障害年金の申請をした後、不支給決定になってしまうことがあります。障害年金を受け取ることができなかったり、通常よりも軽い等級になったりすることはよくあります。特に社労士などの専門家へ依頼していない人では、こうした状況がひんぱんに発生します。
審査落ちになったあとの対応策として、不服申し立て(再審査請求)と再申請の2種類の方法があります。それぞれ別の方法であり、難易度も異なります。
障害年金の受給を諦める必要はありませんが、審査落ちになった場合、具体的な流れを理解しなければいけません。また、再び障害年金へ申請するにしても正しい手順を学ぶ必要があります。
そこで不支給決定後、障害年金を受け取るために重要な不服申し立て(再審査請求)と再申請について、どのような内容になっているのか解説していきます。
もくじ
審査落ちとなった理由の確認は重要
障害年金の審査では、身体障害者のように明確な検査結果が出る人よりも、精神障害者で審査落ちが多くなります。障害年金で審査落ちとなった場合、理由の確認は必須になります。不支給決定通知書には、障害年金を支給しない理由が記載されています。
このときの理由としては、以下の3つが挙げられます。
- 障害の程度が軽い
- 初診日を特定できない
- 保険料納付要件を満たしていない
「障害の程度が軽い」という場合、不服申し立てや再審査が可能です。初診日を特定できない場合についても、初診日に関する新たな証拠書類を提出することで認められるケースがあります。
一方で国民年金保険料の未納期間が長く、保険料納付要件を満たしていない場合、現在の傷病に関する申請では何をどうやっても申請は却下されます。そのため再び審査を依頼するためには、「障害の程度が軽い」「初診日を特定できない」が審査落ちの理由である必要があります。
不支給決定で不服申し立て(再審査請求)や再審査が可能
それでは不支給決定に納得できない場合、対応策としてどのような方法があるのでしょうか。主に以下の2種類の方法があると考えましょう。
- 不服申し立て(再審査請求):提出した書類に対して再審査を依頼
- 再申請:完全にゼロの状態で審査を再び依頼する
不支給決定の原因となった提出書類について、「実際は要件を満たしている」と文句を伝えることで障害年金の支給を認めてもらう方法が不服申し立て(再審査請求)です。
一方で今回提出した書類とはまったく関係なく、ゼロの状態から新たに書類を取得しなおして障害年金へ申請する方法が再申請です。そのため、不服申し立てと再申請はまったく異なります。現実的には、不服申し立てよりも再申請を行う人が多いです。
審査落ちで不服申し立てが可能:3か月以内に行う審査請求
不支給決定の後、最初に提出した受診状況等申立書や医師の診断書、病歴・就労状況等申立書の内容が認定基準を満たしていると証明する方法が不服申し立てです。不服申し立てには1回目の審査請求と2回目の再審査請求があります。
つまり、不服申し立ては2回できます。大まかな流れとしては以下のようになります。
- 不支給決定を受ける
- 審査請求を行う
- 却下の場合、再審査請求を行う
このとき、不支給となったより詳細な理由を年金事務所などで確認できます。この理由に対して、明らかに審査側の判断が間違っている場合、審査請求や再審査請求をしていきます。
医師の診断書に「実際の症状よりも軽い状態が記されている」としても、根拠なしに不服申し立てをしても認められません。あくまでも、客観的な事実をもとにして障害年金の認定要件を満たすことを述べる必要があります。
なお、審査請求は「処分を知った日(通知書が届いた日)の翌日から3か月以内」に行わなければいけません。審査請求をすることで、以下の結果となります。
- 容認:主張が認められる
- 棄却:主張が認められない
- 却下:請求期間を過ぎており、審査自体が行われない
審査請求をして棄却となった場合、再審査請求に進むことになります。審査請求については、3~6か月ほどの期間を目安に結果がわかります。
再審査請求を2か月以内に行う
1回目に行う審査請求とは異なり、再審査請求は2か月以内に行う必要があります。1か月ほど期限が短いため、素早く書類を仕上げて提出する必要があります。
まず審査請求のときと同様に、審査官が判断した内容・理由を確認しましょう。その後、審査過程に不備があったことを指摘することで、認定基準を満たすことを述べます。再審査請求についても、決定内容は以下のようになります。
- 容認:主張が認められる
- 棄却:主張が認められない
- 却下:請求期間を過ぎており、審査自体が行われない
不服申し立てを自分で行う人はほぼおらず、社労士などの専門家に頼らなければ不可能なほど難しいです。そのため、社労士に依頼して審査請求や再審査請求を行いましょう。なお再審査請求についても3~6か月ほどの時間がかかります。
