それまで働いていたものの、身体障害や精神障害、難病などによっていま無職となっている人はたくさんいます。こうした人の場合、障害年金への申請が可能です。

障害年金は働いていても申請できるものの、無職の人(働ける状態でない人)のほうが有利です。障害者となり、働くことが困難で生活に困っているからこそ障害年金を積極的に活用しなければいけません。

なお障害年金へ申請するとき、個人事業主とサラリーマンでは支給内容が異なります。障害年金を利用する場合、初診日で判断することになりますが、これらの仕組みを事前に学ばなければいけません。また無職であっても、障害年金があれば生活に困らずに生きることも可能です。

それでは無職となってしまった人はどのように考えて障害年金を利用し、生活すればいいのでしょうか。働いていない人の障害年金の活用法を解説していきます。

無職は障害年金の審査に通過しやすい

障害が重い人であるほど、働くのが困難になります。そのため、障害年金では無職の人であると審査において有利です。

障害年金を受け取っている人で一般企業に働いている人は多いです。例えば身体障害者の場合、企業勤めは普通です。また精神障害者であっても、工場などでの単純作業であれば、障害年金2級を受け取りながら働いている人がいるのも事実です。

ただ身体障害者を除くと、障害年金2級以上で一般企業にてフルタイムで働いている人は非常に少ないのが現状です。

これは、障害年金を申請するときの医師の診断書を確認すればわかります。以下は精神障害者について、障害年金を申請するときの診断書の一部です。

アパートなどで一人暮らしをしていると仮定したとき、食事や清潔保持、金銭管理などを援助なしに行えるかどうかをチェックします。フルタイムで働いている人の場合、ほとんどで「できる」にチェックが入るため、障害年金2級以上の受給が難しいというわけです。

※身体障害者は他の基準になるため、フルタイム勤務で障害年金1級や2級を受給している人はたくさんいます。

このように考えると、いま十分に働けていないというのは、社会的活動が困難になっていることの証明になります。そのため、障害年金の受給に有利というわけです。

障害者手帳と障害年金の等級は異なる

このとき、障害者手帳と障害年金の等級はまったく異なると考えましょう。両者は違う制度であり、審査の基準も大きく異なるのです。

例えば、「身体障害者手帳3級の人が障害年金2級を得ている」などは普通です。障害年金では生活状況や複数の疾患(障害)を考慮することにより、等級が決定されます。また、身体障害者手帳は1〜6の等級があるのに対して、障害年金の等級は1〜3です。

なお、無職であれば障害年金に申請できるのではなく、あくまでも障害者であることが条件です。うつ病や統合失調症などの精神障害者でも問題ないので、何かしら障害をもつことが障害年金に申請するときの絶対条件です。

ちなみに、障害者であれば「過去に自己破産をした」「以前に犯罪歴がある」という場合であっても障害年金の申請が可能です。重要なのは、身体障害者や知的障害者、精神障害者、難病患者であるかどうかです。

障害者グループホームなどの公的サービスにて、賃貸を含め生活に困らない

なお無職の場合、たとえ障害年金を受給してもフルタイム勤務の人に比べると低収入であるため、生活困窮者であることには変わりありません。

このとき既婚者であり、配偶者がいるのであれば、配偶者が働けば問題ありません。親に頼れる人についても、実家暮らしを選択できます。

一方で頼れる人がおらず、独身で一人暮らしの場合、生活が破綻します。無職で賃貸契約は難しいですし、そもそも一般的な賃貸住宅を契約すると家賃が高くて生活できません。そのため一人暮らしの場合、通常は一般的な賃貸住宅ではなく、障害者グループホームなどの公的サービスを利用します。

障害者がシェアハウス形式で暮らせる施設が障害者グループホームです。無職(住民税の非課税世帯)の場合、障害福祉サービス料は無料です。また、自治体から家賃補助があるので家賃は無料または月1万円台が普通です。

