障害者が利用できる施設に入所施設(障害者支援施設)があります。障害者が入所施設に住む場合、必ずしもずっと住み続けられるわけではありません。人によっては強制退去・契約解除になることがあります。

基本的には、障害者支援施設の利用によって親亡き後問題を解決できます。ただ、障害者自身に何かしらの問題があったり、長期入院が必要だったりする場合、退去になることは理解しなければいけません。

この場合、障害者(または親族)が次の入居先を探すことになります。そこで、できるだけ早く別の入居先を見つけなければいけません。

それでは、入所施設(障害者支援施設)で強制退去・契約解除になってしまう退所理由やその後の対処法としては何があるのでしょうか。退去になってしまった場合の対処法を解説していきます。

利用者が強制退去・契約解除はよくある

一度入居すれば、65歳以上になっても問題なく住み続けられる施設に入所施設(障害者支援施設)があります。重度障害者向けの施設であり、常に介護が必要となる障害者が利用対象者です。

ただ、場合によっては強制退去の対象になります。代表例としては以下があります。

  • 他害・暴力などの迷惑行為
  • 利用料の滞納
  • 3か月以上の長期入院

それぞれの内容について確認しましょう。

他害・暴力・迷惑行為で強制退去はよくある

知的障害者や精神障害者の場合、感情を抑えることができず、爆発してしまうことがあります。中には、他人に対して危害を加えたり物損したりすることがあります。例えば以下は、障害者施設で利用者が暴れた後の様子です。

他害・暴力がある場合、当然ながらスタッフや他の利用者が危険です。また物損があると、弁償が発生しますし、他の利用者が数日間は施設を十分に利用できなくなります。

こうなると、他害によって強制退去となります。どれだけ暴れると契約解除になるのかは施設によって判断基準が異なります。ただいずれにしても、他害・暴力があると強制退去の対象になりやすいです。

利用料の滞納で退去勧告がある

他には、利用料の滞納も障害者施設の強制退去の理由になりやすいです。住民税の非課税世帯や生活保護の場合、サービス料は無料です。そのため、サービス料支払いについて悩む必要はありません。

ただ、食費・水道光熱費の支払いが必要になります。このとき低所得の障害者では、国から補足給付として補助金が支払われます。そのため、障害基礎年金のみが収入でまったく働けなくても、すべての重度障害者で入所施設利用に必要なお金を支払えるような仕組みになっています。

そうはいっても、施設側に食費・水道光熱費を支払わなければいけない事実は変わりません。また、その他の日用品・雑費の支払いも必要になります。

こうした費用の支払いを滞納している場合、強制退去になります。入所施設(障害者支援施設)はほぼ満室であり、空きがない状況です。その場合、きちんと費用を支払いしてくれる人を受け入れたいと考えるのは普通です。こうして、契約解除となるのです。

3か月以上の長期入院で契約解除になる

なお障害者自身に大きな問題がなくても、契約解除になるケースがあります。メインとなる退所理由としては、長期入院があります。

身体障害者や知的障害者、精神障害者、難病患者で長期入院になる場合があります。入所施設(障害者支援施設)からすると、いつ障害者が病院から退院して戻ってくるのかわかりません。一方で入所施設に入りたい人は多く、施設の空きはほとんどありません。

そのため施設側では、いつ戻ってくるかわからない障害者のために無駄に部屋を空けておくよりも、いますぐ入居したい重度障害者を受け入れるほうが優れています。そのため、長期入院は契約解除の理由になります。

このとき、一般的には3か月以上の入院によって強制退去になります。どれだけの期間、長期入院になると強制退去になるのかは障害者支援施設によって異なります。ただいずれにしても、入院によって契約解除になる場合があります。

