障害者グループホーム(共同生活援助)で売り上げを増やすためには、可能な限り加算を得るのが大原則です。そうしたとき、大きい加算内容に地域移行支援に対する加算があります。
犯罪者や重度精神障害者など、こうした人が地域に馴染んで生活するのは大変です。そこで障害者グループホームのスタッフが適切に支援することで、より支援が必要な障害者に対する加算を得られます。こうした加算に地域生活移行個別支援特別加算や精神障害者地域移行支援特別加算があります。
それでは、どのようにして地域生活移行個別支援特別加算や精神障害者地域移行支援特別加算を得ればいいのでしょうか。
もくじ
地域移行支援に対する加算を得られる
障害の程度が重い場合、なかなか一般的な生活を送るのが困難です。そこで、共同生活援助は重度障害者に対して地域生活が可能なように支援を行うのが地域移行支援です。
地域移行支援で特に重要なのが触法障害者(犯罪者)や長期入院している障害者です。こうした障害者は支援が大変だったり、症状が重かったりするために受け入れ先が限られます。障害者グループホームでメインである介護サービス包括型では、軽度・中等度の受け入れが基本になるからです。
そうしたとき、確かに支援は大変になりやすいものの、刑務所から出てきた障害者や長期入院の障害者を受け入れ、支援を行うことで大きな加算を得られます。
- 地域生活移行個別支援特別加算:犯罪者に対する支援への加算
- 精神障害者地域移行支援特別加算:長期入院の障害者への加算
受け入れ施設が少ないからこそ、こうした障害者に対応すれば、利用者を効率的に増やせるだけでなく、地域移行支援に関する大きな加算を算定するできるようになります。
加算の単位:併給での加算はできない
なお地域生活移行個別支援特別加算や精神障害者地域移行支援特別加算は非常に大きな加算であり、それぞれ以下のようになります。
- 地域生活移行個別支援特別加算:670単位/日
- 精神障害者地域移行支援特別加算:300単位/日
障害者を一人受け入れれば共同生活援助の売り上げは大幅に上昇します。利益率の高い障害者グループホームに共通するのは、支援が難しい利用者を受け入れることにより、大きな加算を得ています。こうした大きな加算が地域移行支援に関する加算です。
注意点として、地域生活移行個別支援特別加算と精神障害者地域移行支援特別加算は併給できません。どちらか一方だけであるため、刑務所から出た触法障害者は地域生活移行個別支援特別加算を活用し、それ以外の障害者は精神障害者地域移行支援特別加算を利用しましょう。
有資格者を配置して支援する
なお地域生活移行個別支援特別加算や精神障害者地域移行支援特別加算を算定するとき、必ず有資格者を配置しなければいけません。具体的には、以下のうちどれかの資格を有する人を配置します。
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 公認心理師
必ずしも常勤の有資格者である必要はありません。ただ、大きな加算を得るには有資格者を配置し、相談援助や個別支援を実施しなければいけません。
なお、支援内容としては例えば以下があります。
- アセスメントの実施や地域生活への個別支援計画の作成
- 対象となる利用者への定期的な面談
- 機関(医療機関や保護観察所など)との連携
- 日中活動の利用や支援
資格者の配置というハードルはあるものの、適切なスタッフを配置して支援することにより、高額な加算を得られます。
地域移行支援への加算内容
それでは、地域移行支援に関する加算はどのようになっているのでしょうか。対象者が違うため、地域生活移行個別支援特別加算と精神障害者地域移行支援特別加算では内容が異なります。
そこで、それぞれについて確認していきましょう。
地域生活移行個別支援特別加算:犯罪者に対する支援への加算
地域生活移行個別支援特別加算を得るには、以下のうちどれかに当てはまる障害者を受け入れたときになります。
- 医療観察法に基づく通院決定から3年を経過していない
- 矯正施設(刑務所)または更生保護施設の退所から3年を経過していない
要は、犯罪をした触法障害者の受け入れで地域生活移行個別支援特別加算を得られます。傷害事件や放火、薬物など理由はさまざまですが、犯罪者を受け入れてくれる障害者グループホームは少なく、そうした人の利用で加算を獲得できます。
なお地域生活移行個別支援特別加算では、余分に世話人・生活支援員を配置しなければいけません。つまり、人員配置基準よりも多い人数の配置が必須になります。
また保護観察所や精神保健福祉センターと密に連携し、触法障害者に対する特別な支援に対応した個別支援計画に基づいて支援することになります。さらに、共同生活援助のスタッフは「触法障害者への支援」に関する研修を年1回以上は受けなければいけません。
適応期間は最大3年であり、刑務所や更生保護施設の退所から3年超が経過すると地域生活移行個別支援特別加算を算定できなくなります。
精神障害者地域移行支援特別加算:長期入院の障害者への加算
犯罪者ではないにしても、長期で精神科病院に入院していた人は症状が重く、簡単に地域生活に馴染むことができません。そこで、こうした精神障害者に対する受け入れへの加算に精神障害者地域移行支援特別加算があります。対象者は以下になります。
- 病院に1年以上入院していた精神障害者
期間は「退院から1年」であり、退院をして1年が経過したら精神障害者地域移行支援特別加算を算定できなくなります。なお入院期間が1年以上であれば、退院後に実家などで過ごしていたとしても、「退院から1年以内」であれば精神障害者地域移行支援特別加算を算定できます。
退院日を明確にするため、病院に依頼して「退院日を証明する資料」を得るといいです。これにより、精神障害者地域移行支援特別加算を算定できる期間の根拠が明確になります。
また、精神障害者地域移行支援特別加算を得るには記録を残さなければいけません。そこで、「精神科病院との連携」「対象利用者との面談」「日中活動の支援」について、精神障害者地域移行支援特別加算を得るための専用の記録を残しておきましょう。
地域移行支援への加算を得る
障害者グループホームで売り上げを大きくするのは重要であり、その一つの方法が「他では見れない障害者であっても受け入れる体制を整える」ことがあります。これにより、地域移行支援に関する加算を得られます。
こうした加算として、刑務所から出た障害者の受け入れによって地域生活移行個別支援特別加算を算定できます。また、1年以上を病院で入院していた精神障害者を受け入れる場合は精神障害者地域移行支援特別加算の対象です。
これらの加算を得るには、有資格者の配置が必要です。社会福祉士・精神保健福祉士・公認心理師について、いずれかの資格者による支援が必要です。
非常に大きな加算であるため、得ることができれば利益を大幅に押し上げることができます。そこで、売り上げを伸ばしたい場合は地域生活移行個別支援特別加算や精神障害者地域移行支援特別加算を積極的に活用しましょう。