軽度の知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者の中には、グループホームを利用するにしても、ほかの人との共同生活を避けたいと考える人も多いです。
この場合、ワンルームとなっているアパート・マンション型のグループホームを利用したり、サテライト型のグループホームへの入居を検討したりしましょう。
こうした障害者グループホームであれば、一つの部屋の中に浴槽やトイレがあるため、完全にプライバシーが守られます。ほかの利用者とひんぱんに顔を合わせることがないため、日常生活の多くを自分一人で行える障害者や難病患者にとっては優れています。
それでは、障害者グループホームで完全なる一人暮らしを実現するにはどうすればいいのでしょうか。ワンルームやサテライト型のグループホームを利用して一人暮らしをする考え方を解説していきます。
もくじ
浴槽・トイレが共同でない障害者グループホーム
多くの場合、知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者が生活するグループホームでは、一つの家に複数の居室が存在することになります。例えば、以下のような間取りになります。
このように浴室やトイレは共同利用になるため、シェアハウスと同じ形式であり、一人暮らしではありません。これはアパート・マンションでも同様であり、例えば4LDKの部屋について、4人の障害者が住むことになります。そのため、同様に浴室とトイレは共同利用です。
こうした施設では、お風呂へ入るときは以下のように「入浴中」であることを掲示します。
ただ一人暮らしを希望する障害者にとって、こうした施設は希望に合いません。しかし知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者が暮らすとき、一般的な賃貸住宅よりも、障害者グループホームでは補助が出るため、圧倒的に支出が少なくお得です。
そこで一人暮らしを考えるとき、以下の障害者グループホームを利用しましょう。
- 浴室やトイレが備わっているワンルーム形式のグループホーム
- サテライト型住居のグループホーム
両方とも、形式はほとんど同じです。また、それぞれの部屋ごとに浴室とトイレがあるため、完全にプライバシーが守られます。
アパート・マンションではワンルームのケースがある
障害者グループホームを利用して一人暮らしを開始するとき、第一候補になるのがアパート・マンションでワンルーム形式を採用している障害者施設です。障害者グループホームによっては、以下のようなワンルーム形式のアパートやマンションが存在します。
ワンルームと部屋は狭いものの、それぞれの部屋に浴室とトイレが備え付けられているため、プライバシーは守られます。
シェアハウス形式の場合、ひんぱんに他の人と家の中で出会うことになります。リビングや事務室には、介護職員もいます。そのため重度の知的障害者・精神障害者など、ひんぱんな助けが必要な人はシェアハウスのほうが適しています。
一方で軽度の障害者や多くのことを自分で行える難病患者の中には、プライベート空間が守られるほうがいいと考える人がいます。
ワンルームの場合、毎日リビングへ出向いてほかの利用者と一緒に食事をする必要はありませんし、むしろ毎日自分で食事を作ることもできます。もちろん、ワンルーム形式であっても交流スペースはあるので、そこでほかの障害者との会話を楽しんでもいいです。
サテライト型住居でも単独生活が可能
一人暮らしが可能な障害者グループホームとして、ほかにもサテライト型住居があります。基本的には、ワンルーム型のグループホームと内容はほぼ同じと理解しましょう。唯一の違いは、「サテライト型では離れた場所に本体の事業所(グループホーム)が存在する」ことです。
本体の事業所から、自転車などでの移動時間が20分以内の近距離である場合、衛星(サテライト)のような形で一部屋のグループホームを設置することができます。一部屋というのは、一般賃貸の部屋を一室だけグループホームの運営側が借り、その部屋を障害者が住むグループホームにするというわけです。
周囲は健常者ばかりが住むことになりますが、アパート・マンションの一室にグループホームとして障害者が住むというわけです。この場合、本体のグループホームとは少し距離がありますし、周囲は健常者が住んでいるため、本当の意味で一人暮らしとほぼ同じ状態となります。
なおサテライト型であっても、グループホームであることには変わりないため、介護スタッフによる見回りは存在します。グループホームによる支援は問題なく行われますし、ほかの障害者グループホームと同様に格安にて行政からの補助をもらいながら住めます。
デメリットとしては、本体の事業所と距離があるため、ほかの利用者と交流する機会はどうしても少なくなります。本体のグループホームへ出向くために歩いたり、自転車を利用したりする必要があるのです。
サテライト型住居については、交流スペース(利用者が集まるリビング)を含め、居室以外の設備は本体のグループホームへ行かなければ利用できません。完全なる一人暮らしになるのはサテライト型住居のメリットであるものの、ほかの人との交流が薄くなるのはデメリットです。
居室の面積は7.43m2以上と広くない
こうしたグループホームの部屋は広いわけではありません。あくまでも格安にて一人暮らしできるようになっているため、広い部屋だと採算が合わなくなり、グループホームの経営が困難になります。そのため、ワンルームなどの小さい部屋になるのです。
ただ部屋の見た目は一般的なので、一人で住むには問題ありません。以下は実際のグループホームの部屋です。
障害者グループホームの居室は7.43m2以上と定められています。収納設備を除いて、これだけの面積があるというわけです。
共同生活での交流は必然的に少なくなる
