短期入所(ショートステイ)を利用することで、障害者は施設に数日(または数十日)の滞在が可能になります。このとき、障害者で服薬が必要な人は多いです。特に精神障害者の場合、ほとんどの人で薬を飲まなければいけません。

そうしたとき、薬の管理は施設側で行われます。そのため、短期入所をするときは必要な分の薬を持参しなければいけません。

また長期の短期入所をする場合、障害者によっては医療機関の受診を考える必要があります。薬を処方してもらい、薬局で受け取りをするには、医療機関へ出向かなければいけません。

それでは障害者が短期入所(ショートステイ)を利用するとき、どのように医薬品を考えればいいのでしょうか。ショートステイ中での薬の管理について解説していきます。

薬の管理を多くの障害者で行えない

難病患者を除き、身体障害者や知的障害者で日々の服薬が必要ないのは普通です。それに対して、精神障害者では日々の服薬が必要になります。例えば以下の精神疾患では服薬が必要です。

  • 統合失調症
  • うつ病・双極性障害
  • 発達障害
  • パニック障害
  • てんかん

他にも精神疾患は種類があり、それぞれ重症度が異なります。ただこれらの精神障害者について、服薬管理をするにしても、自ら適切に服薬できない人は多いです。

施設側が一包化の薬を管理する

そこで、障害者施設へ入居するときは施設側が薬の管理をします。多くは一包化(一回の服用ごとに薬がまとめられた状態)となっており、薬局の薬剤師が既に一包化をしてくれています。こうした薬を施設側が管理するのです。

短期入所の施設には、お薬カレンダーが必ず存在します。以下のように、利用者(障害者)ごとにお薬カレンダーが設置されています。

このように一包化された薬が曜日ごとに配置されます。お薬カレンダーへの配置は介護スタッフが行うため、障害者が管理する必要はありません。こうして、短期入所の利用中であっても障害者は問題なく服薬できるようになります。

必要な日数分を短期入所のときに持参する

そのため障害者が短期入所(ショートステイ)をするとき、滞在日数に合わせて必要な分の薬を持参しましょう。処方された薬について、薬局の薬剤師が既に一包化しているはずなので、そうした薬をもってショートステイ先へ出向くのです。

家族が薬の管理をしている場合、短期入所で持参するべき薬の管理を自宅では家族が行っています。一方で障害者について、頼れる家族がおらず、どれだけの量の薬を持っていけばいいのかわからない人もいます。

この場合、いま手元にある薬をすべて持参すれば問題ありません。そうすれば、ショートステイ先の介護スタッフがすべて薬の管理をしてくれるようになります。

障害者が適切に服用できるように手助けするのも介護スタッフの仕事です。そのため薬の管理をいまできていなくても問題なく、すべての薬をショートステイ先へ持参すればいいです。

薬の処方や薬局での受け取りは滞在日数が長い人で考慮する

なおショートステイ先から医療機関へ出向くのは、滞在日数が短いのであれば行う必要がありません。短期入所をしている間ではなく、自宅にいるときに医療機関へ出向けばいいからです。

ショートステイの利用中に薬が足りなくなった場合、自ら医療機関へ出向いて薬を処方してもらい、薬局で受け取る必要があります。ただ、短期入所中に外出支援サービス(同行援護・行動援護・移動支援)を利用することは基本的にできません。

そのため、薬の受け取りはショートステイを利用していないときに行う必要があります。自宅にいるのであれば、たとえ家族による支援がなくても、外出支援サービスを用いて医療機関へ出向くことができます。

・滞在日数が長い場合は医療機関の受診を考える

ただショートステイを利用している障害者の中には、月25~30日など長い期間を障害者施設に滞在している人もいます。こうした人の場合、短期入所を利用しているときに薬がなくなってしまい、新たに薬を処方してもらわなければいけなくなるかもしれません。

この場合、仕方ないので「ショートステイの利用中に医療機関へ出向き、薬の処方や薬局での受け取りを行えないか」と考えましょう。

医療機関への送迎は施設によって異なる

前述の通り、いくつかの例外を除いて、ショートステイの利用中に外出支援サービスを利用できないことは多いです。そのため、医療機関へ出向くには自力で行わなければいけません。

このとき、最もわかりやすい方法は「ショートステイ先にお願いして送迎してもらう」という方法です。短期入所で送迎サービスを実施していることはよくあり、こうした施設であれば、お願いすれば医療機関への送迎も可能です。

参考までに、以下は障害者施設が保有する車を利用して障害者を送迎しているときの様子です。

施設によって送迎の利用料金は異なります。ただ、短期入所先で送迎を利用できるのであれば、ショートステイ中に問題なく医療機関へ行けるようになります。

なおショートステイ先が送迎サービスを実施しておらず、さらには障害者自身による通院も難しい場合、家族が対応しなければいけません。もし家族の対応もできない場合、送迎サービスを利用できる他のショートステイ先を活用するなど、入居先を変える必要があります。

または、施設や家族による送迎ができず、さらには医療機関の受診が必要な場合、例外的に移動支援を用いて受診できることがあります。この場合、事前に役所で移動支援の申請をしておかなければいけません。

重症心身障害者の場合は医療型ショートステイ

ちなみに障害者の中でも、ほとんどすべての日常生活で介助が必要な重症心身障害者を含めて、常に医療的ケアが必要な人もいます。難病患者についても、日々の医療的ケアが重要になります。

こうした障害者の場合、医療型ショートステイを利用するのは一つの方法です。数は少ないものの、医療機関などに併設されたショートステイを活用することにより、たとえひんぱんな医療が必要であっても短期入所を利用できるのです。

医療型ショートステイであれば、同じ施設内で薬の処方が可能です。通常は通院が必要であるものの、そうした心配をする必要はありません。

本当の意味で最重度の障害者でなければ医療型ショートステイを利用できないケースが多いです。ただ、重症心身障害者や難病患者などで医療が必要な場合、一般的な障害者施設でのショートステイではなく、医療型ショートステイを考えても問題ありません。

短期入所で薬の管理をしてもらう

持病をもつ人を除いて、身体障害者や知的障害者で多くの人は服薬が不要です。一方で精神疾患を抱えている障害者の場合、毎日の服薬が必要になります。

ただ、障害者が自ら薬の管理をするのは困難なケースが多いです。その場合、短期入所の利用中は介護スタッフに薬の管理をしてもらいましょう。介護士が一包化の薬をお薬カレンダーにセットしてくれるため、必要なタイミングで服薬を手助けしてくれます。

また長期でショートステイを利用する場合、医療機関の受診をどうすればいいのか考えましょう。もし送迎サービスを利用できない場合、他のショートステイ先を検討する必要があります。または、移動支援の利用を検討します。

薬の服用が必要な障害者であれば、ショートステイでの薬の管理が必須です。そこで、どのように薬の管理をすればいいのか理解して短期入所を活用しましょう。

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