呼吸器疾患を患っている人はたくさんいます。こうした人の中で軽症なら問題ないですが、中には重症の人もいます。

気管支喘息や慢性呼吸不全、肺腫瘍、慢性気管支炎、間質性肺炎など、人によって病名は異なります。ただ喘息であっても、発作によって日常生活が厳しくなっている場合、障害年金の申請が可能です。

なお呼吸不全について、障害年金の認定基準があります。そのため、基準を満たしておかなければいけません。また喘息や在宅酸素療法は他に規定が存在するため、こうした認定基準を確認することで障害年金を申請する必要があります。

それでは、どのように喘息・呼吸器疾患で障害年金を受給すればいいのでしょうか。呼吸不全で障害年金を得るときの考え方を解説していきます。

呼吸不全による障害年金の受給は可能

一般的には、喘息などの症状は障害年金の受給が難しいといわれています。ただ喘息で障害年金を受給している人は何人もいます。気管支喘息や慢性呼吸不全、肺腫瘍、慢性気管支炎、間質性肺炎を含め、呼吸不全や発作によって日常生活に支障が出ている場合、問題なく障害年金へ申請できるのです。

なお障害年金である以上、障害者でなければいけません。身体障害者手帳と障害年金はまったく別の制度であるため、必ずしも障害者手帳を保有する必要はありません。ただ、障害年金の認定基準を満たす必要があります。

呼吸疾患によって「すぐに息苦しくなり、ベッドで横になる必要がある」「発作によって動けなくなる」などの症状がある場合、明らかに生活に支障があるため、障害年金を受け取れる可能性があります。

呼吸不全による障害年金の認定基準

それでは、呼吸不全による障害年金の認定基準はどのようになっているのでしょうか。呼吸疾患による障害の程度を見極めるため、以下の表により、まずは障害の重症度を確認します。

検査項目軽度異常中等度異常高度異常
動脈血O2分圧(Torr)70~6160~5655以下
動脈血CO2分圧(Torr)46~5051~5960以上
予測肺活量1秒率(%)40~3130~2120以下

この表によって重症度を把握した後、以下の認定基準に照らし合わせます。

等級異常の状態一般状態
1級高度異常ほぼ寝たきりの状態
2級中等度異常歩行や身の回りは可能だが介助が必要であり、軽労働は不可
3級軽度異常軽作業や座った作業(軽い家事や事務など)は可能

このように、検査値での重症度と日常生活での状態が障害年金の等級で重要になります。

喘息や在宅酸素療法での認定基準を確認する

一方で慢性気管支喘息については、薬物治療の状況や喘息発作の内容が障害年金の等級で重要になります。喘息の認定基準は以下のようになっています。

等級一般状態
1級無症状の期間がなく、ほぼ寝たきりの高度異常の状態
2級呼吸困難が常にあり、酸素療法が必要であり、歩行はできるが軽労働は不可
3級週1回以上の呼吸困難があり、軽作業(軽い家事や事務など)は可能

喘息患者の場合、無症状の期間がなく常に大発作の人は稀であるため、障害年金では2~3級となる人が多いです。

障害年金2級の場合、「プレドニゾロンに換算して1日10mg以上の連用、または5mg以上の連用と吸入ステロイド高用量の連用」を必要とする人であり、さらには常に呼吸困難の状態にある人が該当します。

一方で障害年金3級については、常に呼吸困難があるわけではないものの、発作によって日常生活に支障がある人となります。薬物治療としては、吸入ステロイド中用量以上&長期管理薬を追加薬として2剤以上の連用が必要であり、さらに短時間作用性吸入β2刺激薬頓用を少なくとも週に1回以上必要とする人となります。

・在宅酸素療法での3級の認定基準

ちなみに在宅酸素療法を実施している人については、以下の認定基準があります。

  • 3級:常時(24時間)の在宅酸素療法を施行中であり、中度・重度の労働に支障がある

なお、より症状が重い場合は障害年金1級や2級となります。

医師の診断書へ症状を記載してもらう

これら呼吸器疾患について、最も重要になるのが医師の診断書です。検査結果を記してもらうだけでなく、日常生活での症状を記してもらうようにしましょう。

参考までに、以下は喘息に関する診断書の一部になります。

このように発作の強度や頻度、治療内容が記されることになります。この内容について、先ほどの認定基準と照らし合わせ、認定基準を満たしている場合は障害年金が支給されます。

日常生活の困難さを詳細に記載するべき

なお他の身体障害者とは異なり、呼吸器疾患では測定日によって検査結果が大きく異なりますし、その人の努力次第で呼吸器機能の測定結果が大幅に改善することもあります。

そのため気管支喘息や慢性呼吸不全、肺腫瘍、慢性気管支炎、間質性肺炎を含め、検査結果以外の項目も重要になります。そこで、以下の内容を診断書に記してもらいましょう。

  • 症状が安定している時期の症状
  • 使用している薬
  • 酸素療法の有無
  • 検査所見
  • 具体的な日常生活状況

また障害年金については、医師の診断書だけでなく、自分で病歴・就労状況等申立書を記すことになります。そこで、病歴・就労状況等申立書に「わずかな着色料、食品添加物にも反応して発作が起こる」「ベッドから起き上がるだけでも激しい息切れ」など、実際の症状を詳細に記しましょう。

日常生活や労働が困難になっている状況を医師の診断書と病歴・就労状況等申立書で説明することにより、ようやく障害年金を受給できます。呼吸器疾患は検査数値が変動しやすいからこそ、診断書や病歴・就労状況等申立書での説明がより重要になります。

呼吸器疾患であっても障害年金を受け取れる

気管支喘息や慢性呼吸不全、肺腫瘍、慢性気管支炎、間質性肺炎など、呼吸器疾患はさまざまです。呼吸不全によって生活状況に支障がある場合、障害年金を受給できます。例えば喘息で受給できないと思っている人は多いですが、症状が重い場合は何も問題なく障害年金を利用できます。

そこで、障害年金の認定基準を学びましょう。呼吸不全について、どれだけの重症度なのかを確認するといいです。その後、日常生活や労働状況が困難な場合は障害年金の対象になります。これは気管支喘息の人も同様です。

なお呼吸器疾患については、他の身体障害者とは異なり、検査値が変動しやすいです。そこで、医師の診断書には治療内容や日常生活の様子を含めて詳細に記載してもらいましょう。

多くの場合、呼吸器疾患での障害年金は2級または3級になります。そこで生活が困難な場合、障害年金を利用しましょう。

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