身体障害者であれば障害者グループホーム(共同生活援助)へ格安にて住むことができます。聴覚障害・難聴は身体障害であるため、当然ながら障害者グループホームの対象です。
65歳未満であれば、新規での入居が可能です(若いときに障害福祉サービスを利用している場合、65歳以上でも入居可能)。軽度の聴覚障害者であっても障害者グループホームを利用できるため、軽度や重度に関わらず生活に困っているのであれば積極的に入居系の公的サービスを利用しましょう。
なお、障害者グループホームで聴覚障害者に特化した施設はほとんどありません。そのため、通常は一般的な障害者グループホームへ入居することになります。
それでは、どのように考えて聴覚障害者(ろう者)は障害者グループホームを活用すればいいのでしょうか。聴覚障害や難聴について、共同生活援助の利用を解説していきます。
もくじ
聴覚障害者(ろう者)で共同生活援助を利用する
障害をもっている人であれば、誰でも障害者グループホームへ入居できます。障害者手帳を保有していたり、障害年金を受給していたりする人であれば、問題なく共同生活援助を利用できます。
他の障害者に比べると、耳が聞こえないことについて、日常生活の動作で困ることは少ないです。知能指数は正常で精神状態は安定しており、耳以外の体の機能は正常だからです。平衡機能障害がある場合は日常的な介助が必要かもしれませんが、それ以外は特に困りません。
また経理などの事務職やプログラマー、デザイナーを含め、デスクワーク中心の仕事であれば、問題なく仕事を行えるケースは多いです。
ただ難聴であると、健常者に比べると労働に制限があるのは事実ですし、中には十分に働けず低所得者の人もいます。または、他の障害を併発しているかもしれません。この場合、障害者グループホームの利用を考えましょう。
費用は格安であり、障害年金だけで住める
低所得者にとって障害者グループホームが優れるのは、格安にて生活できるからです。そのため軽度・重度の聴覚障害・難聴を保有している人について、日常生活を送るときに介護スタッフによる援助が不要であっても、障害者グループホームへ入居する人は多いです。
住民税の非課税世帯や生活保護など、低所得者の場合、障害福祉サービスの利用料は無料です。また仕事をしている聴覚障害者であっても、年収600万円以下であればサービス料の上限は月9,300円となります。
状態 | 負担上限額 |
生活保護 | 0円 |
住民税の非課税世帯 | 0円 |
世帯年収600万円以下 | 9,300円 |
世帯年収600万円超 | 37,200円 |
また家賃は別に必要であるものの、低所得者であれば家賃の大半は国・自治体から補助が出ます。そのため、実質的な支払いは食費や水道光熱費、その他の雑費などの必要最低限となります。
たとえ労働収入がない人であっても、障害年金を得ている場合、問題なく生活できるのが障害者グループホームです。もちろん仕事をしている場合であっても、民間の一般賃貸住宅より障害者グループホームのほうが支出は圧倒的に少なくなります。
軽度の聴覚障害でも利用可能:年齢は65歳未満
なお障害者グループホーム(共同生活援助)を利用するためには、障害支援区分の取得が必要になります。厳密には区分なしでも利用できるものの、その場合は利用料が高額になってしまうため、事前に障害支援区分を取得するというわけです。
区分は1~6まであり、数字が大きくなるほど重度を表します。
このとき、障害者グループホームは区分1以上で利用できます。つまり、軽度の聴覚障害者であっても障害者グループホームの入居対象です。
また年齢については、18歳以上・65歳未満の聴覚障害者であれば障害者グループホームを利用できます。より正確には、65歳までに障害者グループホームやその他の障害福祉サービスを利用している場合、65歳以上の高齢者になっても障害者グループホームに継続または新規にて入居できます。
専門施設はほぼ存在せず、通常の共同生活援助を利用
このとき、聴覚障害者(ろう者)に特化した障害者グループホームは存在するものの、非常に数が少なく現実的に入居できないと考えましょう。たとえ東京や大阪などの都市であっても、専門施設はほぼありません。
そもそも、障害者の人数に対して障害者グループホームは圧倒的に数が足りていません。そのため、聴覚障害・難聴の場合は通常の障害者グループホーム(共同生活援助)を利用することを考えましょう。
一般的な障害者グループホームでは、一つの施設内に知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者とさまざまな種類の障害者が一緒に共同生活を送ることになります。
「障害者の生活を支援する」という意味では共通していますが、聴覚障害者に特化しているわけではありません。そのため、施設内に聴覚障害者を意識した回転灯やフラッシュランプなどは設置されていません。
もちろん、フラッシュランプを施設内に設置するのは容易です。ただ同じ施設に知的障害者や精神障害者なども一緒に生活することになり、光に対して過敏な障害者もいるため、リビングなどの共同施設に回転灯やフラッシュランプが設置されることはないです。設置されたとしても、聴覚障害者が住む部屋の中のみになります。
手話ができなくても、筆談で会話できる
聴覚障害者(ろう者)の専門施設でないケースがほとんどであるため、介護スタッフの多くは手話ができません。日本語を理解できるものの、手話での会話は期待しないほうがいいです。
ただスタッフが手話を理解していなくても、聴覚障害者とスタッフは筆談にて会話できます。例えば以前、聴覚障害者で銀座のホステスとして勤務し、お店のNo.1になった女性がいました。彼女は「筆談ホステス」という本を出版し、ベストセラーになったことがあります。
※光文社:筆談ホステス
もちろん手話が通じるほうがスムーズであるものの、人との会話で必ずしも手話は必要ありません。筆談を利用して、後は心が通じればそれで十分なのです。
障害者グループホームで問題になりやすい音は気にならない
なお聴覚障害・難聴で障害者グループホームへ入居するとき、障害者グループホームで問題になりやすい音のトラブルは気になりません。この点についてはメリットかもしれません。
障害者グループホームはシェアハウス形式であり、一つの建物に複数の障害者が共同生活を送ることになります。例えば、以下は実際の障害者グループホームです。
精神障害者が一緒の建物に住んでいる場合、稀に隣の部屋からうめき声が聞こえてくることがあります。ただ、こうした音に関するトラブルは聴覚障害・難聴では関係ありません。
もちろん、トイレが重なるなどの簡単なトラブルはあります。ただそれ以外の問題点はなく、低所得者であっても問題なく生活できる施設が障害者グループホームです。
耳が聞こえないろう者で障害者グループホームを利用する
聴覚障害者の場合、他の障害者に比べると、日常生活の動作で困る場面は少ないです。軽度でも重度でも、基本的に自分一人で食事や洗濯、そうじをすることができます。また仕事をしており、ある程度の収入があるなら障害者グループホームは不要です。
一方で聴覚障害者(ろう者)の中には、低所得者もいます。この場合、たとえ軽度であっても身体障害者であれば障害者グループホームを利用でき、収入が障害年金だけであっても生活できるようになります。
聴覚障害・難聴に特化していない施設が基本であり、介護スタッフは手話を使えないものの、これについて心配する必要はありません。聴覚障害者の部屋に後付けでフラッシュランプなどを取り付けてもいいですし、会話は筆談で十分です。
聴覚障害者で低収入なのであれば、セーフティーネットとして障害者グループホームは優れます。そこで、耳が聞こえないろう者で生活に困っている場合、障害者グループホーム(共同生活援助)を利用しましょう。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
そこで、当サイトでは完全無料で障害者グループホームを紹介するサービスを日本全国にて実施しています。「いますぐ入居したい」「いまの障害者グループホームから他の施設へ移りたい」「強制退去となり、新たな施設を探している」など、軽度から重度の障害者を含めてあらゆる方に対応しています。