障害者の中でも、重症心身障害者や医療的ケア児(重症心身障害児)など、常に医療的ケアを必要とする人がいます。

こうした常に医療的ケアが必要な重度の障害者について、医療型の日中一時支援を利用することで障害者を施設に預けることができます。日帰りにて預けることにより、家族は休息(レスパイト)を取ることができます。

それでは、医療型の日中一時支援を利用するときはどのように考えればいいのでしょうか。医療的ケアが必要な障害者を日帰りにて預ける方法を解説していきます。

通常の障害者施設は医療的ケアに対応不可

多くの障害者施設は医療的ケアに対応していません。これは、介護士は医療行為をすることができないからです。例外として、特殊な研修を受けた介護士は以下の医療行為をすることができます。

  • 喀痰吸引
  • 胃ろうでの経管栄養

ただ、介護士では以下の医療行為ができません。

  • インスリン注射
  • 摘便:指を入れて便を排出させる
  • 床ずれ(褥瘡)の処置
  • 点滴
  • チューブ交換

そのため常に医療が必要な障害者の場合、医療従事者が在籍している医療型の日中一時支援の利用が適切です。

病院で日中一時支援を利用できる

このとき、重症心身障害者や医療的ケア児に対応できるわかりやすい施設として医療機関があります。病院やクリニックで日中一時支援を募集している場合、医療的ケアが必要な障害者を日中に預かってくれます。

例えば、以下の医療機関では18歳未満の重症心身障害児を対象に日中一時支援を募集しています。

通常、医療機関は病気やケガなどの治療目的でなければ行く意味がありません。ただ日中一時支援の場合、障害者の容体が安定していたとしても家族の休息を目的として病院を利用できます。

医療機関での日中一時支援であるため、利用可能な施設は少ないです。ただ、近くの医療機関で日中一時支援に対応している場合、医療型の一時預かりが可能です。

なお病院を利用するとはいっても、障害者向けの公的サービスとして日中一時支援を利用します。そのため事前に市区町村の役所で「日中一時支援の支給決定」を受ける必要があります。そこで医療型の日中一時支援を利用したい場合、できるだけ早めに役所へ出向きましょう。

医療機関で遅くまでの日中一時支援は利用できない

なお一般的な日中一時支援の特徴として、19:00や20:00など夜遅くまで障害者を預かってくれることがあります。

ただ医療機関の場合、当然ながら早めに営業が終わります。少なくとも、一般的な日中一時支援のように夜遅くまで障害者を預かってくれることはありません。病院の日中一時支援を利用する場合、16:00ほどで帰宅となります。

生活介護や放課後等デイサービスを利用する場合、夕方には帰宅になります。これと同様に、医療型の日中一時支援はどうしても帰宅時間が早くなりがちです。

医療的ケアが必要な障害者・障害児について、病院を利用する場合はほかの日中一時支援のように夜遅くまでの預かりは期待できません。

看護師のいる障害者施設で日中一時支援を利用

ただ実際のところ、病院で日中一時支援を提供しているケースは少ないです。そのため、家の周辺で日中一時支援を実施している医療機関を見つけられないのは普通です。

その場合、看護師常駐の障害者施設が提供している日中一時支援を活用しましょう。通常、障害者施設には看護師などの医療従事者がいません。そのため多くの場合、医療的ケアに対応できません。

ただ大人向けのデイサービスである生活介護については、看護師の配置基準があり、必ず看護師が常駐しています。そのため生活介護を提供している事業所が日中一時支援も実施している場合、こうした施設で医療的ケアが必要な障害者を預けることができます。

また放課後等デイサービスについても、重度向け施設であれば看護師が常駐しているケースがあり、同時に日中一時支援を提供していることがあります。障害者施設であっても、看護師がいれば医療型の日中一時支援が可能です。

・必要なものを持参する

なお病院とは異なり、障害者施設にあらゆる医療機器がそろっているわけではありません。そのため障害者施設を利用する場合、例えば以下を持参する必要があります。

  • 吸引器
  • 吸引セット
  • 吸入セット
  • 服用している医薬品
  • おむつ

医療機関であれば必要な医療機器や薬をすぐに入手できます。ただ障害者施設では不可であるため、日中一時支援を利用するときは持参しなければいけません。

夜遅くまで看護師が常駐しているとは限らない

なお看護師が常駐している障害者施設であっても、日中一時支援を利用するとき、看護師が夜遅くまで常駐しているとは限りません。看護師がいるのは夕方までであり、それ以降は介護士による対応になることはよくあります。

そうはいっても、この場合は夕方まで看護師による医療的ケアがあります。また容体の安定している障害者が日中一時支援を利用するため、看護師が夜遅くまでいないのは大きな問題にはなりません。

・夜遅くまでの営業とは限らない

一方で注意するべき点が営業時間です。日中一時支援の事業所によって営業時間は異なり、重度障害者のみを対象にしている事業所の場合、医療機関と同様に16:00までなど早めの帰宅になるのは普通です。

一般的な日中一時支援であれば、夜遅くまで障害者・障害児の預かりが可能です。ただ医療型に特化している場合、営業時間が夕方までになりやすいことは注意しましょう。

医療型の日中一時支援を活用する

重症心身障害者や医療的ケア児(重症心身障害児)など、常に医療が必要な障害者の場合、日中一時支援を利用するにしても対応している事業所が限られます。

医療型の日中一時支援を利用したい場合、候補として病院があります。病院で日中一時支援を募集している場合、役所による支給決定を受けた後、医療機関で日中一時支援を利用しましょう。このとき、預かり時間は16:00までなどになります。

また障害者施設であっても、看護師が常駐している場合は医療的ケアが可能です。ただ、この場合であっても営業時間を確認する必要があります。また19:00や20:00まで営業している事業所であっても、夜遅くまで看護師がいるとは限りません。

医療的ケアが必要な障害者の場合、これらの注意点があります。そこで重度の障害者を一時的に預けたい場合、ここまでの内容を理解して日中一時支援を活用しましょう。

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