障害者グループホームを利用するとき、月額で利用料金が発生します。これには家賃や食費、水道光熱費など名目はさまざまです。そのため、障害者施設を利用するにしても「いくらかかるのか?」と疑問に思います。
実際のところ、障害者グループホームは実家暮らしよりも安く生活できるケースが多いです。これは、国や自治体から補助が出されるからです。そのため必要な支払金額は非常に低いです。
これは初期費用・入居費用についても同様です。通常だと敷金・礼金を取られることがないため、いまお金がない人であっても問題なく入居できます。
それでは、具体的に障害者グループホームは総額で月にいくらかかるのでしょうか。費用・利用料金の相場や入居費用について解説していきます。
もくじ
生活保護受給者や住民税の非課税世帯は障害福祉サービスが無料
障害者施設には必ず介護職員が常駐しています。こうしたスタッフが24時間体制で介助・支援することになりますが、障害者グループホームに入居している人はほとんどで障害福祉サービスが無料です。
実家暮らしの場合、親が働いていて収入があると、障害福祉サービスの月額上限は37,200円です。これより多く支払うことはないものの、それでもこうした費用がかかるのです。
一方、障害者グループホームへ入居すると親とは別の世帯となり、住民税の非課税世帯となります。ほとんどの場合で障害者は低所得であり、障害年金やわずかな労働収入で生活することになるため、結果としてこうした人は障害福祉サービスが無料になるのです。
「生活保護受給者や住民税の非課税世帯では、障害福祉サービスが無料になる」と以下のように厚生労働省にて記されています。
実家暮らしよりも、障害者グループホームを利用するほうが総額料金が安くなりやすのは、こうした理由があります。
家賃補助があるため、家賃もほぼかからない
ただ障害者グループホームに住む場合、別に家賃がかかります。家賃設定はグループホームによって異なり、地域によっても変わりますが、地方都市なら月30,000~40,000円が相場であり、都市部なら40,000~60,000円が相場です。
本来はこうした費用が必要になるものの、国や自治体から家賃補助があるため、実際には障害者が支払う家賃はほぼありません。
まず、生活保護受給者や住民税の非課税世帯では国から月1万円の家賃補助があります。これを特定障害者特別給付費(補足給付)といいます。
これに加えて、障害者グループホームの入居者は自治体からさらなる家賃補助があります。自治体によって補助額は異なるため、一概にはいえませんが、例えば以下の千葉にあるグループホームでは市から実費分の半分を支給されます。
国と市からの補助を考慮すると、この障害者グループホームで生活するときに必要な家賃は月額13,500円です。このように、家賃補助を考えると高い費用は必要なく、むしろ超格安で住めるのが障害者グループホームです。
・自治体によっては家賃の費用が無料
参考までに、自治体によっては家賃の支払い費用が無料になります。例えば東京都の場合、精神障害者は69,800円を上限として家賃補助されます。以下のように、施設借上費として支給されるのです。
そのため精神障害者が東京都のグループホームに入居する場合、家賃は無料です。たとえ高い家賃に思えても、実際には「安いどころか0円になる」というわけです。
自治体によって家賃が異なるのは、こうした理由があります。どのような補助があるのかについては、入居したい障害者グループホームに聞くといいです。一見すると高い家賃であっても、家賃補助まで考慮すると非常に安いケースは多いです。
・日中支援型グループホーム(日中サービス支援型グループホーム)も費用の内容は同じ
なお障害者グループホームの中には、重度の障害者向けの日中支援型グループホーム(日中サービス支援型グループホーム)もあります。
たとえ重度向けの日中支援型グループホームであっても、障害者グループホームであることは同様です。そのため低所得者はサービス料が無料ですし、国や自治体からの高額な家賃補助もあります。
食費や水道光熱費は月額料金となる
ただ障害福祉サービスが無料であり、補助によって家賃が安いとはいっても、食費や水道光熱費は別途かかります。
食費はグループホームによって異なりますが、例えば一食400円とすると、朝・昼・晩では合計1200円が必要です。30日(一か月)では36,000円です。こうした費用は毎月、利用料として徴収されます。
また水道光熱費として月2万円を取られるとすると、食費を含めて56,000円です。これにその他の日用品や雑費、医療費を加えると、月の平均支出総額は6~7万円ほどになります。多少の無駄遣いをする場合であっても、月8万円未満となります。
このように考えると、障害者グループホームでの支払いの大部分は食費と水道光熱費であり、圧倒的に安い金額にて生活できることがわかります。参考までに、以下は障害者グループホームでの実際の請求書です。
家賃や食費、日用品費、水道光熱費を含めて月の支払いは67,724円です。なお、この費用にはインターネット代などは既に含まれています。
・必要ない場合、食費は徴収されない
参考までに食事が必要ない場合、食費は徴収されません。例えば自炊する場合、食費を支払う必要はありません。障害者グループホームは障害者にとって家であるため、キッチンを自由に使えるのです。
