会社員・公務員で病気やケガとなり、障害者になってしまうことがあります。身体障害者や精神障害者、難病患者で労働が困難になるのは普通です。
そうしたとき、働けない状態であっても生活を保障する制度が存在します。それが障害年金と傷病手当金です。ただ、何も対策をせずに退職後にこれらへ申請すると、非常に不利な事態になってしまいます。障害年金の受給額が少なくなり、傷病手当金を受け取れなくなります。
そこで、退職前に正しい行動を取っておかなければいけません。正しい行動によって障害年金の受給額が多くなり、傷病手当金も支給されるようになります。
それでは障害によって働けなくなり、退職後の生活に困らないようにするにはどのように行動すればいいのでしょうか。退職後に後悔しないため、退職前に必ず行うべきことを解説していきます。
もくじ
退職前に医療機関を受診すると初診日で障害年金が有利になる
障害年金の受給で重要な要素に初診日があります。対象の傷病について、最初に受診した医療機関の日が初診日です。
初診日に国民年金に加入していたのか、それとも厚生年金に加入していたのかによって障害年金の内容が異なります。初診日に国民年金に加入していた人では、障害基礎年金のみ支給されます。一方で初診日に厚生年金の加入者は障害厚生年金も支給されます。
つまり、初めて医療機関を受診した日に会社員・公務員の場合はそれだけ障害年金の額が大きくなります。
退職前に一度でもいいので病院・クリニックを受診した場合、その日が初診日となり、障害厚生年金を受給できます。ただ退職後に初めて医療機関を受診する場合、「無職のとき(国民年金に加入のとき)に初診日がある」と判断され、障害厚生年金を受け取りできなくなります。
それまで、どれだけ長く会社勤めをして厚生年金を支払っていたとしても、初診日に国民年金の場合、障害基礎年金のみの受け取りとなってしまいます。そのため退職後ではなく、必ず退職前に一度は必ず医療機関を受診するべきです。
初診日が退職後では等級や加算が異なる
また初診日が退職前と退職後では、等級や加算にも影響します。障害基礎年金のみの場合、1級または2級のみが対象になります。一方で障害厚生年金であれば、1級と2級に加えて、3級や障害手当金も対象になります。
種類 | 国民年金 | 厚生年金 |
障害年金1級 | 〇 | 〇 |
障害年金2級 | 〇 | 〇 |
障害年金3級 | - | 〇 |
障害手当金 | - | 〇 |
つまり退職前に一度でも医療機関を受診していれば、障害の程度が軽い人であっても障害年金(または一時金)の支給対象になるのです。
それに加えて、障害年金の加算内容も異なります。初診日が国民年金でも厚生年金でも、子の加算があります。つまり、子供がいればその分だけ受け取れる障害年金の額が大きくなります。一方で配偶者加算については、初診日に厚生年金の加入者のみ対象になります。
種類 | 国民年金 | 厚生年金 |
子の加算 | 〇 | 〇 |
配偶者加算 | - | 〇 |
配偶者加算は事実婚であっても問題ありません。そのため対象者は多いものの、障害厚生年金の障害者のみ利用できる制度になっています。
退職前に初診日があれば、退職後の申請であっても障害厚生年金へ申請できます。このように考えると、退職後ではなく退職前に医療機関を受診する重要性が非常に高いとわかります。
事前に3日以上の休養をしておくと傷病手当金の対象になる
さらに、退職前に必ず行うべきポイントが他にもあります。それが3日以上の会社の休業です。有給休暇を利用してもいいので、会社を連続して欠勤しなければいけません。間をおいての3日ではなく、「3日連続の欠勤」である必要があります。
業務外の病気やケガによって会社を休業し、会社から十分な給料が支払われない場合、生活を守るために傷病手当金が支給されます。傷病手当金の支給期間は1年6か月ですが、退職後も傷病手当金が支給されるため、退職前に3日連続の休業を必ず行いましょう。
傷病手当金によって支給されるお金はざっくりと「給料の3分の2」です。それなりに大きなお金であるため、これによって退職後に無職であっても、最初の傷病手当金の受給から1年6か月は生活が守られます。
退職後も傷病手当金を受け取る条件
それでは、退職後も傷病手当金を受け取るための具体的な条件としては何があるのでしょうか。このとき以下の条件を満たしている場合に支給されます。
- 1年以上、連続して社会保険に加入している
- 労働不能によって連続3日の休業をしている
- 退職日に出勤していない
これらをすべて満たす必要があります。なお、休業3日目が退職日の場合、4日目(傷病手当金の支給開始の日)は受給資格を喪失していることになります。そのため、退職日は連続3日休業した後に設定しましょう。
つまり、会社を辞めるときは「退職日を含めずに3日以上の連続した休業期間を設ける必要がある」と理解すればいいです。
なお傷病手当金を受け取っているとき、退職後に1日であってもパート・アルバイトをすると「就労不能の状態から脱した」となります。その後については受給できなくなるため、仮に症状が回復したとしてもむやみにアルバイトをするのは避けたほうがいいです。
ちなみに、傷病手当金を受け取るための条件を満たしている場合、退職後に傷病手当金の手続きをしても問題ありません。傷病手当金で重要なのは、「退職前に受給資格を満たしているかどうか」となります。
重複ありで返金だが、損はしていない
なお障害年金と傷病手当金について、同時受給はできません。「障害年金 > 傷病手当金」のとき、傷病手当金はストップします。また「障害年金 < 傷病手当金」のとき、差額分のみ傷病手当金が支給されます。
ただ障害年金に申請可能になるのは、通常、初診日から1年6か月が経過したときからです。また前述の通り、傷病手当金は3日連続で休業すれば、4日目から1年6か月にわたって支給されます。そのため、同じ傷病で障害年金と傷病手当金を受け取るにしても、重なっている部分は少ないです。
また併給調整があるのは、あくまでも障害年金と傷病手当金が重なっている部分となります。つまり、もらい過ぎのお金を返すだけであり、損をしているわけではありません。また2つの支給期間が重なっていない場合、傷病手当金の返金は不要です。
そのため病気やケガによって労働が難しい状態に陥っている場合、障害厚生年金と傷病手当金の受給条件を退職前に満たし、両方とも利用しましょう。これにより、退職後から傷病手当金を受給し、傷病手当金の支給が終わっても障害年金によって問題なく生活できるようになります。
退職後に障害厚生年金と傷病手当金を受け取る
病気やケガによって障害者となってしまった場合、労働が困難になります。そうしたとき、多くの人が障害年金と傷病手当金を活用します。ただ、退職前に必要な手続きをしていないともらえるお金が少なくなってしまいます。
障害年金については、退職前に必ず医療機関を受診しましょう。これにより、退職後に申請する場合であっても障害厚生年金を受け取れるようになります。
また、退職前に連続して3日以上の休業期間を設けましょう。これにより、傷病手当金の申請が可能になります。初診日から1年6か月が経過することにより、ようやく障害年金へ申請できます。それまでの間については、傷病手当金によって生活費を出せるようになります。
退職前の行動により、障害年金と傷病手当金の内容が変化します。そこで事前に行動することで、退職後に障害厚生年金と傷病手当金を受給できるようにしましょう。
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