名称の似ている施設として、更生施設と更生保護施設があります。両方とも犯罪者が利用できる施設であり、刑務所を出た直後であっても問題ありません。逮捕・起訴歴があっても、こうした施設を利用すれば一時的な滞在が可能です。
更生施設は生活保護受給者が利用する施設です。それに対して、更生保護施設は身寄りのない犯罪者が利用します。
それでは、更生施設と保護更生施設にはどのような違いがあるのでしょうか。犯罪者にとって重要な施設について解説していきます。
もくじ
更生施設と更生保護施設は異なる
更生施設と更生保護施設はまったく異なります。更生施設に入居する人というのは、犯罪者とは限りません。障害者やホームレスなど、逮捕歴がなくても利用する人はたくさんいます。それに対して、更生保護施設は犯罪者が利用します。
それぞれ、以下のように考えましょう。
- 更生施設:生活保護受給者で将来の独り立ちを目指す人が利用
- 更生保護施設:犯罪者が一時的に寝泊まりする場所
更生施設と更生保護施設の被害について、より詳しく確認していきましょう。
生活保護で利用できる更生施設
生活保護法に基づく保護施設の一つが更生施設です。更生施設では、日々の生活が困難になっている人が利用し、障害者やホームレスなどが更生施設で寝泊まりすることになります。
更生施設を利用する障害者について、知的障害者や精神障害者、身体障害者など、あらゆる種類の障害者がいます。その中でも精神障害者の利用者が多く、統合失調症やうつ病、発達障害、アルコール依存症などで利用されます。
そのため犯罪者でなくても、日々の生活が困難になっている生活保護受給者であれば更生施設へ入所できます。
もちろん逮捕・起訴歴があったり、刑務所からの出所後であったりして更生施設を利用する人もいます。例えば精神疾患が原因で犯罪をしてしまった場合、更生施設の利用対象になります。
ただ、更生施設へ入所する前の居住場所が矯正施設(刑務所、少年刑務所、拘置所)だった人の割合は1.5%です。犯罪者が更生施設を利用することはあるかもしれませんが、全体の割合では少ないです。
なお保護施設の中でも、将来の独り立ちが前提となっている施設が更生施設です。そのため、更生施設を利用する障害者は軽度の人が多いです。
更生保護施設は犯罪者に住居を提供する
一方で更生保護施設とは、刑務所からの出所後など犯罪をした人について、身寄りのない人を一時的に住まわせる施設を指します。つまり、利用する人は犯罪者のみであり、過去に逮捕された人が対象になります。
更生施設とは異なり、生活保護や障害者に関係なく、身寄りのない犯罪者であれば更生保護施設を利用できます。あくまでも矯正施設の出所後を含め、犯罪を起こしたかどうかが更生保護施設の利用で重要になります。
身寄りがない場合、再び犯罪をしてしまうリスクが高くなります。そこですぐに自立更生することが困難な人に対して、宿泊場所や食事を一定期間、提供するのです。
なお、ずっと住み続ける施設が更生保護施設ではありません。そのため更生保護施設では、就職援助や生活指導も行われます。
短い期間での退所となる
このとき、更生施設も更生保護施設も比較的短い期間での退所になります。両方とも将来の独り立ちを前提としている施設であるため、同じ場所に長く住むことはできません。
生活保護受給者が利用する更生施設の場合、1~2年で退所します。厚生労働省の資料によると、更生施設の平均入所期間は1年4か月です。こうした期間で生活指導や訓練が行われ、一人暮らしでいるようにしあmす。
また更生保護施設はより入所期間が短く、犯罪白書の資料では約9割が6か月未満で退所しています。1年以上の入居者は全体の0.8%であり、短い期間で退所することになるのが更生保護施設です。
参考までに、更生保護施設の平均入所期間は77.4日です。つまり、2~3か月で更生保護施設を退所し、次の場所にて生活をすることになります。
次に住む場所を見つける必要あり
そこで、更生施設や更生保護施設を利用している人は次に住む場所を見つけなければいけません。このとき健常者であったり、軽度の障害者であったりする場合、一般的な賃貸マンション・アパートへ引越しする人は多いです。
犯罪者の場合、ほとんどが低所得者に該当します。こうした住民税の非課税世帯や生活保護では、住居を見つけるのが難しくなりがちです。ただ中には受け入れてくれる賃貸物件があるため、そうした物件を探すのです。
・更生保護施設の利用者は退所後、どこへ住むのか?
参考までに、更生保護施設の利用者は退所後に以下の場所へ住むことがわかっています。
- 一般賃貸:31.3%
- 就業先:16.8%
- 親族:15.1%
保護施設を利用する人の場合、親族の家で住む人は全体の1.2%であり、親族を頼る人はほとんどいません。基本的には、一般的な賃貸マンション・アパートや障害者施設へ退所後に住み始める人が多いです。
それに対して更生保護施設の利用者は健常者も多く、親族を頼れる人もいます。また、企業就職をすることで就職先にて住む場所を確保することもできます。
障害者の場合、障害者グループホームが選択肢になる
または、障害者グループホーム(共同生活援助)という選択肢もあります。健常者は利用できないものの、障害者であれば利用可能です。障害者には、アルコール依存症・薬物依存症やパニック障害、発達障害なども含むため、多くの人が障害者に該当します。
一般的な賃貸マンション・アパートとは異なり、障害者であれば誰でも障害者グループホームへ入居できます。過去に犯罪歴があっても問題なく、他害(他人への暴力)がなければ受け入れてくれやすいです。
住民税の非課税世帯や生活保護などの低所得者であっても利用できほど、格安で住める場所が障害者グループホームです。複数の障害者と共同生活を送る場所が障害者グループホームであり、さらには国や自治体から補助があるため、お金の支払いが非常に少ないのです。また常に介護スタッフがいるため、金銭管理や服薬管理なども行えます。
更生施設や更生保護施設では、どうしても短期間で出ていく必要があります。そこで、まだ賃貸マンション・アパートでの暮らしが心配な場合、障害者グループホーム(共同生活援助)を活用するといいです。
なお、障害者グループホームには過去に犯罪をした人もたくさん入居しており、こうした施設を利用することで再犯率を大幅に下げることができます。
公的施設を利用し、再犯率を下げる
逮捕・起訴されたり、刑務所(矯正施設)からの出所後であったりする場合、人によっては住む場所に困ります。そうしたとき、再犯率を下げるために公的施設を利用しましょう。すぐには自立困難であっても、まずは生活場所を確保することが重要です。
このとき、生活保護受給者で更生施設を利用します。生活が困難になっている障害者やホームレスが利用する施設であり、必ずしも犯罪者が利用するとは限りません。一方で更生保護施設では、身寄りのない犯罪者が一時的に寝泊まりする施設になります。
両者とも一時的な滞在となります。そのため独り立ちを目指すのと同時に、退所後に住む場所も視野に入れて考えましょう。特に障害者の場合、障害者グループホームを格安で利用できます。
犯罪者の場合、生活場所の確保が重要になります。そこで更生施設と更生保護施設の違いを理解して、適切な公的施設を利用しましょう。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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