障害者ではないものの、その境界にいる人として境界知能や発達障害グレーゾーンがあります。こうした人の場合、障害者手帳を保有していればいいですが、障害者手帳を持っていないこともよくあります。

ただ、境界知能であり知的障害者でなくても、また発達障害グレーゾーンでこれまで診断名が付かなかったとしても、障害者グループホームへ入居できる可能性はあります。

障害者グループホームを利用するとき、障害者手帳とはまったく別の指標を利用します。このとき、障害が最も軽度の部類であったとしても障害者グループホームでは受け入れ可能です。

それでは境界知能や発達障害グレーゾーンについて、どのように考えて障害者グループホームを利用すればいいのでしょうか。障害者と健常者の間に位置する人について、障害者グループホームの活用法を解説していきます。

障害者手帳がなくても障害福祉サービスを利用可能

障害者向けの公的サービスはいくつかあり、障害者手帳や障害福祉サービスは障害者のみが利用できるサービスに該当します。

重要なのは、障害者手帳と障害福祉サービスはまったく別の制度という事実です。そのため、障害者手帳を保有していなくても、障害福祉サービスの一つである障害者グループホーム(共同生活援助)を利用するのは問題ありません。

シェアハウス形式にて、障害者が共同生活を送る施設が障害者グループホームです。

障害者グループホームは格安で利用できます。そのため、重要の障害者であっても問題なく生活できるようになっています。

障害支援区分は区分1以上であればいい

ただ障害者グループホームを利用するとき、障害支援区分の取得が必要になります。厳密には区分なしでも障害者グループホームを利用できるものの、区分なしでは利用料が非常に高額になります。そのため特別な理由がない限り、事前に障害支援区分を申請します。

障害支援区分には1~6まであり、数字が大きいほど重度を表します。

障害者グループホームへ入居するとき、区分1以上であればいいです。つまり知的障害者や精神障害者としていま認められておらず、症状が非常に軽度であっても、区分1以上を取得できれば障害者グループホームを利用できます。

協力してくれる医師を見つけるのが先決

このとき、障害支援区分を得るときに医師に依頼して意見書(診断書)の作成を依頼しなければいけません。以下のような書類に記載してもらうのです。

このとき、医師によって「どれだけ協力してくれるか」が異なります。医師によっては、精神障害によって生活に明らかに困っていても、診断書の作成を拒否したり、現状よりも軽い症状を記載したりする人もいます。

また実際のところ、境界知能の人でADHDやアスペルガーなどの発達障害を有しているのは普通ですし、発達障害グレーゾーンであっても時期によって症状が強くなったり弱くなったりします。そのため、いま診断名がないだけであり、実際には診断名が付く人はたくさんいます。

さらに、障害支援区分を得るための意見書では日常生活や社会生活で困っていることを記してもらうことが重要になります。例えば部屋の片づけができずゴミ屋敷になっていたり、対人関係問題やミスの連発によって仕事がうまくいかなかったりする場合、これらを記載してもらうといいです。

「食事・洗濯・掃除・片付けのうち、どれかを家族の助けなしには行えない」「一人では睡眠起床など生活リズムを整えられない」という場合、たとえ障害者手帳がなくても障害支援区分を得られるのは普通です。

障害支援区分の取得で役所からの聞き取り調査がある

医師の意見書に加えて、障害支援区分の取得では調査員による聞き取り調査があります。境界知能や発達障害グレーゾーンの場合、本人が対応することになりますが、本人が住んでいる自宅に役所の調査員が出向いて聞き取り調査が行われます。

このときは面談によって1時間ほど調査員と会話をすることになります。内容としては、日常生活でどのような点に困っているのか会話の中で調査されることになります。

境界知能や発達障害グレーゾーンで一般企業にてフルタイム勤務をしている人であっても、例えば部屋がゴミ屋敷であるため、健康的な生活を送れていない人はいます。これは一例になりますが、こうした内容を聞き取り調査によって明らかにすると考えましょう。

いずれにしても、障害支援区分の取得で重要なのは療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の保有ではなく、日常生活で支障が表れているかどうかになります。

受給者証を受け取り、利用する共同生活援助の施設を見つける

こうして障害支援区分を取得したら、次に障害福祉サービス受給者証を発行してもらいましょう。受給者証がなければ、障害福祉サービスを利用することができません。以下の書類が障害福祉サービス受給者証になります。

上記の受給者証には区分とサービス名が記されています。障害者グループホーム(共同生活援助)が記された受給者証を得ることにより、ようやく障害者グループホームの利用が可能になります。

少なくとも、障害支援区分を取得しないと障害者グループホームの利用が難しくなります。そこで境界知能や発達障害グレーゾーンで障害者グループホームの利用を考えている場合、まずは区分の取得を考えましょう。その後、障害支援区分を得ることができたら受給者証を発行してもらうのです。

また障害支援区分や障害福祉サービス受給者証を得たら、実際に利用する障害者グループホーム(共同生活援助)を探すといいです。

就労支援を活用して賃金を得る

なお境界知能や発達障害グレーゾーンの場合、通常は普通の仕事をすることになります。ただ知的障害者・精神障害者と健常者の中間にいるため、健常者に比べると、どうしても働きにくくなってしまいます。

そうしたとき知的障害者やADHD・アスペルガーなどの診断名がなく、境界知能や発達障害グレーゾーンであっても障害者向けの就労支援を活用するのは問題ありません。

障害者グループホームへ入居する場合、一緒に共同生活を送る人たちは障害者ばかりになります。通常、障害者は働けなくても障害年金を利用することで障害者グループホームでの生活費を支払えます。

ただ境界知能や発達障害グレーゾーンの場合、障害年金を得られるほどの重症度ではありません。そのため生活費を自分で稼ぐ必要があります。そこで一般企業にて単純作業の仕事をしてもいいですし、障害者向けの就労サービス(就労継続支援A型など)を利用してもいいです。

障害年金の対象外であるため、どうしても就労によってお金を得なければいけません。そこで障害者グループホームへの入居と同時に、仕事による賃金についても考えましょう。

障害者手帳なしでもグループホームを利用できる

医師による診断名が確定し、障害者手帳を保有している人を一般的に障害者といいます。日常生活に不自由を感じていても、障害者手帳がない場合、障害者とは異なります。

ただ中には、境界知能や発達障害グレーゾーンなどのように、障害者寄りの人がいます。この場合、現状では明確な診断名がなかったとしても、「片付けやそうじができない」「睡眠起床のリズムが乱れている」などの場合、障害福祉サービスを利用できます。

完全に健常者と同等の生活を送っている場合は利用が難しいものの、そうでないのであれば障害支援区分を得ることにより、障害者グループホームへ入居できるのです。

格安で住める場所が障害者グループホームです。そこで働くことで賃金を得ることまで見据えて、障害者グループホームを活用しましょう。

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家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。

障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。

ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。

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