例えば以下は、施設の利用者が他の人の分を含めてラーメンを作ったときの様子です。
このように一人分だけでなく、施設側が承諾してくれれば、むしろ他の人の分まで作ることも可能です。食材は利用者が購入する必要があるものの、施設側に食費を支払う必要はありません。
なお場合によっては外食することもあるため、「グループホームでこの日の晩御飯だけ食事利用をなしにしたい」などは可能です。
障害年金だけで一人で生活可能
そのため知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者で働けず、無収入の状態であっても、障害年金だけで生きていけるのが障害者グループホームです。障害年金では以下のお金を受け取ることができます。
- 1級:月に約8万円
- 2級:月に約6万5000円
これに加えて、作業所などでの賃金を加えると月の収支がマイナスになることはありません。
前述の通り、無駄遣いしなければ月6〜8万円ほどで生活できます。これが、すべての知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者について、障害者グループホームで問題なく生活できる理由です。総合収支が大きくプラスになることはないものの、マイナスになることもないのです。
ただタバコを吸う人など、何かしらお金が出ていく生活をする障害者の場合、障害年金だけで生活するのは厳しいです。この場合は「親からお金を送ってもらう」「本人に他の収入がある」「生活保護費を受け取る」など、何かしらお金を得る方法が必要になります。
敷金・礼金はなく初期費用・入居費用は安い
このように毎月の利用料金は非常に安く、実家暮らしよりも費用支払いを抑えられるケースはよくありますが、入居にあたり初期費用が安いのも障害者グループホームの特徴です。
一般的な賃貸住宅の場合、入居するためには「前家賃、敷金・礼金、不動産業者への仲介料」など、月額家賃の5倍ほどの初期費用が必要になるのが一般的です。
一方で障害者グループホームの場合、不動産業者への仲介料は当然ながら存在しませんし、敷金・礼金も通常では発生しません。敷金・礼金はどのような目的で使用されるお金なのか不明であり、多くの自治体で「障害者グループホームで敷金・礼金を徴収するのは適切ではない」と発表しています。
例えば以下は、岡山市が公表している内容です。
もちろん中には、自治体からの指導を無視しているグループホームは存在するものの、良心的な障害者グループホームでは敷金・礼金(家賃の2か月分)が発生しないというわけです。
また前述の通り家賃補助があるので、前家賃の支払いがあるにしても初期費用は非常に低いです。たとえ前家賃が必要であっても入居費用は1~2万円になることも多く、高額な初期費用を心配する必要はありません。
※障害者が物損したときのため、敷金という名目で入居時に多少のお金を徴収することはあるものの、それでも一般的な敷金とは性質が異なります。
引越し費用もなく、入居費用は格安
なお通常、新たな場所で生活を始めるには高額なお金が必要です。家具付き物件でないケースがほとんどなので、必要な家具や家電製品の購入が必要であり、引越し業者へ支払うお金もかかります。
一方で障害者グループホームの場合、お風呂やトイレは多くで共同であり、キッチン周りや洗濯機を含めてあらゆる家電製品がすでに備わっています。また個室についても、テレビやベッド、エアコンなどは備わっています。つまり、グループホームの部屋は家具付きなのです。
参考までに、以下は障害者グループホームの一室(空室の状態)です。
そのため必要な荷物は少なく、衣類や日用品(歯ブラシなど)などを持ち込むだけで引越しが完了します。引越し業者を依頼する必要はありませんし、ダンボールに衣類やその他の必要な物を詰めてグループホームへ送るだけで引越しできます。
障害者のほとんどは低収入であり、お金がありません。そのため、こうした人であっても問題なく引越しできるように初期費用を抑えられる仕組みになっているのです。
入居費用やその他の値段は安く、問題なく生活可能
障害者グループホームへ住むことを検討している人では、いくらかかるのか心配になります。このとき家賃の値段は普通であるものの、補助があるので実際は格安の家賃となります。また、障害福祉サービスの費用もほとんどの人で無料です。
障害者施設の支払いでメインになるのは食費と水道光熱費です。なお家賃や食費、水道光熱費の支払いは月6万円未満になります。その他の費用を含めても、月の支払い相場は6~8万円です。そのため、障害年金やわずかな賃金だけでも生活できます。
初期費用・入居費用についてもほとんどかかりません。障害者グループホームでは不動産業者への仲介料が存在せず、通常だと敷金・礼金もないからです。
知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者にとって誰でも生活できるセーフティーネットが障害者施設です。こうした施設を利用することにより、格安の月額料金によって暮らしましょう。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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