そのため食費や水道光熱費、雑費などの必要最低限の支出となるため、結果的に無職であっても障害年金だけで生活できます。

むしろ、障害者グループホームで生活している人はほぼ無職がほとんどであり、一般企業ではなく作業所(就労継続支援)などで労働しているのが現状です。障害者であれば、障害年金や障害者グループホームにより、無職であっても問題なく生活できる仕組みが整っています。

初診日の時点が自営業と会社員では受給内容が異なる

それでは、無職の人が障害年金を受け取るときに何を考えればいいのでしょうか。まず、初診日の時点が国民年金(自営業など)だったのか、それとも厚生年金(会社員・公務員)だったのかによって受給内容が異なります。例えば糖尿病性腎症となった場合、糖尿病で初めて受診した医療機関の受診日が初診日です。

国民年金に比べて、厚生年金のほうが支払保険料は多くなり、その分だけ老齢年金が手厚くなるのは有名です。これは障害年金も同様であり、国民年金と厚生年金で以下の違いがあります。

  • 障害基礎年金:無職、学生、自営業、専業主婦など
  • 障害厚生年金:サラリーマン、公務員

障害基礎年金のみ受給できるのか、それとも障害厚生年金も受給できるのかについては、初診日で判断します。例えば、対象の障害を負って初めて病院・クリニックを受診した日(初診日)に国民年金に加入していた場合、障害基礎年金のみとなります。

また初診日に国民年金加入の場合、障害年金1級または2級が受給対象になります。一方で初診日に厚生年金に加入していた場合、障害年金3級や障害手当金も対象になります。

種類障害基礎年金障害厚生年金
障害年金1級
障害年金2級
障害年金3級
障害手当金

いまの状態(無職のため国民年金の加入者)で判断するのではなく、「障害を生じた初診日に国民年金なのか、厚生年金なのか」で判断するのです。無職であっても以前は会社員や公務員だった人は多く、この場合は障害厚生年金で判断します。

保険料の納付がないと支給の対象外

ただ無職で障害年金の申請が有利とはいっても、年金保険料を支払っていることが大前提になります。会社員や公務員の場合、強制的に厚生年金への加入であるため、特に問題ありません。一方で初診日のときに学生や自営業だった人の場合、保険料の納付状況が非常に重要になります。

たとえ障害年金1級や2級の要件を満たしていたとしても、初診日に年金保険料が未納状態の場合、障害年金を受け取る資格はありません。

重要なのは、「いま現在の状態が未納かどうかは関係ない」という事実です。いま現在の状態ではなく、初診日のときに年金保険料をきちんと納付していたかどうかが重要になるのです。

具体的には、初診日の前々月までについて、年金納付期間が3分の2以上であれば、年金保険料の納付要件を満たすことになります。ただ、そうでない場合は受給対象ではありません。

例外的に、子供のときに身体障害者や知的障害者、精神障害者、難病患者となってしまった場合、何をどうやっても年金保険料を支払うことはできません。ただ20歳前が初診日なのであれば、それまでに年金保険料を支払っていなくても障害年金の受給対象になります。

ただこうした20歳前に初診日がある人を除くと、初診日に年金保険料を支払っていない人は無職の障害者であっても障害年金の対象外になるのです。

無職の障害者であれば障害年金の受給を申請するべき

すべての障害者について、障害年金を受給できる権利があります。特に無職の場合は障害年金の審査で有利になりやすいため、積極的に障害年金へ申請しましょう。

障害者手帳と障害年金はまったく異なる制度です。そのため、障害者手帳の等級が低くても障害年金を受け取っている人はたくさんいます。ただ初診日に加入していた年金の種類が国民年金なのか、それとも厚生年金なのかによって受け取れる障害年金の種類が異なります。

なお無職の場合、たとえ障害年金を受け取っても生活困窮者となります。そのため一人暮らしなのであれば、賃貸住宅ではなく障害者グループホームなどの公的サービスも視野に入れましょう。

障害者だと働くのが困難であり、無職となっているのは普通です。この場合、公的サービスを積極的に活用するといいです。そのための一つの仕組みが障害年金であり、無職の障害者は素早く障害年金の申請をしましょう。

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