障害者手帳を保有している人には多くのメリットがあり、その中に税金の減免があります。安くなる税金は複数あり、障害者は自動車税・自動車取得税を減らせます。

しかも車の税金減免については、障害者本人だけでなく、家族が運転をする場合であっても同様です。重度の障害者では本人の運転が無理であり、家族が車を運転することはよくあります。そこで、家族であっても減免措置を利用できるのです。

なお利用するためには役所での手続きが必要ですし、申請条件も存在します。自治体によって減免額や認定基準は異なるものの、ある程度重度の障害者であれば自動車税・自動車取得税の減免が可能です。

それでは車を保有する本人や家族について、自動車税減免はどのような制度になっているのでしょうか。障害者手帳を利用して車の税金を安くする方法を解説していきます。

重度の障害者には自動車税・自動車取得税の減免がある

軽度の障害者についてはダメですが、重度の障害者であれば自動車税減免が可能です。その分だけ税金が安くなるため、手元にお金が残りやすくなります。

障害者手帳の保有が条件であるため、以下の障害者手帳をもっている障害者が対象になります。

  • 身体障害者手帳:体の機能に障害のある人
  • 療育手帳:知的障害のある人
  • 精神障害者保健福祉手帳:精神障害のある人

ひとまずこうした障害者手帳を保有している場合、家族を含めて「自動車税減免が可能なのでは?」と考えましょう。

基準となる障害の程度と障害者手帳の等級

それでは、具体的にどのような障害者が対象になるのでしょうか。ある程度、重度の障害者である必要があり、障害者手帳の等級によって自動車税・自動車取得税が低くなるかどうかが違ってきます。以下の等級では、自動車税減免となりやすいです。

【身体障害者】

身体障害の種類等級
視覚障害1級~3級、4級の1
聴覚障害2~3級
平衡機能、音声・言語機能3級
上肢不自由1~2級
下肢不自由1~6級
体幹不自由1~3級、5級
脳原性運動障害:上肢機能1~2級
脳原性運動障害:移動機能1~3級
心臓、腎臓、呼吸器、小腸、ぼうこう、直腸1級、3級
肝臓、HIV1~3級

【知的障害者・精神障害者】

手帳の種類等級
療育手帳A(IQ35以下)
精神障害者保健福祉手帳1級

こうした等級の障害者手帳を保有している場合、自動車税が安くなります。

・自治体によって判断基準が異なる

なお障害者に対する自動車税減免について、自治体によって判断基準が異なります。先ほどの表に対して、より低い等級の障害者手帳を保有している場合であっても、自動車税を安くできる自治体もあるのです。

そこで自治体によって基準が異なることを理解して、あなたが住んでいる自治体では「どの等級で税金の減免措置があるのか」を確認しましょう。

障害者本人でなくても自動車税減免が可能

なお重要なのは、障害者本人だけでなく、家族についても自動車税減免が可能になるという事実です。特に重度の障害者であれば、本人が車を運転できないケースがよくあります。この場合、減免措置があっても意味がありません。

ただ家族については、障害をもつ人のために送り迎えをするのは普通です。

そこで、以下の人は自動車税減免の対象になります。

  • 障害者本人
  • 障害者と生計が同じ人(同じ家に住む)
  • 障害者を日常的に介護する人

重度の障害者である本人のみに適用される場合、あまり意味のない制度ですが、家族を含めて自動車税を低くできるため、非常に優れた制度となっています。通院や通学、通所、その他の生活のために家族が運転する場合でも問題ないのです。

なお自動車税・自動車取得税の減免について、「本人に適用する場合の認定基準」と「家族が運転する場合の認定基準」が異なるケースがあります。そのため、これについてもあなたが住んでいる自治体の基準を確認する必要があります。

ただあくまでも、生計が同じ(同じ家、または近くに住んでいる)であることが条件です。そのため、例えば障害者グループホームや老人ホームに障害者が住み始めた場合については、家族に対する自動車税・自動車取得税の減税措置を得ることはできません。

障害者一人につき、一台が対象

それでは、障害者がいれば複数の車について自動車税・自動車取得税を低く抑えられるかというと、そういうわけではありません。障害者一人につき、車一台が対象となります。あらゆる自治体で以下のように記されていると思います。

このように、普通車や軽自動車を含めて一台が対象になります。

なお一台のみが対象であることから、車の買い替えをするときは手続きをする必要があります。以前の車ではなく、新たな車に対して自動車税を安くする措置を適用させるのです。

なお通常、税金の減免を受けている自動車の抹消登録をした場合、その翌月から別の自動車(または軽自動車)について、自動車税の減免が可能になります。

自動車税と自動車取得税の減免額

それでは、具体的にどれだけの金額について税金が低くなるのでしょうか。障害者手帳での減免については、自動車税(軽自動車税)と自動車取得税の減免が可能になります。

・自動車税の減免

自動車税については、多くの自治体で上限45,000円の減免となります。ただ地域によっては、39,500円などの減免となっているケースもあります。なおエコカーを利用している場合、上限45,000円に加えて、さらなる減免が可能になる場合があります。

・自動車取得税の減免

自動車の取得価額に対して、「該当する自動車の税率」をかけた額が減免されます。例えば車の値段が200万円であり、税率が3%の場合、6万円の税金が減免されます。

  • 200万円 × 3% = 6万円

なお自動車の取得価額について、上限額は自治体によって異なります。300万円を上限とする自治体があれば、250万円を上限とする自治体もあります。

いずれにしても、上限よりも低い金額の車を購入する場合、自動車取得税は全額免除されます。また当然ながら、上限よりも高い車を購入する場合、差額分を納税する必要があります。なお減免には期限があるため、自動車を登録してできるだけ早く申請しましょう。

役所で手続きを行い、税金負担を軽くする

ここまでの内容を理解して、自動車税と自動車取得税を安くするために役所で手続きを行いましょう。いま住んでいる自治体の県税事務所または自動車税事務所で手続きをするのです。

このとき、通常は以下の書類が必要になります。

【障害者本人】

  • 車検証の原本、または自動車検査証記録事項
  • 障害者手帳
  • 運転免許証

【障害者と同じ家(または近くの家)に住む家族】

  • 車検証の原本、または自動車検査証記録事項
  • 障害者手帳
  • 運転免許証
  • 生計が同じと確認できる書類:住民票、戸籍謄本、所得税確定申告書のコピーなど

ひとまず、こうした書類を用意することになります。簡単に集められるはずなので、障害者手帳を保有している場合は早めに申請しましょう。

障害者は自動車税・自動車取得税の減税が可能

障害者であれば、ほとんどの人が障害者手帳を保有します。障害者手帳を利用すれば自動車税・自動車取得税を減らせるため、積極的に利用しましょう。

なお通常、重度の障害者で自動車税・自動車取得税の減免が可能です。ただ認定基準は自治体によって異なるため、いま住んでいる自治体の基準がどうなっているのか確認しましょう。場合によっては、軽度の障害者であっても税金を減らせる場合があります。

障害者一人につき、一台の車が対象になります。たとえ本人が運転できなくても、家族の車を対象にできます。そのため、障害者がいる場合は多くの家庭で利用できます。

自動車税・自動車取得税を減らすことができれば、大きな負担軽減になります。そこで対象者の場合、必ず申請しましょう。

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