通常、老齢年金は65歳からの受給になります。ただ希望すれば、60歳になった段階で老齢年金の受給が可能です。これを繰り上げ受給といいます。
早くから老齢年金を受給できるのはメリットです。ただ、老齢年金の繰り上げ受給について、障害年金の面ではデメリットばかりとなります。老齢年金の繰り上げ受給により、原則として障害年金の受給ができなくなります。
ただ場合によっては、老齢年金の繰り上げ受給をしたとしても障害年金の受給が可能です。どのようなとき、繰り上げ受給後に障害年金の利用ができるのでしょうか。
ある程度の高齢になって病気を発症し、障害者になる人は多いです。そうしたとき、どのように障害年金を活用すればいいのか解説していきます。
もくじ
原則、繰り上げ受給後は障害年金を利用できない
老齢基礎年金の繰り上げ受給について調べると、多くのケースで「老齢年金の繰り上げ受給後は障害年金を利用できない」と出てきます。
障害年金を受給するためには、65歳より前に初診日がなければいけません。対象の傷病で初めて医療機関を受診した日が初診日です。障害年金というのは、老齢年金を利用できない人について、障害者に対して年金としてお金を支払う制度です。つまり、老齢年金を受け取れない障害者に対して障害年金が存在します。
ただ繰り上げ受給をすることで65歳よりも前に老齢年金を受け取っている場合、既に老齢年金を利用しているため、障害年金は不要と判断されます。
繰り上げ受給によって「老齢年金の受取額が減る」などは有名なデメリットです。ただ、他にも繰り上げ受給には「障害年金の受給が原則不可」というデメリットもあるのです。
老齢年金に比べて、障害年金のほうが有利になりやすいです。例えば老齢基礎年金と障害基礎年金を比べると、障害基礎年金のほうが額は大きくなります。障害年金受給の視点では、老齢年金の繰り上げ受給はデメリットばかりです。
障害年金の事後重症請求はできなくなる
また繰り上げ受給により、障害年金の事後重症請求はできなくなります。初診日から1年6か月後の時点を障害認定日といいます。障害認定日から障害年金へ申請できます。
ただ病気によっては症状が徐々に進行していくため、障害認定日の時点で「障害年金へ申請できるほどの重症度ではない」という人もいます。この場合、後になって症状悪化した段階で障害年金へ申請します。これを事後重症請求といいます。
65歳になる前であれば事後重症請求が可能です。ただ繰り上げ受給によって早めに老齢年金を受給すると、その時点から事後重症請求を行えなくなります。
そのため、既に何らかの病気を抱えている人にとって、老齢年金の繰り上げ受給をするとデメリットの側面が強く出やすいです。
繰り上げ後でも障害年金を利用できるケース
それでは、老齢基礎年金の繰り上げ後であっても障害年金を利用できるケースとしては何があるのでしょうか。これについて、以下のケースが挙げられます。
- 初診日と障害認定日が繰り上げ請求前にある
- 初診日が繰り上げ請求前であり、初診日に国民年金・厚生年金へ加入している
- 繰り上げ請求後だが、初診日に厚生年金へ加入している
事後重症請求については、前述の通り利用できません。一方、特定条件での認定日請求であれば障害年金を利用可能です。それぞれについて確認していきましょう。
初診日と障害認定日が繰り上げ請求前にある
繰り上げ受給後に60歳以上で障害年金を受給するためには、初診日までの3分の2の期間について保険料納付があればいいです。つまり病気やケガをして障害者になったとき、初診日の時点で国民年金保険料や厚生年金保険料を必ずしも納めている必要はありません(60歳以上は国民年金に任意加入のため)。
こうしたとき納付要件を満たしていて、以下の状況であれば、たとえ繰り上げ後であっても障害年金を利用できます。
- 初診日と障害認定日の両方が老齢年金の繰り上げ前にある
障害認定日で障害年金を請求できるほどの重度である場合、障害認定日を利用して障害年金の申請をします。これを認定日請求といいます。初診日と障害認定日の両方とも繰り上げ受給の前にある場合、認定日請求によって障害年金の受給が可能です。
初診日が繰り上げ請求前であり、国民年金・厚生年金に初診日で加入している
それでは、初診日は繰り上げ受給時よりも前であるものの、障害認定日が繰り上げ請求時よりも後の場合はどのように考えればいいのでしょうか。
このケースについて、初診日に国民年金・厚生年金へ加入している場合に障害年金の請求が可能です。
認定日請求をするという意味では、先ほど記した事例と同じです。ただ「障害認定日が繰り上げ請求時よりも後にある」という場合、納付要件を満たしていることに加えて、初診日に国民年金保険料や厚生年金保険料を納付している必要があるのです。
一方で「初診日が繰り上げ受給時よりも前であるものの、障害認定日が繰り上げ受給時よりも後にあり、初診日に国民保険料・厚生年金保険料を納付していない」という場合、障害年金の請求はできません。
繰り上げ請求後だが、初診日に厚生年金保険の加入者
それでは老齢年金の繰り上げ受給後であれば、どのような場合であっても障害年金の受給は無理なのでしょうか。これについて、初診日に会社員・公務員であり、厚生年金保険に加入している場合は繰り上げ受給後であっても障害年金へ申請できます。
自営業や主婦、無職などの場合、老齢年金の繰り上げ受給後は国民年金への任意加入ができなくなります。また、繰り上げ受給後に内容を変更することはできません。
一方で会社員・公務員の場合は社会保険料を納付することになります。言い換えると、厚生年金保険料を納付しています。そのため繰り上げ受給後であっても、初診日に会社員・公務員の場合は例外的に障害年金の受給が可能になります。
そのため65歳まで会社員・公務員として働く場合、前述の通り事後重症請求はできなくなるものの、認定日請求は可能なので繰り上げ受給のデメリットの多くが解消されます。
繰り上げ受給での障害年金に対するデメリットを理解する
老齢年金の繰り上げ受給を選択する人が一定数います。こうした繰り上げ受給について、デメリットがいくつか存在します。
デメリットの一つが障害年金に対する影響です。原則として、老齢年金を受給している人は障害年金の申請を行うことができません。
ただ特定条件では、老齢年金の繰り上げ受給をしている人であっても、障害年金に対して申請可能です。そこで繰り上げ受給後に障害年金への申請を検討している場合、条件に当てはまっているかどうか事前に確認しましょう。
本来、老齢年金を受け取っていない障害者のための制度が障害年金です。そこである程度の高齢になって障害年金を受給したい場合、こうしたルールを理解しておきましょう。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
そこで、当サイトでは完全無料で障害者グループホームを紹介するサービスを日本全国にて実施しています。「いますぐ入居したい」「いまの障害者グループホームから他の施設へ移りたい」「強制退去となり、新たな施設を探している」など、軽度から重度の障害者を含めてあらゆる方に対応しています。