知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者は障害福祉サービスを利用でき、これによってホームヘルプや障害者グループホームなどを活用できます。

このとき申請しなければいけないのが障害支援区分です。役所で区分認定を受けることにより、障害福祉サービスを利用できるケースは多いです。

障害区分の数字は障害の程度を表します。それでは、区分3や区分5ではどれくらい障害の程度が違うのでしょうか。また区分4や区分6というのは、どのような状態を指すのでしょうか。こうした基準を知りたいと思う人は多いです。

それでは、障害支援区分はどれくらいの障害を表すのでしょうか。また、区分が違うことで何か不都合なことは起こるのでしょうか。障害支援区分の中身について解説していきます。

障害福祉サービスで重要な区分認定

ほとんどの障害者で利用するのが障害福祉サービスです。以下のような優れた制度はすべて、障害福祉サービスに該当します。

  • 居宅介護:ホームヘルパーが家に来て身の回りの作業を手伝ってくれる
  • 障害者グループホーム:ほぼ支出なしに住める
  • 就労移行支援:障害者の就職支援
  • 自立訓練(機能訓練):リハビリを受けられる

ただ、障害福祉サービスを受けるためには役所で障害支援区分の申請をしなければいけないケースがあります。区分認定を受けることにより、障害福祉サービスを利用できるのです。

障害区分は数字が大きいほど重度

そのとき、障害支援区分には以下の種類があります。

  • 区分1
  • 区分2
  • 区分3
  • 区分4
  • 区分5
  • 区分6

このうち、数字が大きいほど障害の程度が大きくなります。

そのため、多くの人が「区分3や区分4、区分5、区分6はどれくらいの障害なのだろう?」と気になります。

障害区分の判断基準は存在しない

多くの人が期待するのは、「区分4では〇〇な状態」という明確な基準です。これを状態像といいます。

それでは、状態像に関する明確な基準が存在するかというと、実際にはありません。例えば、厚生労働省は区分1を以下のように定義しています。

  • 認定調査の結果や医師意見書により確認された「申請者に必要とされる支援の度合い」が、これまでに「区分1」と判定されるケースが最も多い状態像に相当する場合。

同じように、区分2の定義は以下のようになっています。

  • 認定調査の結果や医師意見書により確認された「申請者に必要とされる支援の度合い」が、これまでに「区分2」と判定されるケースが最も多い状態像に相当する場合。

これは区分3や区分4、区分5、区分6も同様です。つまり、定義とはいっても具体的で明確な状態を何も説明していません。これが、障害支援区分で明確な基準が存在しない理由です。

区分がどのように決まるかというと、担当者の独断と偏見です。つまり、担当者が変われば区分3になることがあれば、区分4になることもあるのです。当然、「区分3の人と区分4の人を比べたとき、明らかに区分3で認定を受けた人のほうが障害は重い」などのケースはよくあります。

イメージとしては、エッセイの評価と同じです。エッセイの評価には独自の基準が存在せず、担当者によって判断がまったく異なります。ただ優れたエッセイの場合、高い評価を受けやすいというわけです。しかし、具体的な評価内容は担当者によって異なるので運の要素が非常に大きいです。

役所が決める内容には、あいまいで基準が存在しない制度はたくさんあります。その一つが障害支援区分なのです。

障害者によって異なる区分認定

なお先ほどの定義で「これまでに区分〇と判定されるケースが最も多い状態像」という言葉が記されています。つまり過去の申請者から判断して、似た内容の状態像を判断するというわけです。そのため、過去の結果を確認すればザックリと傾向がわかります。

知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者で区分認定の傾向が異なります。障害支援区分の審査判定実績(2020年)によると以下のようになります。

・知的障害者

区分5と区分6で半分ほどを占めており、知的障害者は重度の判定を受ける傾向が強いです。知的障害は生まれつきであり、障害を保有していることがわかりやすいです。

区分認定割合
非該当0.0%
区分11.3%
区分210.7%
区分315.9%
区分422.0%
区分519.8%
区分630.3%

※障害支援区分の審査判定実績:2020年

・精神障害者

区分2や区分3がほとんどであり、どちらかというと軽度の判定を受けやすいのが精神障害者です。統合失調症やうつ病は薬によって寛解が可能であり、発達障害についても治療によって症状を改善させることができます。

知的障害を併発している人を除き、基本的には回復可能な疾患が精神障害です。それに加えて、見た目では生活困難な状況がわかりにくく、重度の判定にはなりにくいです。

区分認定割合
非該当0.0%
区分12.5%
区分242.5%
区分332.5%
区分415.1%
区分54.8%
区分63.6%

・身体障害者

知的障害者と同様に、身体障害者も区分4や区分5、区分6が非常に多く、重度の判定を受けやすいです。身体障害者は外見的または内臓に障害があり、明らかに障害が存在して生活に支障があるとわかりやすいです。そのため、重度の判定になりやすいです。

区分認定割合
非該当0.0%
区分11.3%
区分27.8%
区分317.2%
区分414.3%
区分515.1%
区分644.2%

・難病患者

難病患者は身体障害者でもあります。病気によって体の内部に明らかな異常が起こっており、医師の診断によって生活が困難であることがわかりやすいです。そのため区分3や区分4、区分5、区分6となりやすいです。

区分認定割合
非該当0.1%
区分11.8%
区分29.5%
区分322.2%
区分417.5%
区分514.5%
区分634.5%

こうした傾向はあるものの、実際にどのような区分認定になるのかは人によって異なります。また担当者によって判断は違うため、申請しなければ認定される障害支援区分はわかりません。

区分によって利用できるサービスが異なる

障害支援区分が重要なのは、障害支援区分がないと利用できないサービスが多いからです。区分認定なし(非該当)であっても利用できる障害福祉サービスは複数あるものの、区分認定がないとダメなケースがよくあるのです。

例えば、以下のようになります。

正確には、例えば障害者グループホーム(共同生活援助)は区分なしでも利用できます。ただ区分認定ありだと格安で利用できる一方、区分なしでは高額な利用料になります。そのため、通常は障害区分が必要というわけです。

また障害支援区分以外にも対象者の要件が存在するケースはよくあります。他には、年齢が高ければ低めの区分であっても利用できることもあります。ただいずれにしても、障害福祉サービスの利用で障害支援区分が重要なのは間違いありません。

区分1~6の違いや状態像は非常にあいまい

障害者であれば、多くの人が障害福祉サービスを利用します。このとき役所で障害支援区分を申請しますが、どのように区分が決まるのか基準を知りたいと思うのは普通です。

ただ残念ながら、障害支援区分の決定に明確な基準はありません。担当者によって判断が異なりますし、過去の結果と照らし合わせて判断することになります。

そのため、障害の種類によって傾向が異なります。知的障害者や身体障害者、難病患者は重い区分認定を受けやすいです。一方で精神障害者の場合、障害区分は軽くなりやすいです。これは、過去の結果がそうなっているからです。

障害支援区分の内容や状態像は非常にあいまいです。ただ現状の制度がそうなっていることを認識して、区分認定を受けたうえで障害福祉サービスを利用しましょう。

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