メニエール病や脳梗塞・脳卒中による後遺症などにより、めまいやふらつきを生じる人がいます。単なるめまいではなく、めまい症の症状が強い場合は日常生活や労働が困難になります。こうした人について、障害年金の受給が可能です。

医師の中には、めまいで障害年金を申請できないと考えている人がいるものの、実際には何も問題なく障害年金を受け取りできます。

それでは、どれだけ重度の人であればめまい症で障害年金の受給が可能なのでしょうか。当然ながら、軽度の人は対象ではありません。

平衡機能障害で障害年金を受け取るには、事前に認定基準を知っておく必要があります。そこで、めまい症で障害年金を受給するポイントを解説していきます。

メニエール病や脳梗塞などによるめまいは障害年金の対象

めまい症(平衡機能障害)を起こす病気としては、脳以外の神経によるもの(末梢神経系)と脳・脊髄の神経によるもの(中枢神経系)があります。以下のような病気が該当します。

【末梢神経系】

  • メニエール病、前庭神経炎、良性発作性頭位めまい症 など

【中枢神経系】

  • 脳血管障害(脳梗塞、脳卒中)、多発性硬化症、脳炎 など

これらの原因について、末梢神経系や中枢神経系に関係なく障害年金の対象になります。

めまいでの障害年金の基準

それでは、めまい症によって障害年金を受け取るときの認定基準はどのようになっているのでしょうか。平衡機能障害では以下のようになっています。

等級状態
2級平衡機能に著しい障害を有する
3級労働に著しい制限
障害手当金労働に制限

平衡機能障害で障害年金1級は存在しません。必ず2級や3級、障害手当金となります。

なお障害年金2級の状態では、身体や体幹に異常がない人について、「眼を閉じて、立つ姿勢や座る姿勢を保てない」ほどのめまいが該当します。または、眼を開けて直線上を歩行中に10m以内に転倒・よろめきによる歩行中断を生じる人が対象です。

一方で3級については、「眼を閉じて、立つ姿勢や座る姿勢が不安定な人」になります。また目を開いて直線上を10m歩くとき、転倒やよろめきはあるものの何とか歩きとおせる人になります。

障害手当金では、眼振(目のけいれんで眼球が動く)やその他の平衡機能検査の結果に明らかな異常が認められ、労働に制限がある人となります。

複数の障害を有する場合、等級が考慮される

なおメニエール病や脳血管障害などの病気では、複数の身体障害を有する人も多いです。例えばメニエール病の場合、平衡機能障害に加えて難聴となっており、耳の聞こえが悪い人がたくさんいます。また脳血管障害では、言語障害やそしゃく機能障害、手足のまひなどがあります。

このようにその他の障害を抱えている場合、併合認定が可能です。併合認定ではそれぞれの障害について等級を出し、以下のように等級を上げることができます。

  • 2級 + 2級 = 1級
  • 2級 + 3級 = 1級
  • 3級 + 3級 = 2級
  • 障害手当金 + 障害手当金 = 3級

一つの等級が低くても障害年金1級や2級になることがあるため、めまい症以外の障害にも着目しましょう。

協力的な医師に診断書を依頼する

なお障害年金の受給で重要な書類が医師の診断書です。適切に記載された診断書でなければ障害年金を受給できません。参考までに、以下は平衡機能障害に関する診断書の一部です。

ここでは、先ほどの認定基準で示した通り「目を閉じた状態で起立や座位が可能か」「目を開けて直線10mを歩けるか」が記されることになります。

なお知識のない医師の場合、「めまい症では障害年金を受給できない」と言い張り、診断書を書いてくれない人がいます。ただ、そうした患者側をまったく考えない無知な医師に通い続けるのは時間の無駄なので、患者側のことを考えてくれる医師へ素早く変更しましょう。

また平衡機能障害の場合、ほかの身体障害とは違って何か明確な検査結果が出るわけではありません。そのため、診断書に加えて病歴・就労状況等申立書で症状を詳細に記す必要があります。

厚生年金の加入者は受給できるケースがよくある

なお実際のところ、めまい症のみが症状で表れている人の場合、障害年金3級での受給が主流です。障害年金2級は稀です。

障害年金3級を受給するためには、初診日(めまいで初めて医療機関を受診した日)に厚生年金に加入している必要があります。言い換えると、初診日に会社員・公務員である人が対象になります。そのため初診日が学生や無職、自営業、主婦などの場合、他の障害を併発していない限り、めまい症のみで障害年金の受給は難しいです。

なお初診日に会社員・公務員の場合、障害年金3級だけでなく、障害手当金の対象にもなります。障害年金3級のように定期的なお金の受給はないものの、症状が軽い場合であっても、障害手当金として一度だけお金が支給されるのです。

障害手当金とはいっても、100万円以上のお金が支給されます。それなりに高額なお金であるため、平衡機能障害がある場合、障害手当金になっても問題ないので積極的に障害年金へ挑戦しましょう。

平衡機能障害は障害年金の対象

めまい症で障害年金を受給できるかどうか心配する人は多いです。ただ平衡機能障害については明確に認定基準が公表されており、めまいによって日常生活や労働が困難なのであれば誰でも障害年金を受け取ることができます。

多くは障害年金3級ですが、メニエール病や脳梗塞などでは他の身体障害を併発していることもあります。この場合、併合認定を検討しましょう。

なお重要なのが医師の診断書です。ここに記される内容が等級に大きな影響を与えます。また検査値が出る病気ではないため、病歴・就労状況等申立書に症状を詳細に記しましょう。

障害年金ではほとんどの病気が対象であり、これには平衡機能障害も含まれます。そこでメニエール病や脳血管障害を含め、めまい症で日常生活や労働が困難になっている場合は障害年金を活用しましょう。

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