障害者や高齢者の場合、住んでいる家にホームヘルパーを招いて身体介護や家事援助、外出支援を依頼することがよくあります。
こうしたホームヘルプの種類について、居宅介護や重度訪問介護、訪問介護があります。ホームヘルプという意味では同じであるものの、それぞれの援助内容は大きく異なります。そこで、それぞれの違いやサービスの併用について理解するといいです。
それでは、ホームヘルプの種類や併用はどのようになっているのでしょうか。居宅介護や重度訪問介護、訪問介護の中身を確認していきます。
もくじ
ホームヘルプには種類があり、併用できない
障害者や高齢者向けのホームヘルプについて、前述の通り種類があります。ザックリと考えると、以下のようになります。
- 居宅介護:65歳未満の軽度障害者が利用
- 重度訪問介護:65歳未満の重度障害者が利用
- 訪問介護:65歳以上の高齢者が利用
このとき、それぞれのサービスを併用することはできません。ホームヘルパーが利用者の家に来て身体介護や家事援助、外出支援をするという意味では同じであるため、併用ではなくどれか一つを選ぶことになります。
65歳未満の障害者で利用できる居宅介護
障害者の場合、障害福祉サービスを利用できます。65歳未満の障害者であれば、知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者とあらゆる障害者で利用できる制度が障害福祉サービスです。これが65歳未満の障害者で居宅介護を利用する理由であり、居宅介護は障害福祉サービスの一つです。
障害福祉サービスには、障害支援区分が存在します。区分は1~6まであり、数字が大きいほど重度を意味します。
このとき、居宅介護は区分1以上で利用できます。つまり、日中にフルタイム勤務をしている発達障害など、軽度障害者であっても問題なく利用できる制度になっています。
障害者であればすべての人で利用できる障害福祉サービスが居宅介護です。そのため、軽度の障害者がメインで居宅介護を利用します。
重度の障害者で利用する重度訪問介護
それに対して、肢体麻痺や重度の知的障害者・精神障害者(強度行動障害を伴う)など、重度の障害をもつ人で利用できるホームヘルプが重度訪問介護です。区分4以上の重度でなければ重度訪問介護を利用できません。
居宅介護と比べたとき、重度訪問介護で提供されるホームヘルプの基本的な援助内容は同じです。ただ、重度訪問介護では以下の内容になっています。
- 原則3時間以上の長時間介護
- 24時間体制での介護も可能
- 事前にプランは決められておらず、その場に応じて介護サービスを提供
つまり、居宅介護に比べて長時間の介護サービスの提供となり、さらには障害者の状態変化に応じて臨機応変にサービス提供が行われるようになります。重度障害者の場合、自らの意思で助けを呼べないことも多く、そのために事前のプランを決めずに現場ごとの判断になるのです。
65歳以上の高齢者で利用する訪問介護
居宅介護も重度訪問介護も「65歳未満の障害者向け」のホームヘルプです。それに対して、65歳以上の高齢者向けサービスが訪問介護です。
65歳以上の高齢者になると利用できるサービスに介護保険サービスがあります。訪問介護は介護保険サービスの一つであり、65歳未満の人が利用する障害福祉サービスとは異なります。また障害福祉サービスでは障害支援区分によって障害の程度を分類しますが、介護保険では要介護度を活用します。
つまり、障害福祉サービス(居宅介護・重度訪問介護)と介護保険サービス(訪問介護)はまったく別の制度と理解しましょう。
訪問介護の場合、65歳以上であれば軽度や重度に関係なく、すべての人で「訪問介護というホームヘルプサービスを利用する」ことになります。
65歳以上は介護保険優先で訪問介護へ自動切り替え
このとき、日常生活に支障のある障害者であっても、年齢によって利用できるサービスに違いがあるとわかります。また居宅介護・重度訪問介護と訪問介護を比べたとき、提供されるサービス内容はほぼ同じです。
障害福祉サービスと介護保険サービスで似ているサービスとしては以下があります。
こうした「障害福祉サービスと居宅介護で似ているサービス」について、障害者が65歳以上になると、その瞬間に障害福祉サービスから介護保険サービスへと切り替えとなります。つまり、障害者は65歳になった瞬間に居宅介護を利用できなくなり、訪問介護を利用しなければいけません。
そのため居宅介護を利用していた障害者について、65歳になると「これまで利用していたホームヘルプの事業所への依頼ができなくなり、訪問介護を提供している高齢者向けホームヘルプの事業所と新たに契約する」という作業が発生します。
年齢を理由に、それまで利用していた事業所を強制変更させるのは好ましくありません。ただ、65歳になると介護保険への切り替えになるため、これについては仕方ないと考えましょう。
なお障害者向けの居宅介護と高齢者向けの訪問介護の両方を提供している事業所もあります。この場合、例外的に利用する事業所の切り替えは不要です。
人によっては重度訪問介護を継続利用できる
それでは、すべての人で高齢者になると訪問介護へサービスを依頼しなければいけないのかというと、必ずしもそういうわけではありません。重度訪問介護を利用している重度の障害者については、場合によっては重度訪問介護をそのまま継続して利用できるケースがあります。
居宅介護は訪問介護によって問題なく代替できます。それでは、重度訪問介護と同じサービスを訪問介護によって提供できるかというと、残念ながらできません。
先ほど解説した通り、重度訪問介護では24時間体制での介護も可能です。また、ホームヘルパーが障害者の旅先に一緒に出向いて、何日もの外出をサポートすることもできます。障害者の状態の変化に応じて、その場で臨機応変に対応することもできます。
そこで、訪問介護では対応できない重度の障害者については、たとえ65歳以上になっても重度訪問介護を継続して利用できる場合があります。
例えばALSなどの難病患者では、夜間を含めて数時間おきの吸引が必要になります。これを訪問介護で代替することはできないため、重度訪問介護の継続利用が重要になります。
ホームヘルプでの種類の違いを理解する
多くの人が自宅にホームヘルパーを招き、身体介護や家事援助、外出支援をしてもらうことになります。そこで居宅介護や重度訪問介護、訪問介護の違いを学びましょう。提供されるサービス内容はほとんど同じではあるものの、詳細な中身は異なります。
居宅介護は軽度の障害者が利用し、重度訪問介護は重度の障害者が利用します。どちらも65歳未満の利用が基本になります。それに対して、訪問介護は65歳以上の高齢者向けサービスです。
65歳になると自動的に介護保険へ切り替えとなります。そのため居宅介護を利用できなくなり、65歳以上は訪問介護を利用します。ただ場合によっては、高齢者であっても重度訪問介護を継続利用できるケースがあります。
居宅介護や重度訪問介護、訪問介護にはこうした違いがあります。それぞれの併用はできないため、違いを理解したうえで最適なホームヘルプを活用しましょう。
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