障害者で生活介護(デイサービス)を利用するとき、金額は少ないながらも生産活動に対する工賃を得られる場合があります。内職のような生産活動(軽作業)をすることにより、お金を得ることができるのです。

このとき、障害者がお金を得る方法として就労継続支援B型(就労B)を利用する人は多いです。生活介護は重度の障害者が利用するデイサービスであるものの、就労継続支援B型についても重度の障害者で活用できます。

収益面を考えると、生活介護よりも就労Bのほうが優れます。そのため、2つを併用しても問題ありません。

それでは重度の障害者について、生活介護で得られる工賃はどのようになっているのでしょうか。就労継続支援B型との違いや併用まで含めて解説していきます。

生活介護の生産活動(内職)で工賃を得られる

重度の障害者で利用される生活介護について、施設で生産活動をすることがあります。こうした生産活動しては、内職のような軽作業をすることになりますが、例えば以下のようになります。

  • パンやお菓子作り
  • 手芸・園芸
  • 企業の下請け
  • 農作物の栽培・販売

例えばお菓子やケーキを作った後、売ればお金になります。または、バザーでリサイクル品を販売しても問題ありません。

こうした生産活動を通して得たお金は工賃として障害者に支払われます。生活介護は食事・入浴・排せつの介助や生活指導など、障害者の機能向上を目指す側面が強いです。ただ生活介護を通して工賃を得ることもできるのです。

就労継続支援B型(就労B)で賃金を得る

なお工賃を得る障害福祉サービスとしては、就労継続支援B型が広く知られています。時給200円など、一般的な最低賃金よりは圧倒的に低いものの、内職のような軽作業を通してお金を得られる制度が就労Bです。

就労継続支援B型では、雇用契約なしに短時間の労働をします。また、障害の程度が重い人であっても行える仕事内容にする必要があるため、作業内容は簡単です。

ただ労働に特化した障害福祉サービスであるため、当然ながら生活介護よりも多くのお金を得ることができます。

平均工賃は大きく異なる

生活介護と就労継続支援B型でどれだけ平均賃金が異なるかというと、具体的には以下のようになります。

  • 生活介護:月に約4000円
  • 就労継続支援B型:月に約1万5000円

このように、生活介護で得られる平均工賃は就労Bに比べて大幅に低いとわかります。

生活介護はデイサービスがメインになり、賃金を得ることではありません。また就労継続支援B型では「工賃の下限額が月額平均3000円以上」「工賃の申告義務あり」など決まりがあるものの、生活介護ではそうした決まりがありません。そのため、どうしても就労継続支援Bに比べて工賃が大幅に少なくなります。

利用するときの区分や重症度は異なる

このとき、生活介護と就労継続支援B型では「利用者の区分や重症度」が大きな違いとなります。障害福祉サービスを利用するとき、多くの場合で障害支援区分を取得します。区分は1~6まであり、数字が大きいほど重度を表します。

生活介護を利用するとき、区分3以上(50歳以上は区分2以上)で利用できます。ただ実際には、区分5や区分6と非常に重度の障害者が主に生活介護を利用します。

区分3などの場合、わざわざ生活介護を利用する必要がなく、就労継続支援B型によってお金を得るほうが優れます。そのため、短時間でもいいので内職のような軽作業を行える場合、生活介護ではなく就労Bによって工賃を得る方が適切です。なお就労継続支援B型では、どの区分でも利用できるようになっています。

生活介護と就労Bの併用は普通

なお重度障害者では、多くの人で低所得者です。こうした低所得者にとって、月1万円であっても非常に高額なお金になります。ただ生活介護だけでは、このような額の工賃を得られません。

このとき、毎日のように就労Bへ行くのは困難であるものの、「週に数日であれば就労継続支援B型を利用できる」という人もいます。この場合、継続して生活介護を利用するものの、他の日に就労Bを併用して労働賃金を得ることもできます。

通常、日中活動系の障害福祉サービスは併用できず、どれか一つに集中する必要があります。ただ生活介護と就労継続支援B型については、問題なく併用可能です。

症状の重い障害者がステップアップをしていくとき、以下のように日中活動の内容を変化させ、得られる賃金を増やしていくのが一般的です。

  1. 生活介護:月に約4000円
  2. 就労継続支援B型:月に約1万5000円
  3. 就労継続支援A型:月に約8万円
  4. 一般就労(障害者雇用):正社員、アルバイトなど

ただ、生活介護からいきなり就労Bへすべて切り替えるのは難しいです。そこで就労継続支援B型に慣れるため、生活介護と就労継続支援B型を併用するというわけです。その後、症状や機能の回復など障害の改善状況に応じて、必要であれば就労継続支援A型や障害者雇用を考えます。

生活保護でも月15,000円までは控除対象

なお生活介護や就労継続支援B型を含めて、労働賃金を得られるのは大きな意味があります。住民税の非課税世帯はもちろん、生活保護であっても「得られたお金のほぼ全額を自由に使える」からです。

生活保護では「働くとその分だけ生活保護費から差し引かれる」のが有名です。ただ、たとえ生活保護であっても、労働賃金は月15,000円まで控除となります。そのため、生活介護や就労継続支援B型で得られる工賃がそのまま手元に残るというわけです。

もちろん、こうした労働賃金について確定申告は不要です。生活保護であっても賃金が手元に残ることを考えると、生活介護や就労継続支援B型で働くのは大きな意味があります。

生活介護と就労継続支援B型を活用する

重度障害者で生活介護(デイサービス)を利用するとき、生産活動を通して工賃を得られることがあります。このときの平均工賃は月に約4000円ほどです。あくまでもデイサービスがメインであるため、生活介護でお金を得ることを目的にしてはいけません。

なお作業所にて労働賃金を得ることを考えるとき、重度の障害者では就労継続支援B型を利用するのが一般的です。この場合、平均工賃は月に約1万5000円になります。

このとき、生活介護と就労継続支援B型は併用できます。そこで、それぞれの違いを理解したうえで、可能であれば就労Bへ通う日を設けましょう。また、就労継続支援B型へ徐々に移行していけば、それに伴って得られるお金が増えます。

障害者は低所得者であるため、少しでも利用できるお金が増えるのは重要です。そこで生活介護や就労継続支援B型での工賃を理解して、重度障害者であっても労働賃金を得ることを考えましょう。

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