65歳以上は死亡が一番の退所理由

ちなみに強制退去とは異なりますが、仕方ない理由によって契約解除になるケースがあります。65歳以上の入居者の場合、一番多い退所理由が死亡です。

65歳以上の退所理由について、半分ほどの理由が死亡です。また、もう半分の人は他の施設への移行になります。他の施設としては、例えば以下があります。

  • 一般病院
  • 精神科病院
  • 老人施設(老人ホーム)
  • 入所施設(障害者支援施設)
  • 障害者グループホーム
  • 家庭

必要であればこうした施設へ移行することになりますが、中には死亡によって契約解除になるケースもあるのです。

契約書は絶対であり、90日以内に次の入居先を見つける

なお入所施設(障害者支援施設)を利用するとき、すべての利用者で施設側と入居に関する契約を締結することになります。このとき契約書に記されている内容は絶対であり、必ず守らなければいけません。

契約書には退去事項についても記されています。つまり、他害・暴力行為やお金の支払滞納、3か月以上の長期入院など、どのような場合に強制退去となるのか明確に記載されており、契約した以上は必ずこの内容に従わなければいけません。

ただ強制退去を告げられたとしても、すぐに退去となるわけではありません。一般的には、90日の猶予期間が設けられることになります。この間に次の入居先(実家、障害者グループホーム、入所施設など)を見つけなければいけません。

入院での契約解除であれば、ひとまず生活する場所は病院となるので大きな問題とはなりません。一方で入院ではない理由で強制退去となった場合、できるだけ早く次の入居先を見つける必要があります。

他の自治体や障害者グループホームまで見据える

このとき、できるだけ素早く入居先を見つけるため、他の自治体まで含めて障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)を探しましょう。

最もダメなのは、住む地域を限定してしまうことです。障害者グループホームも入所施設も空きが少なく、必ずしもいますぐ入れるわけではありません。そのため、いま住んでいる都道府県以外まで視野に入れて入居先を探すのは必須です。

ただその他のエリアまで含めれば、意外と空きは見つかります。特に障害者グループホームは軽度から重度まで、すべての障害者に対応しており、入所施設に比べて数も多いです。

契約解除になってしまった場合、仕方ないので可能な限り素早く他の施設を見つけなければいけません。そこで、「他エリアの障害者グループホームでも問題ない」と考えて選択肢を広げましょう。

入居先を見つけたら引越しを行う

なお実際に障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)の候補が見つかった場合、見学や体験入居をするのが一般的です。実際にどのような施設なのか確認しなければ雰囲気がわかりませんし、スタッフや入居者の様子も理解できません。

そうして体験入居をした後、問題なければ引越しとなります。入所施設(障害者支援施設)を利用している場合、荷物は少ないはずです。そのため洋服や日用品などを入れるダンボールを用意して準備し、それを新たな施設に送れば問題ありません。

そのため引越し業者に依頼する必要はなく、高額な引越し費用は不要です。新たに障害者グループホームや入所施設に入る場合についても、一般的な賃貸マンションのように高額な敷金・礼金はありません。そのため、低所得者であっても引越しで困ることは少ないです。

なお以下は障害者グループホームの一室ですが、ベッドやテレビ、エアコンを含めて必要な物はすべて既にそろっている状態です。そのため、ダンボールに詰めた洋服や日用品を持ち込んで引越しを完了させればいいです。

このような簡単な引越し作業があることを理解して、退去が必要になった障害者は入居先を見つけたうえで、引越し準備を進めるといいです。

入所施設の退所理由を知り、対応法を学ぶ

重度障害者で入所施設(障害者支援施設)を利用すれば、ずっと住み続けることができます。ただ場合によっては契約解除となるため、この場合は次の施設を探さなければいけません。

特別な理由がない限り、強制退去になることはありません。ただ他害・暴力があったり、滞納があったりすると契約解除の理由となります。また長期入院など、仕方ない退所理由の人もいます。これが65歳以上の高齢者では、死亡がメインの退所理由となります。

なお契約解除となった場合、仕方ないので素早く次の障害者グループホームや入所施設を探しましょう。このとき、他の自治体まで視野に入れると選択肢が広がります。

障害者によっては、障害者支援施設を退所しなければいけないケースがあります。そこで退所理由を知り、実際に契約解除になった場合は素早く引越しできる準備を進めるといいです。

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家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。

障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。

ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。

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