なお一般的なシェアハウス形式でないグループホームでは、共同生活をするうえでほかの利用者との交流が少なくなるのは必然です。
例えば複数の知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者で住む場合、多くのケースで一緒に食事をとることになります。
一方、ワンルームには部屋の中にキッチンも存在するのが一般的であるため、自分で料理を作る場合、ほかの利用者が集まる交流スペースへ出向く必要がありません。
またワンルーム型のグループホームであっても、サテライト型住居であっても、交流スペースへ出向くためには、必ず一回は部屋の外へ出なければいけません。例えば冬であれば寒いため、部屋の外へ出るのは面倒です。
こうしたさまざまな理由から、一般的な障害者グループホームよりは交流が少なくなるというわけです。
もちろんグループホームとしての機能は存在するため、介護職員に話し相手になってもらってもいいし、毎日のように交流スペースへ出向いてもいいです。ただ、シェアハウス形式の建物に比べると、どうしても交流頻度は落ちるというわけです。
食事の提供は自由に選ぶといい
なおすべてのグループホームについて、食費を出すことにより、食事の提供があります。グループホームによって金額は異なりますが、例えば以下のようになります。
グループホームの介護サービスや家賃については補助があります。一方、食費は実費です。このとき、ワンルーム型のグループホームやサテライト型住居であれば、前述の通りキッチンが備え付けられているので自分で作ることができます。
そのため食事を作るのが面倒な場合はグループホームに依頼すればいいし、必要ない場合は自分で作ってもいいです。これについては本人次第です。
ちなみに料理が好きな場合、ほかの利用者の分を含めて作っても問題ありません。以下は、施設利用者が全員分を含めて昼にラーメンを作ったときの様子です。
なお、「ある日は食事を提供してもらうものの、ある日は食事を自分で作る」なども可能です。これについては、あなたにとって最適な内容をそのつど選びましょう。
多くの場合、3年の期限付きとなる
このとき、ワンルーム型のグループホームは特別な理由がない限り、比較的軽度の知的障害者・精神障害者やある程度は自分で行える難病患者が住むことになります。
グループホームを利用するとき、入居期間の制限がない「滞在型」と3年間が利用期間となる「通過型」の2パターンがあります。
ワンルームの利用を考えている人では、多くのケースで障害が軽度であり、判断能力のある人となります。この場合、完全なる一人暮らしへ移行するため、3年の利用期間が設けられるケースがよくあります。なおサテライト型住居についても、利用期間は3年間です。
ずっと障害者グループホームへ入居できるわけではないため、あくまでも完全なる一人暮らしへ移行する前段階での利用になります。
一人で賃貸を借りるとなると、障害者グループホームに比べてどうしても費用がかかります。そこで、3年が経過するまでに就職先を含めて完全なる一人暮らしを行えるように準備をしましょう。期限が決まっていることについては、事前に理解しなければいけない重要なポイントの一つです。
多くはシェアハウス型なので絶対数は少ないデメリット
なお障害者グループホームを利用するとき、ワンルーム型のグループホームやサテライト型住居を探す場合、一番のデメリットとして「対応しているグループホームの数が少ない」ことがあげられます。
前述の通り、通常は一つの家に複数の障害者や難病患者が住む形式となります。グループホームの経営者にとって、すべての部屋に浴槽やトイレ、キッチンを備え付けるのは非常に高額であり、営業効率が悪いです。そのため、通常はシェアハウス形式というわけです。
そこで障害者グループホームで格安にて一人暮らしを開始したい場合、同じ市区町村だけでなく、ほかの地域を含めて入居できるかどうか調べましょう。
認知症グループホームであれば、同じ市区町村でなければいけません。一方、知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者が利用する障害者グループホームについては、異なる都道府県であっても入居できます。例えば、北海道に住む人が沖縄のグループホームへ入居することは可能です。
同じ市区町村であり、さらには一人暮らし可能なグループホームとなると、選択肢は非常に少ないです。そこで、ほかの地域まで含めて障害者グループホームを探し、一人暮らしを開始する必要があります。
ワンルームやサテライト型住居で一人暮らしをする
知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者が一人暮らしをしたいと考えるとき、格安で利用できる障害者グループホームは優れています。グループホームを利用すれば、一般的な賃貸住宅よりも圧倒的に支出が少なくなります。
このとき、浴槽やトイレが備え付けられているワンルームのグループホームを利用したり、サテライト型住居を探したりしましょう。障害者グループホームとしての機能を利用しつつ、完全プライベートの空間も得られます。
ただ、ほかの利用者との交流という点では希薄になりがちというデメリットがあります。多くの場合、3年間という利用期間もあります。また施設数は少ないため、異なる地域まで視野に入れなければいけません。
障害者グループホームで一人暮らしを考えるとき、こうした点に注意しましょう。メリットとデメリットを考慮したうえで、ワンルームやサテライト型のグループホームを探すといいです。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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