |
片足の親指以外の4指がない | |
片足すべての指が機能しない |
・体幹・脊柱機能の基準
等級 | 状態 |
1級 | 座れない・立ち上がれないほどの障害 |
2級 | 歩くことができないほどの障害 |
3級 | 脊柱の機能に著しい障害がある |
障害手当金 | 脊柱の機能に障害がある |
「上肢のみ」「下肢のみ」「体幹・脊柱機能のみ」と障害の範囲が限られている場合、このように細かい認定基準が存在します。
他の障害がある場合、併合認定で等級が上がる
なお肢体不自由の人について、場合によっては他にも障害を有することがあります。特に難病やその他の病気の人で多いですが、例えば脳血管障害では肢体不自由に加えて、言語障害やそしゃく機能障害を有していることがあります。
異なる障害を組み合わせることにより、より重い等級に認定される制度を併合認定といいます。複数の身体障害を有する場合、以下のように上の等級になるケースがあります。
- 2級 + 2級 = 1級
- 2級 + 3級 = 1級
- 3級 + 3級 = 2級
- 障害手当金 + 障害手当金 = 3級
こうして、上肢や下肢の障害だけでは障害年金2級や3級であっても、他の障害を考慮することで障害年金1級や2級になるケースはよくあります。
診断書に内容が正しく記される必要あり
なお障害年金で最も重要になるのが医師の診断書です。ただ身体障害者であっても、医師に診断書の作成を丸投げすると、高確率でダメな内容の診断書ができあがります。医師は障害年金の専門家ではないため、事前準備をすることで、診断書に正しく記載してもらうようにする必要があります。
まず、肢体不自由では「杖や補助用具を使用しない状態」を基準にして、診断書に記載してもらうことになります。例えば杖を利用することで歩くことができても、こうした道具なしにまったく歩けない場合、「歩くことができないほどの障害」となります。
この部分を勘違いしている医師は多いため、診断書の中身が「補助用具なしでの内容になっているか」を確認しなければいけません。
さらに、肢体障害用の診断書には日常生活の動作に関する項目があります。
障害者の日常生活での動作について、医師が本人の状況を詳細に把握していることは確実にありません。そこで、事前にメモを用意して渡すなど対策が必要になります。
日常生活の動作に関する項目は重要
なお、診断書で日常生活の動作に関する項目は非常に重要です。虚偽の内容を記してもらうように医師を誘導する必要はないものの、実際に動作が困難なのであれば、それを正しく診断書に反映してもらう必要があります。以下の内容になります。
【手指の機能】
- つまむ:新聞紙を引き抜けない
- 握る:丸めた週刊誌を引き抜けない
- タオルを絞る:水をきれる程度
- ひもを結ぶ
【上肢の機能】
- さじで食事をする
- 顔を洗う:顔に手のひらをつける
- 用便の処置をする:ズボンの前のところに手をやる
- 用便の処置をする:尻のところに手をやる
- 上衣の着脱:かぶりシャツを着て脱ぐ
- 上衣の着脱:ワイシャツを着てボタンをとめる
【下肢の機能】
- 片足で立つ
- 歩く(屋内)
- 歩く(屋外)
- 立ち上がる
- 階段を上る
- 階段を下りる
これらの項目について、不自由な項目を事前に医師へ伝える必要があります。そうしなければ、医師は正しく診断書へ内容を反映させることができません。医師に丸投げすると、ほぼ確実にダメな診断書が仕上がるのは理由があるのです。
なおよくある間違いとして、「障害者手帳と障害年金の診断書について、医師が基準を混同している」ことがあります。身体障害者手帳用の診断書と障害年金用の診断書は別物であり、基準は異なります。そのため両者の基準を混同すると、障害年金の診断書で軽い症状を記されることもあります。
そのため身体障害者であっても、障害年金専門の社労士を活用しましょう。これによって医師に正確な診断書作成を依頼でき、優れた等級にて障害年金を受給できます。
身体の動きが不自由な場合、障害年金が有効
上半身や下半身を自由に動かせない人は多いです。義手・義足の人は当然として、難病によって肢体不自由になっている人もいます。
この場合、障害年金へ申請できます。どの部分が動かせないのかによって認定基準は異なりますが、要件に当てはまっている場合は障害年金を受け取れます。また上肢や下肢、体幹・脊柱機能など特定部分の障害では認定基準が細かく分かれています。
また何も考えずに医師へ診断書作成を依頼すると、障害年金の審査に落ちたり、優れた等級にならなかったりします。そこで事前に診断書の中身を確認して、診断書作成のために医師へ何を伝えればいいのか学んでおきましょう。
障害年金を受給するには、事前に注意点を理解しなければいけません。その後、障害年金を申請することで定期的にお金を受け取れるようになりましょう。
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