認定日請求・遡及請求は通常、一発勝負
なお実際には、不服申し立てをしてもほとんどのケースで主張が認められることはありません。不服申し立ての申請が通る確率について、過去の統計データを確認すると再審査請求では約2割です(年によって変動)。確率が低く、障害年金の申請が一発勝負といわれる理由がここにあります。
障害年金の申請をするとき、障害認定日を利用して請求する方法があります。初診日(初めて対象傷病で医療機関を受診した日)から1年6か月が経過した日が障害認定日であり、障害認定日から障害年金への申請が可能です。
障害認定日を利用して障害年金へ請求する方法として認定日請求(障害認定日から1年以内に請求)と遡及請求(障害認定日から1年以後に請求)があります。認定日請求と遡及請求について、最初の申請が最も重要であり、ここで書類に不備があると不服申し立てをしても多くのケースで通りません。
審査請求と再審査請求では、最初に提出した書類(診断書や申立書など)を元にして、「審査過程に誤りがある」と指摘することになります。そのため専門の社労士に依頼せず、自分で書類を集めると、不服申し立てをしても意味のない状態に陥っているケースがよくあります。
特に遡及請求の場合、人によっては1000万円以上の金額になることもあります。自分で書類を集め、不支給決定に驚いて社労士に依頼する人は多いです。ただ本来、最初から社労士に依頼しなければいけません。
事後重症請求により、再申請を行う
それでは、障害年金の審査に落ちると再び申請できないのかというと、そういうわけではありません。認定日請求と遡及請求が一発勝負というだけであり、事後重症請求であれば、不支給決定を受けたとしても再び障害年金へ申請できます。
障害認定日付近で症状が重くなく、障害年金の基準を満たす重度ではなかったものの、後になって症状が悪化する人もいます。この場合、事後重症請求として後になって障害年金へ申請できます。
事後重症請求については、認定日請求・遡及請求で審査落ちになった人も利用できます。障害認定日のときに重度の障害があったものの、書類不備によって審査落ちになった場合、事後重症請求によって障害年金を受け取るようにするのです。
不支給決定の後、認定日請求・遡及請求を諦め、事後重症請求によってゼロの状態から書類を作成して提出する方法を再申請といいます。前述の通り審査請求・再審査請求では審査に通る確率が低く、さらには審査期間も長いです。そこで、早めに諦めて再申請を行うのは優れています。
基準を満たせば審査に通る
なお不支給決定を受け取った場合、どれだけの期間を空ければいいのでしょうか。これについて、再申請の期間には特に定めがありません。
既に障害年金を受給しており、更新によって等級が下がったのであれば、すぐに審査依頼をすることはできません。この場合、1年が経過した後に再び申請をすることができます。
一方で不支給決定後の再申請については、1年の期間に関係なく申請できます。そのため、例えば不支給決定を受けた3~4か月後に書類を提出しても問題ありません。もちろん以前に提出した書類と比較はされますが、医師の診断書などを含めて認定基準を満たしていれば障害年金が支給されます。
なお、事後重症請求の場合は申請したタイミングから障害年金が支給されます。認定日請求・遡及請求のように、過去にさかのぼっての請求はできません。そのためできるだけ素早く優れた書類を集めることが重要であり、すべての人にとって社労士へ依頼するほうが結果的に得をするケースが多いです。
社労士を利用して不服申し立てや再申請を行う
障害年金で絶対にしてはいけないミスの一つとして、「自分自身で書類を集めて提出する」ことがあげられます。特に精神障害者はこうして審査落ちが頻発するわけですが、既に提出してしまった場合は仕方ないので、これから先は社労士へ依頼することで不服申し立てまたは再申請をしましょう。
不服申し立てでは、審査請求と再審査請求の2回チャンスがあります。初回に提出した書類をもとにして、審査の過程に誤りがあることを指摘しましょう。これにより、認定日請求・遡及請求を認めてもらうようにします。
ただ不服申し立てで内容が覆る確率は低いです。最初に提出した書類に不備がある場合、特に審査は難しくなります。そこで、ゼロの状態から障害年金の申請を行う再申請を検討しましょう。事後重症請求により、障害年金を受け取れるようにするのです。
不服申し立てでも再申請でも、社労士へ依頼するのが大原則です。そこで専門家の力を借りながら、障害年金へ再び挑戦しましょう。
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