視覚障害者の場合、どうしても外出が困難になりやすいです。白杖を用いて外出は可能ですが、一人では危険です。

そこで視覚障害者が外出を行うことを目的として、同行援護という公的サービスを利用できます。障害福祉サービスの一つが同行援護であり、視覚障害者がスムーズに外出できるようになるという役割があります。

同行援護を利用することで自宅に住んでいても日常生活を送れるようになりますし、余暇を楽しむこともできます。

それでは全盲や盲ろう者、弱視を含めて視覚障害者が同行援護を利用するとき、何ができるのでしょうか。視覚障害者が利用する同行援護とは何かについて、サービス内容や目的・役割を解説していきます。

視覚障害者が利用する障害福祉サービス

全盲や盲ろう者、弱視などの視覚障害者がスムーズに外出できることを目的として利用できる公的サービスが同行援護です。ヘルパーが同行することで、徒歩や電車、バスの移動に困らなくなります。

白杖を利用して自ら外出しても問題ありません。ただそれだと危険なので、同行援護を利用することで自宅に住みながらであっても生活できるようになります。

軽度の視覚障害者でも利用可能

このとき、視覚障害者であれば軽度であっても同行援護を利用できます。つまり全盲や盲ろう者でなく、軽度の弱視であっても問題ありません。

障害福祉サービスを利用するとき、障害支援区分の取得をします。区分には1~6まであり、数字が大きいほど重度を表します。

同行援護を利用するとき、区分1以上であれば利用できます。これが、軽度の視覚障害者であっても同行援護を依頼できる理由です。

同行援護で可能なサービス内容:通院、買い物など

それでは同行援護を利用する場合、どのようなサービス内容になるのでしょうか。基本的には、同行援護を利用することで、日常生活を送るうえで必須となる外出はすべて可能になると考えましょう。

例えば、同行援護を利用することで以下の外出が可能です。

  • 医療機関への通院
  • 銀行
  • 役所
  • 買い物

それまで外出が困難な全盲や盲ろう者、弱視の方であっても、同行援護を利用すればヘルパーがこれらの場所へ同行してくれるようになり、少なくとも日々の生活に困ることはなくなります。

美容院や余暇利用も可能

また同行援護は利用範囲が非常に幅広いです。そのため日常生活で必須となる外出以外にも、以下の場面で利用できます。

  • 美容院
  • 冠婚葬祭
  • 余暇(散歩、温泉、スポーツなど)
  • 宿泊を伴う外出

通勤や通学、通所、ギャンブルなど利用できない外出は存在します。ただ、ほとんどの外出で同行援護を利用できます。

代読・代筆は同行援護に特徴的な内容

なお障害福祉サービスの中でも、同行援護に特徴的なサービス内容に代読・代筆があります。全盲や盲ろう者、弱視の場合、視覚情報がありません。そこで、ヘルパーが代読するのです。例えばスーパーで弁当を購入するとき、以下の情報が視覚障害者に提供されます。

  • 中身:小さいぶりが入った、からあげ弁当(卵焼きときんぴらごぼうが他に入っている)
  • 大きさ:横20cm、たて15cmほど(一人分)
  • 値段:一つ600円
  • 個数:同じ弁当が3つ
  • 賞味期限:明日までに食べる必要あり
  • 種類:他にどのような種類の弁当があるのか

こうして、視覚障害者であっても適切なサービス内容を知ることができます。同行援護でのヘルパーというのは、視覚障害者にとって目の代わりになります。

また外出先での代筆も同行援護で重要なサービス内容です。ヘルパーが代筆することにより、書類への記載がスムーズになります。重要書類(不動産の契約書)や本人のサインが必須となる書類などを除いて、ヘルパーによる代筆が可能です。

移動支援より同行援護が優先される

なお外出支援サービスを利用するとき、複数の種類があります。この中でも、ほとんどの障害者で利用できる外出支援サービスに移動支援があります。

全盲の方であっても移動支援を利用できます。ただ同行援護は視覚障害者に特化した外出支援サービスであり、視覚障害者は移動支援よりも同行援護が優先されます。また、同行援護と移動支援を併用することはできません。

移動支援を利用してもいいですが、移動支援のヘルパーは代読・代筆に慣れておらず、適切な外出支援サービスにならない可能性があります。そのため特別な理由がない限り、視覚障害者は移動支援ではなく同行援護を利用しましょう。

外出支援サービスには複数の種類があります。それぞれ特徴があり、使い分けなければいけません。このとき全盲や盲ろう者、弱視の場合、「外出支援サービスの中では同行援護を活用すればいい」と覚えればいいです。

利用の上限時間は決められている

なお障害福祉サービスを利用するとき、必ず役所で申請します。このとき月の利用上限時間が決められています。同行援護については、基本的に月50時間が上限となります。

障害福祉サービスは自己負担が1割であり、低所得者(住民税の非課税世帯や生活保護)の場合は利用料金がゼロです。非常に格安に利用できるため、何度も利用したいと考える人は多いですが、毎日のように長時間を利用できるわけではありません。

障害福祉サービスの利用は税金によって賄われています。そのため、無制限には利用できないと考えましょう。

・全盲の方を含め、毎日のサポートは障害者施設

なお毎日のサポートを受けたい場合、自宅で過ごしながら同行援護を利用するのではなく、障害者グループホームの利用が適切になります。

仕事をしている人は特に問題ないですが、低所得者で一人暮らしをするのは大変です。そのため同じ障害福祉サービスの中でも、毎月の支払いが格安である障害者グループホームを選ぶのです。障害者グループホームの場合、24時間体制で介護スタッフがいるので常に援助を依頼できます。

同行援護によって外出する

障害福祉サービスの同行援護とは、視覚障害者の外出支援を目的・役割とした公的サービスになります。全盲や盲ろう者ではなく、軽度の弱視であっても利用できます。

同行援護のサービス内容は幅広く、ほとんどの外出を依頼できます。余暇利用や宿泊を伴う外出にも対応しています。また同行援護に特徴的なサービス内容に代読・代筆があり、これによって視覚障害者は適切な視覚情報を得たり、必要な情報を記載してもらったりできるようになります。

同様の外出支援サービスに移動支援はあるものの、視覚障害者では移動支援よりも同行援護が優先されます。月の利用上限時間はありますが、同行援護を利用することで日々の生活に困らなくなります。

全盲や盲ろう者、弱視など視覚障害者にとって重要な公的サービスが同行援護です。そこで、同行援護を活用することで外出できるようになりましょう。

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