障害者グループホーム(共同生活援助)の運営をするとき、同一敷地内や隣接地を活用して他の棟を運営することがあります。
このとき、同一敷地内・隣接地にて複数の障害者グループホームを活用し、運営するのは一般的です。ただ、この場合は減算に注意しなければいけません。また、共同生活援助に加えて他の障害福祉サービスの事業所を開設することもできます。
それでは、障害者グループホームが存在する敷地内について、他の事業所をオープンするにはどう考えればいいのでしょうか。同一敷地内・隣接地での障害福祉サービスについて解説していきます。
もくじ
同一敷地内・隣接地で複数棟の開設は一般的
ある程度の面積がある場合、賃貸でも自前でも複数棟の利用を考えるのは普通です。同一敷地内や隣接地にて、土地や建物がある場合、障害者グループホームを運営すると効率的です。
同じ敷地内や隣接地であれば、建物間で介護スタッフの行き気がスムーズです。共同生活援助で複数の棟がある場合、近場とはいっても距離が離れているケースは多く、場所が近いと便利です。
利便性の観点から、同じ敷地内や隣接地で障害者グループホームを複数運営するメリットは大きいです。賃貸でも自前の不動産でも、近くで運営すれば職員にとって移動が少なくなって利用者を支援しやすくなります。
条件を満たすと大規模住居等減算の対象
ただ同一敷地内・隣接地で共同生活援助を複数経営する場合、条件を満たすと減算の対象になります。具体的には、大規模住居等減算が適用されます。
一般的な障害者グループホームでは、少人数にて障害者が共同生活を送ります。規模の大きい施設ではなく、家庭的な雰囲気の中で手厚い支援を得られるのが障害者グループホームです。
ただ同一敷地内や隣接地にて複数の棟を運営し、利用者が多いとなると、障害者支援施設(入所施設)との違いがあいまいになります。そのため、利用者の数が多い場合は大規模住居等減算の対象になるというわけです。
大規模住居等減算には以下の内容があります。
- 一体的運営の施設の利用定員21名以上:対象施設の5%減算
同一敷地内(近接地含む)に施設が存在し、世話人・生活支援員の勤務体制が住居ごとに区別されていないケースが「一体的運営の施設」に該当します。
同一敷地内・隣接地で他の障害福祉サービスを行う
なお場合によっては、同一敷地内・隣接地で他の障害福祉サービスを行いたいと考えるケースもあります。日中活動系の障害福祉サービスを共同生活援助とは別に運営するのです。
障害者グループホームに入居している人では、就労継続支援B型の利用者が多いです。これが重度向けの障害者グループホームでは、生活介護の利用者が多くなるかもしれません。
既に障害者が入居している場合、他の日中活動系の障害福祉サービスを実施すれば、利用者を集めやすいです。また同一敷地内に日中活動先があるため、障害者は通いやすいです。そのため、同じ施設に他の障害福祉サービスをオープンしても問題ありません。
他の障害福祉サービスを開始する条件
ただ同じ敷地内や隣接地に他の障害福祉サービスを開設するとなると、入所施設との区別があいまいになります。そこで共同生活援助に加えて、同じ敷地内で他の障害福祉サービスを開設する場合、以下の要件が必要になります(自治体によって詳細は異なる)。
- それぞれの施設で設備(居間、食堂、浴室など)を共有していない
- 同じ建物の場合、出入り口が分かれており、機能的に独立している
- 同一敷地内の事業所だけでなく、周辺の事業所を含めて利用の選択肢を提示する
当然ながら、利用者に対して併設事業所で行われている日中活動の強要をしてはいけません。また、従業員の勤務体制をそれぞれで確保し、兼務する場合は事業所ごとに勤務関係を明確にする必要があります。
なお実際には、自治体ごとに内容が異なります。そこで、共同生活援助のほかに障害福祉サービスを同一敷地内に開業する場合、事前に詳細を確認しましょう。
同じ敷地で複数の障害福祉サービスを提供する
障害者グループホーム(共同生活援助)は一つの棟だけで利益を出すのが厳しいです。そのため複数棟の運営が基本であり、このときは同一敷地内や隣接地であっても障害者グループホームを運営して問題ありません。
ただ同じ敷地内に障害者グループホームがある場合、障害者支援施設と同じように規模の大きい施設と見なせます。そのため利用者が多く、条件を満たす場合は大規模住居等減算となります。
また他の日中活動系サービスを開設する場合、可能ですが特定の条件があります。そこでその他の障害福祉サービスを同じ敷地内で開始する場合、共同生活援助と明確に分け、自治体と相談しながら開業しましょう。
同一敷地内・隣接地であると、職員にとって移動が少なく便利です。そこで注意点を理解して、同じ敷地内で障害福祉サービスを提供しましょう。